試合レポート

日本体育大vs星槎道都大

2017.11.15

船山決勝アーチ&東妻が2安打完封!日本体育大が37年ぶり2度目の優勝!

日本体育大vs星槎道都大 | 高校野球ドットコム
37年ぶり2度目の優勝を果たした日本体育大

 「普段通りにやらないと勝てない。今までやってきたことを披露しよう」

 試合前、日本体育大の古城 隆利監督は選手たちに言葉をかけた。その言葉に選手たちが奮闘。結果的に3対0で日本体育大が勝利し、37年ぶり2度目の神宮大会優勝を成し遂げた。

 序盤は両チームともにスコアボードに0が並んだ。
日本体育大の先発は東妻 勇輔(3年・智辯和歌山)。初回は緊張からか、制球を乱す場面があったが2回以降に立ち直りを見せた。今日の最速は149キロ。さらに、キレ・球威ともに抜群で星槎道都大にチャンスらしいチャンスを与えない。3回には右翼手・冨里 優馬(4年・日体大荏原)が右翼線の打球を好捕するなどしてバックも東妻を盛り立てた。

 一方、星槎道都大の先発は福田 俊(3年・横浜創学館)。昨日の準決勝でも先発し、好投した左腕が決勝戦のマウンドに立った。強打の日本体育大打線に対し、走者を出すものの得点は与えない。3回には二死二塁から、5番・谷津 鷹明(4年・向上)に中前安打を許すも、中堅手・石黒 凌(4年・北海学園札幌)が本塁へ好返球を見せ先制点を許さない。

 しかし、5回に試合が動く。日本体育大は一死から2番・坂本 耕哉(4年・松阪)が四球で出塁。続く3番・船山 貴大(3年・日大三)が初球のストレートを捉えた。打球は左翼スタンドに弾み、大きな先制点となった。
「初球を打つ気はなかったんですけど、甘い球が来たので打ちました。最初はレフトフライかオーバーくらいかなと思っていたんですけど、入るとは思わなかったです」と船山は試合後に打席を振り返った。

 船山の一打で先制した日本体育大は、6回。四球や内野安打などで二死一、三塁のチャンスを作り、2番・坂本の打席で一塁走者が盗塁。捕手が二塁へ送球した瞬間に、三塁走者・馬場 龍星(2年・八戸学院光星)がスタート。見事、生還しリードを3点に広げた。

 このリードを東妻が気迫の投球で守った。
「昨日、投げなかったということで中1日の登板でした。そのため肩の張りが取れて、今日の試合に臨めました。調子が悪いなりに投げられたと思います」

 最後の打者を右飛に打ち取って、ゲームセット。優勝の瞬間に東妻はマウンドで両手を高々と突き上げ、飛び跳ねながら喜びを表現した。あっという間に歓喜の輪ができた日本体育大の選手たちの表情は笑顔に溢れていた。

 東妻は優勝投手になりたいという強い気持ちがあった。「リーグ戦・横浜市長杯と優勝を果たしましたが、優勝投手になれませんでした。絶対に最後まで投げたいという気持ちがありました」と、投手らしい強気な一面ものぞかせた。

[page_break:日本一を決定づけた本塁打!船山貴大の歩み]

日本一を決定づけた本塁打!船山貴大の歩み

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決勝点となる本塁打を放った船山(日本体育大)

 決勝点となる本塁打を放った船山 貴大。栃木県出身の彼は、学童時代に強豪・宝木ファイターズのメンバーとして県大会優勝に貢献。中学では鹿沼ボーイズと県内の強豪チームでプレーした。

 先日行われたプロ野球ドラフト会議でオリックスから1位指名を受けた、田嶋 大樹佐野日大-JR東日本)とは小学校・中学校も同じでチームメイトであった。
「今でも連絡を取るんですけど、目の前にあれだけすごい選手がいるので励みになります」と当時のことも振り返りながら、懐かしそうに話した。

 その後栃木県から離れ、日大三に入学した船山。持ち前の守備を武器に下級生時から活躍した。堅実な守備が持ち味である船山だが、打撃の意識はあまり高くなかったという。

「実際のところ高校では下位打線でしたし、今春までは6番でした。やはりもう1ランク上の世界に行くには、打撃を良くしないといけないと思ったんです。2年の冬から意識を変えて、技術の向上や配球などを考えるようにしました」

 タイミングの取り方から何から何まで意識を変えた船山は今秋のリーグ戦から3番に起用された。小柄ながら3番を務める彼は、プレッシャーにならないように3番目という意識を持って打席に立っているそうだ。

 しかし神宮大会決勝戦まで勝ち上がってきたが、船山自身に安打は生まれていなかった。悪い状態ではなかったらしいが、少しずつ焦りを感じていたようだ。そんな中で生まれた一打。「嬉しいというよりかは、ホッとしました」と、知らぬ間に3番打者を背負ってしまっていた彼はそう話した。

 日本一を達成したということで、来年以降は追われる立場になる日本体育大。投手の二枚看板・東妻と松本 航(3年・明石商)が残り、野手も船山や馬場などセンターラインなどの主力が多く残る。しかし船山は冷静だった。
「主力が残るといっても、今回は今回なので。しっかりと挑戦者の気持ちでやっていきたいです。投手が良いですし、守備からリズムを作る野球だと思うので、打線を良くしたいですね」と来季を見据えた。

 高校では9本、大学では通算2本目となるアーチが日本一を決める一打となった。小柄な守備の男がさらなる高みへ向かう。船山 貴大が来年、また活躍することを期待したい。

(文・写真=編集部

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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