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春先は肩や肘を痛めやすい時期!未然に防ぐ6つのチェックポイントを知っておこう!

2017.02.15

春先は肩や肘を痛めやすい時期!未然に防ぐ6つのチェックポイントを知っておこう! | 高校野球ドットコム

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 まだまだ寒い日が続きますが、選手の皆さんは寒さなどに負けず、元気に練習に励んでいることと思います。さてこの時期はオフシーズンのトレーニングと並行して少しずつボールを使った練習が増えてくる頃でもあります。期末テストが終わると週末を中心に実践練習も始まってくるチームなどもあるのではないでしょうか。そしてボールを使う練習が増えてくるとやはり肩や肘に痛みを抱える選手も増えてきます。今回は肩や肘が痛くなりやすいこの時期にチェックしたいことなどをお話ししたいと思います。

まだまだ体が温まらない?

 短い練習時間の中でボールを使った練習を行うようにすると、ウォームアップやクールダウンの時間が十分に取れないことが考えられます。中には全体練習の開始時間は決まっているので、それまでに各自でウォームアップを済ませておくようにしているところもあります。各自でウォームアップを行うこと自体はまったく問題ありませんが、短い時間の中で身体をしっかり温めるようにしないと、やはりケガのリスクが高くなります。

 急に肩や肘を痛めた選手の多くは「ウォームアップ不足」が原因と考えられることが少なくないため、ある程度時間をとってウォームアップに取り組む必要があります。授業が長引いて全体練習に合流することが遅くなったとしても、ウォームアップは必ず身体が温まるまで行うようにしましょう。

各自でウォームアップを行うときに心がけること

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ウォームアップ前に温かい飲み物を飲むと効率よく身体が温まる

 とはいっても短い時間で効率よく身体を温めたいときにはどのようにすればよいのでしょうか。心拍数を上げるような強度のものを取り入れながら行うとより早く身体が温まります。練習前のストレッチは座って行うのではなく、立位の状態で身体を動かしながら行うようにしましょう(アクティブストレッチ)。またストレッチの前に軽くジョギングを行うことが出来るとよりいいですね。このときのジョギングはただ心地いいペースで走るだけではなく、強弱をつけて走るようにするとかなり早く身体が温まります。

 たとえば塁間ダッシュを想定してジョギングの合間に4~5秒程度のダッシュを入れて、またジョギングを繰り返すといった具合です。これを30秒に1本の割合でダッシュを入れると、5分間で10本のダッシュを行うことができますし、短い時間でかなり身体が温まると思います。この他にもその場でジャンプを繰り返したり(縄跳びなどでもOK)、階段などを使って身体を動かすこともよい方法です。膝や腰、足首などに不安のある選手は様子をみながら取り入れるようにしてくださいね。

 また寒い時期にぜひ行ってもらいたいのが、身体を動かす前に温かい飲み物をとることです。水分補給もかねて行うのであれば、無糖の紅茶(しょうが紅茶ならなおよい)やお茶、白湯などでもいいですし、ホットレモンなどでもいいと思います。身体の中に温かいものを補給することで、身体を少し動かすと体内からも温まって汗をかきやすくなります。汗をかいたときは必ず汗を拭き取って着替えるようにしましょう。

[page_break:肩の後ろが硬くなっていませんか? / 上体だけで投げていませんか?]

肩の後ろが硬くなっていませんか?

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肩後方部のストレッチは毎日行い、柔軟性をチェックしよう

 今まで投球動作を行っていなかったところに、毎日キャッチボールを繰り返したりシートノックで全力投球を行うようになると、肩や肘に痛みを覚える選手はよく見られます。寒い中で身体を動かそうとするとどうしても筋肉は硬くなってしまいがちなので、寒い時期だからこそより一層念入りにウォームアップを行い、筋肉の柔軟性を高めたり、関節の動きをよくしたりすることが必要となってきます。特に肩の後方部が硬くなってしまうと、肩の可動範囲(動く範囲のこと)が狭くなってしまい、肩関節に過度なストレスがかかって肩の前方や後方、側方などさまざまなところに痛みを感じるようになります。身体を横にした状態で行う肩のストレッチを毎日行い、筋肉の柔軟性をチェックするようにしましょう。

上体だけで投げていませんか?

 肩や肘を痛める原因の一つに、下半身を使いこなせない、いわゆる「手投げ」の投球動作になってしまうことがあります。投球動作は本来、下半身から上半身にかけて力を連動させて投げるものですが、力んで投げようとすればするほど肩や肘のしなりだけを利用し、下半身をうまく使えていないフォームで投げようとする傾向が見られます。こうなると肩や肘の関節には大きな負荷がかかるため、繰り返して投げているうちに痛めてしまうことになります。

 また股関節がうまく使えないときや腰が痛くて腰を回す動作がうまく出来ないとき、太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス等)が疲労などで張っているときなども、投球動作のときに身体が浮き上がってしまい「手投げ」になってしまうことがあるので、こういった要因を一つずつチェックすることも大切です。

 これから春先にかけて肩や肘に痛みを覚える原因の多くは、ウォームアップ不足や投球フォームの崩れなどによるものがあげられますが、上腕を締め付けられたような痛みの場合は筋肉の硬直による血行不足なども考えられます(参考コラム:112回「投げ始めに腕がしびれるとき」)。また自分で行うセルフコンディショニングとしては痛みを感じる場合は練習後や投球後に患部へのアイシングを行うこと、ウォームアップやクールダウンの徹底などを心がけましょう。

 以前から肩や肘に痛みがある場合は機能的な問題(関節や骨、筋肉、腱などの軟部組織などの損傷)も考えられますので、痛みが数日~数週間続く場合は早めに医療機関を受診することも覚えておいてくださいね。

【春先に肩や肘が痛くなるとき】
ウォームアップ不足になっていないか確認しよう(まだまだ気温が低く、身体は温まりにくい)
●ジョギングの中にダッシュを入れて短時間で身体を温める
●練習前に温かい飲み物をうまく利用する
●肩後方部の柔軟性が低くなっていないか、毎日のストレッチでチェックする
●上体だけで投げていないか、改めてフォームチェックを
●痛みのセルフケア(アイシングなど)も忘れずに。痛みが続く場合は早めに医療機関へ

(文=西村 典子

次回コラム公開は2月30日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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