Interview

「ドラフト同時指名6人、私はこうやって育てた」 徳島IS・岡本哲司監督が明かした指導論② 「阪神2位・椎葉の成長は、徳島メソッドが正しかったことの証明です」

2024.01.19


昨秋のドラフトで四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスから史上最多の6人が指名を受けた。
阪神2位 椎葉 剛投手(島原中央ーミキハウス)
DeNA6位 井上 絢登内野手(久留米商-福岡大)
西武5位 宮澤 太成投手(長野-北海道大)
西武育成1位 シンクレア ジョセフ孝ノ助投手(ジョンオリバー高-コチス短大・メアリー大学)
西武育成2位 谷口 朝陽内野手(広陵
ソフトバンク育成7位  藤田 淳平投手(川島-東亜大)
快挙としか言いようがない。

この「最強育成球団」を率いるのは、岡本哲司監督。2022年の就任後、2年でじつに9人のNPB選手を育て上げている。岡本監督はこの6人にどのような指導を行っていたのだろう。具体的なエピソードを交えながら話してもらった。

<岡本哲司監督インタビュー>
第1回はこちら
第3回はこちら

 

 

「頭と体の動きを一致させた」DeNA6位・井上への指導

――NPBに進んだ6人について話を伺いたいと思います。まず井上選手から。彼に話を聞くと、岡本監督からスイングの矯正のための打撃のドリルを教わり、非常に役立ったと聞ききました。

岡本:彼の場合は入団した時から「NPBに行けるな」と思ってたんですよ。やはり一軍で活躍できる体の強さ、体幹の強さ、ボールの捉え方など優れていました。彼が2年間在籍したのは、NPB仕様のコーディーネートにするまで、2年の時間がかかったという感じですね。

――井上選手に話を聞くと、自分の課題に見つけて真面目に向き合ってきたことがわかりました。

岡本:練習はものすごいします。チームのみんなが見習うぐらいの練習をしていました。その上で、上達のために何を練習するのか、その整理がものすごい大事です。

――成長を見守ってきて、彼の中で、何をやるのかが徐々にクリアになった感じでしょうか。

岡本:頭がクリアというより、体がクリアになってきた感じですね。頭で考えていることに体の動きを近づけないと、続けられないんですよ。井上の場合、入団当初は向上心が強すぎて、頭の中がスリップしている感じでした。頭で考えていること、体の動きがバラバラだったわけです。この2年間で、ようやく頭で考え、体の動きが一致してきたということでしょう。

――シンクレア投手ですが、彼のインタビューを振り返ると、「僕は質問するのが好きなんで、岡本監督にどんどん質問しました」といっていました。

岡本:彼の場合、誰が触らなくてもNPBに行けるぐらい完成されていました。そういう素材でしたので、あとはどれだけ実戦で活躍するかの問題でした。初めて日本の夏を経験してバテたところはありましたが、彼はNPBでもしっかりとやれる選手だと思います。

――質問していても、受け答えはしっかりされていた感じでしょうか。

岡本:彼はアンサーが一番返ってくる選手。彼の場合、ボールを狙いすぎて、置きにいって打たれることがあったので、「甘いところでもいいので、どんどん打たれろ」と言いました。彼の場合、それでも打たれないので。そこから始まっていかないと「本当のコントロール」は身につかない。そのことだけはしっかりとやりました。

指名された瞬間、椎葉剛と固い握手を交わす井上絢登

「トレーニングで勝つ」ことを証明した阪神2位・椎葉

――阪神2位の椎葉投手は、入団1年でものすごい伸びたように見えますが、岡本監督の目にはどう映っていますか。

岡本:彼はものすごく体がいい。球団が重要視しているのは、トレーニングです。球団にはトレーニングがしっかりとできる「インディゴコンディショニングハウス」があって、彼はずっと通ってやっていました。トレーニングは大事なんですけど、身になる選手もいれば、身にならない選手もいる。
彼は時間をかけてトレーニングをして、そのあと自分はどうすればいいか、それを理解している選手でした。なかなかできないことで、やってきたトレーニングがうまく成長に噛み合ってきた選手だったと思います。
想像以上の成長でしたし、徳島インディゴソックスの取り組みは間違っていなかったんだと再確認させる結果でした。トレーニングで体を作り、しっかりとゲームの中で学び、見直して、振り返って臨む。2位というのは、やってきたことが間違っていなかった順位でもありました。

――宮澤大成投手の成長についてはいかがでしたか。

岡本:投手・宮澤を作ったのは間違いなくトレーニング。しっかりとトレーニングをして、トレーニングで培った力を実戦に置き換えることができた。彼からトレーニング、ウエイトを取ったら、なんの特徴がない投手だったと思います。

――椎葉、宮澤両投手の成長を支えた「インディゴコンディショニングハウス」は、ほかに類を見ない施設だと感じます。

岡本:独立リーグの球団として、トレーニングがしっかりとできる施設を持っているというのはなかなかないと思います。トレーニングで勝つ、トレーニングで目標達成することを重きに置いているので、その位置づけはものすごい大事なので、いつでもトレーニングできる環境を作っているんです。

椎葉剛が指名された瞬間、満面の笑みをこぼした岡本哲司監督(右)

次のページ:
『西武から野手指名・谷口にあえて投手をさせた理由』
『オリックス・茶野の活躍に「驚きはない」』

固定ページ: 1 2

この記事の執筆者: 河嶋 宗一

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.07

【山陰】益田東と米子松蔭、鳥取城北が石見智翠館と対戦<春季大会組み合わせ>

2024.05.07

【鹿児島】神村学園は昨秋4強の鶴丸と初戦で対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.07

【北海道】函館大有斗、武修館などが初戦を突破<春季全道大会支部予選>

2024.05.07

【熊本】九州学院が文徳を破って22年ぶり3回目の優勝<RKK旗>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.02

春の神奈川準決勝・東海大相模vs.横浜の黄金カード実現! 戦力徹底分析、試合展開大胆予想!

2024.05.02

【茨城】常総学院、鹿島学園、水戸一、つくば秀英が4強入り<春季県大会>

2024.05.02

激戦必至の春季千葉準決勝!関東大会出場をかけた2試合の見所を徹底紹介!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>