Interview

中京大学附属中京高等学校 佐藤 勇基選手「侍ジャパンU-18でもベストナイン!今夏屈指の遊撃手!」【前編】

2016.11.30

 佐藤 勇基。1992年、中日ドラゴンズからドラフト1位指名を受けた元プロ野球選手・佐藤 秀樹氏(中日ドラゴンズスコアラー)の息子であり、中京大中京(愛知)では2015年夏・2年生にして甲子園出場も果たした東海地区屈指の遊撃手である。

 今年は9月に開催された「第11回BFA U-18アジア選手権」侍ジャパンU-18代表選手「9番ショート」として優勝に貢献し、大会ベストナイン遊撃手部門として表彰された佐藤。高校球界を代表する遊撃手から大学でのさらなる飛躍を目指す彼に、ここまでの歩みと意気込みを聴いた。

「守備」で名門・中京大中京のレギュラーを獲得

中京大学附属中京高等学校 佐藤 勇基選手「侍ジャパンU-18でもベストナイン!今夏屈指の遊撃手!」【前編】 | 高校野球ドットコム

佐藤 勇基選手(中京大学附属中京高等学校)

「あの時は家族で埼玉県に住んでいて、よく[stadium]神宮球場[/stadium]に通っていました。[stadium]神宮球場[/stadium]で投げる姿を見て、父がプロ野球選手であることを実感しました」

 1998年5月9日生まれの佐藤にとって、父・秀樹投手が仕事をしていた記憶は5歳。2003年に5勝をあげて見事な復活を遂げたヤクルトスワローズ移籍1年目にさかのぼる。その雄姿が彼を野球への道へと誘うきっかけとなった。小学校2年のときに愛知に引っ越し、ファイヤーボーイズで野球を始めた佐藤は、中学校ではボーイズリーグ・東海ボーイズに所属。ここで後に愛知県屈指の本格派右腕へ成長する立野和明中部大一)などと切磋琢磨しながら、現在の天職「遊撃手」を務めるようになる。

 高校は東海ボーイズの先輩である福富大勢加藤大騎(中京大)がいた中京大中京へ。もう1つの理由は父と共に脳裏に残っていた名門の記憶であった。
「まだ子供のときに、テレビで2009年夏の甲子園優勝した場面を見ていたんです」

 憧れだった「Chukyo」筆記体ユニフォームを身にまとうため。入学後、佐藤は中京大中京は走攻守の中で最も重視している、そして自らが最も得意とする「守備」でアピールをすることにした。
「とにかくノックでうまく見せること。そして僕は入学したときから肩の強さには自信がありましたので、例えば中継プレーがあるとき、他の選手はワンバウンドなところを、自分はダイレクトで投げてアピールしていきました」

 その狙いは正しかった。大藤 敏行総監督・高橋 源一郎監督をはじめとする首脳陣の目にすぐとまった佐藤は1年秋に三塁手のレギュラーを獲得、2年春には住み慣れた遊撃手へ。2年夏もレギュラーとして愛知大会を勝ち上がっていく。
愛知大会の試合を振りかえると苦しい試合ばかりでしたが、エースの上野翔太郎(現・駒澤大1年関連記事)さんが自分たちの大黒柱になってくれました。とても安心感がありました。上野さんがいたから甲子園に行けたと思います」

 2009年夏にはTVの中にある憧れの世界だった甲子園。6年の歳月をかけて、佐藤 勇基はついに聖地の土を踏んだ。

[page_break:甲子園での「苦み」、国体での「発見」]

甲子園での「苦み」、国体での「発見」

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佐藤 勇基選手(中京大学附属中京高等学校)

 甲子園初戦岐阜城北(岐阜)戦。佐藤の心臓はいつもより脈打っていた。
「とにかく緊張していました。しかも普段より応援の声がよく聞こえる。緊張しっぱなしで、いつもではありえないエラーもありました」。当時を思い出し苦笑いを浮かべる佐藤。しかし1試合を終えると緊張は解け、2回戦の鹿児島実業(鹿児島)戦で4打数2安打の活躍。そして大会の名勝負に数えられる3回戦関東一(東東京)戦に臨むこととなる。

 佐藤の第1打席は1回表二死満塁。絶好の先制機。右打席に入り、カウント2ストライク1ボールから外側のボールを振りぬいた打球は左中間へ。
「もう打った瞬間、手ごたえがありましたし、三塁打になると思いましたので、三塁を目指して走っていました」

 しかし……。抜けたと思った打球は、関東一のセンター・オコエ 瑠偉(現・東北楽天関連記事)のグラブに。佐藤はオコエの守備力・身体能力を紹介する上で何度も紹介されるシーンの演出者となってしまった。
「どよめきが聞こえて、もしかしてスタンドに入った?と思ったんですけれど、なぜか関東一の選手たちがベンチに戻っていて、あれれ?と思ったらオコエ選手が捕っていました。もう、えええ!という感じでしたね」

 今は笑って話せる出来事も、当時はショックしか残らない。その後、佐藤は打席でも安打が出ず、チームは0対0で迎えた9回裏に長嶋 亮磨(現:神奈川工科大1年)のサヨナラホームランで敗戦。「とにかく苦い記憶しかないです。特に関東一戦はサヨナラホームランで負けましたので、1球の重み、大事さを感じた試合でした」。苦い思い出を残し、佐藤ははじめての甲子園を去った。

 ただ、甲子園は新たな発見も与えてくれた。甲子園で2勝したことで中京大中京和歌山国体(第70回国民体育大会)の出場権を獲得し準優勝。3年生中心構成の中で国体に出場した佐藤は決勝戦東海大相模戦で吉田 凌(現:オリックス・バファローズ)から本塁打を放つなど活躍を見せる。

「[stadium]紀三井寺球場[/stadium]は他の球場より飛びやすい感じがしましたけど、ホームランを打ったのはまさかというか、あんなに飛ぶんだ!と驚きでしたね。国体自体は調子が良かったかなと思います」と振り返った佐藤。侍ジャパンU-18代表への道は、この国体も欠かせない要素となった。

 後編では、最後の夏へ甲子園を目指す佐藤選手の軌跡。そして侍ジャパンU-18代表入りして学んだこと、エピソードなどを語っていただきます。

(インタビュー=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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