試合レポート

未来沖縄vs宮古

2016.11.18

将来有望な両投手による投げ合いは大会2度目のタイブレークへ

 未来沖縄は、昨年の夏の全国高等学校野球選手権沖縄大会から参加したばかりだが、その強さは本物。沖縄水産那覇商のそれぞれで監督として甲子園勝利を収めた名将神山 昂氏が、未来沖縄の初代監督へ就任。始めはジプシー生活だったが最近ようやく専用グラウンドも確保した。その成果を試すこの一年生大会の地区予選ではなんと5試合で52得点。中央大会初戦でも、ふた回り目となった打線が4回から6回までの3イニングだけで10安打6得点を挙げた。その強打は、他のチームより頭一つ二つ抜けているかも知れない。ところがこの試合では、その打線が沖縄宮古の與那覇 達也の前に苦しめられた。

新垣、與那覇両投手による見事な投手戦

未来沖縄vs宮古 | 高校野球ドットコム

新垣(未来沖縄)

 初回、未来沖縄は1,2番が連続三振に斬られる。それならばと2回、先頭の高安 光聖がレフト前ヒットで出塁すると次打者の知念 誠はバントの構えを見せる。当然チャージを掛けた沖縄宮古野手陣であったが間を突く上手いバントでヒットとなった。さらに新垣 龍希も同じく絶妙な位置に転がし無死満塁。一見すると、沖縄宮古野手陣はなす術が無いといったような展開にも見えた。しかし與那覇はここからギアを上げる。この日の最速となる136kmのストレートを駆使し、浅いライトフライ、三振、サードライナーに仕留め得点を許さなかった。3回には二死から4番下地 俊輝が右中間へ三塁打を放つが、與那覇は次打者を三振に斬ると4,5回をノーヒットに抑えた。未来沖縄(一年生たち)にとっては、與那覇がおそらく初めての壁に見えたかも知れない。6回、7回には1安打ずつ、8回には先頭打者がヒットで出塁し犠打で送って4,5番へ回したが、ここでも與那覇がサードゴロ、三振と好投。與那覇は9回も三者凡退に抑えて未来沖縄の全てのボードにゼロを並べた。

 一方、未来沖縄新垣 龍希は更に凄いピッチング。2回に二死からヒットを許したが、それ以外の6回までの5イニング全て三者凡退。與那覇と同じ136kmのストレートとブレーキの聞いたスライダーに、沖縄宮古の打者は手も足も出ない。8回、3番宇座 幸太郎がヒットと盗塁でこの試合初めての得点圏を占めたが、9回を終えて三塁を踏めず0-0のまま大会2度目となるタイブレークへ突入していった。

プレッシャーを与え宮古を一気に飲み込んたKBC学園未来沖縄

 無死一・二塁から始まる延長10回、未来沖縄は2番からの選択をした。当然送りバントで二・三塁としたいところだが、ここで沖縄宮古バッテリーにミスが出てしまい走者が労せずして進塁する。一死後、宜保 翔の打球はセカンドゴロであったが難しい体制から一塁送球を試みるも足が速くセーフになり1点が入る。一・三塁として4番下地がスクイズ。捕手へ転送されるもりも速く三塁走者が生還し2点目が入った。決して打たれたわけでは無い與那覇だったが、これで少し気持ちが切れてしまった。連続四球で痛恨の押し出し点を与えてしまう。その後、未来沖縄打線は新垣と山城 翔也に連続タイムリーが飛び出して5点をゲット。こうなると有利なのは未来沖縄。一死二・三塁となっても前進守備をする必要もなく、内野ゴロの間の1点に抑えて勝利。同校初のベスト4進出を果たした。

 勝敗は分かれたものの、僕らにとってはまだ一年生ながら130kmをビシビシ越えてくる新垣と與那覇という逸材を見つけることが出来た好ゲーム。良きライバルとして意識しつつ、より大きくより強い選手として成長していくことを望みたい。

(文・写真=當山 雅通

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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