Interview

夏は二刀流として期待!金成麗生が剛速球左腕としてのベールを脱ぐ!

2017.04.28

 今年の高校生野手で、スケールではナンバーワンと評価される日大三金成麗生。191センチ103キロと規格外の体格と飛距離抜群の打撃を誇る金成の注目度は日増しに上がっている。
 この春季大会では決勝まで5試合で3本塁打を打っており、好調をキープ。27日に行われた決勝戦。2万人が詰めかけたファンの前で、金成は新たな一面を見せた。

制球が不安定でも、最速148キロのストレートは魅力十分!

 剛腕左腕としてのベールを脱いだ。8回裏、13対10と突き放されて、打者はこの打席まで4打数4安打、2ホーマー、5打点を記録している野村大樹。そこで登場したのが金成である。191センチ103キロと堂々たる体格を見て、どんな速球を投げ込むのか期待したファンもいたはず。金成はその期待に違わぬ速球を投げ込む。野村相手に、140キロの速球を披露した後、最後は146キロのストレートで空振り三振。その後も、140キロ台の速球(最速148キロ)を連発。コントロールは不安定で、簡単に四球を出してピンチを迎えたが、無失点に抑えた。9回裏、先頭打者に四球を与え、次打者にもボールを出したところで降板したが、それでもコントロールの不安定さを補う剛速球だった。

 金成は相模ボーイズから投手として入学するも、なかなか芽が出ず、2年秋になって野手に専念した選手である。2年秋では、3本塁打、14打点、打率.429と高数字を残した。この成績を見れば、野手転向は成功だろう。だが金成が魅せた140キロ台連発の投球は、この日詰めかけたNPBスカウトにも投手・金成としても面白いと思わせるものであった。

 当の金成は140キロ超えに驚いている様子。
「そもそも僕はガン付きのある球場で投げたのは初めてですので…。櫻井周斗より絶対に速くないと思っていましたし、140キロを超えていて、『えっ』と思いました」
久々の投手を務めて、大きな疲れを感じた。そこで思ったのはエースの櫻井の凄さだ。
「1イニングちょっと投げてこれだけ疲れるのだから、3番を打って、投手もこなして、キャプテンを務める櫻井って本当に凄いなと思いましたし、少しでもあいつが楽にできるように、夏へ向けてチームのために、投手としても練習をしていきたいと思います」
この日は夏を見据えて櫻井がマウンドに登ることはなかった。日大三にとって、金成が剛腕左腕としての目途が立てば、戦力は厚みが増すだろう。

[page_break:野手としてはコンタクトする確率を高めていきたい]

野手としてはコンタクトする確率を高めていきたい

 一方、打撃では自分が求めていた打撃ができなかった。金成は「勝負強い打撃」をすることにこだわっており、この春の都大会では計3本塁打。「決勝戦を迎えるまでそういう打撃ができたかなと思っています」と手ごたえを口にした金成。
 しかし決勝戦では9回表に飛び出したレフト前安打の1安打のみに終わった。
「本当に打てなくて悔しいですし、大事な試合で打てない精神的な弱さが課題として出たかなと思っています」と自身の課題を振り返った。
 技術的に迫ると、金成は最短距離の軌道で、ボールを捉え、しっかりとミートすることを心掛けている。バックスイングが小さいスイングをするのも、ミートする確率を高めるだ。動きが小さいフォームでも、人並み外れた飛距離を見せる金成は、スラッガーとしても魅力的で、二刀流として期待する声も高い。
 だがあくまで金成は、野手としてウエートを置いている。「夏では勝負強い打者となっていきたい」と決意を述べた金成。
 そしてチームのために投手としても与えられたポジションで活躍したいと思っている。

 二刀流として新たな可能性を示した金成がこの夏までどんな歩みを見せるのか。そして夏ではどんなパフォーマンスを見せるのか、今から楽しみでならない。
 

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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