試合レポート

仙台育英vs聖光学院

2016.10.18

5回の攻防

仙台育英vs聖光学院 | 高校野球ドットコム

仙台育英が決勝進出

 仙台育英は1点を追う5回裏、1番・西巻賢二(2年)のタイムリー二塁打で同点に追いつくと、2番・斎藤育輝(2年)がレフトへ犠牲フライを放ち逆転に成功。8回には4番・尾﨑拓海(2年)のタイムリーでもう1点を加えた。

投げてはエース・長谷川拓帆(2年)が聖光学院を7安打1点に抑えて完投。2年ぶりの決勝進出を果たした。
「非常に苦しい展開でした。ホッとしているというより、嬉しい気持ちが強いです」と逆転勝ちの感想を語った仙台育英佐々木順一朗監督。主将である西巻の同点打については、「難しいボールを片手だけで(レフトへ)持っていった」と讃えた。その西巻は、「あそこはみんなが繋いでくれたので、一本打ちたいと思い、(来る)ボールに集中していました」とチームに貢献できたことを喜んだ。

 この5回裏の仙台育英が逆転した攻撃。西巻の一打に繋がったポイントが二つある。まずは直前の5回表の守り。エースの長谷川は四球と二本のヒットで二死満塁のピンチを招いた。聖光学院の打席は2番で主将の大平悠斗(2年)。2球目を弾き返すと、打球は二遊間へと飛んだ。これにダイブして捕ったのがショートを守る西巻。そのまま送球をすればオールセーフになるタイミングだったが、目の前に二塁ベースがあったのが幸い。捕球した状態のグラブをベースに叩きつけるようにしてアウトを取った。

 これで流れがきた仙台育英はその裏、先頭の7番・前田颯太(2年)が相手のエラーで出塁する。佐々木監督は次の8番・小川拓馬(2年)で送り、一死二塁にしたかった。だが、小川はバントを決めることができず、指揮官の思惑は外れる。この場面で救ったのが9番・長谷川。初球をライト前へ運び、一死一、二塁として西巻に繋いだ。「あそこで長谷川が繋いだのは大きかった」と話した佐々木監督。

逆に聖光学院サイドの視点で見れば、バントを失敗させるところまではうまくいったが、9番ピッチャーである長谷川からアウトを取れなかったのが誤算だったと言える。そして、西巻に打たれた。

この後、2番・斎藤が犠牲フライを放った場面にも一つポイントがある。それは1球目がボールになったあと、しばらくスコアボードのカウントにボールの青いランプが灯らなかった。このゲーム前半で何度か見られたスコアボードの表示ミス。ここでタイムをかけて、球審に『1ボールです』とリクエストしたのが打席の斎藤。「相手投手の顔を見たくなかったので、他が気になった」と話したが、視野の広さで自分の間にした。そして3ボール0ストライクからの4球目をレフトに運び犠牲フライ。やや浅いフライだったが、三塁走者の長谷川が思い切った決断で本塁へ突っ込みセーフにしてみせた。3ボール0ストライクというカウントだったが、「(サインは)打て。引いているとろくなことがない。失敗してもいいから」と佐々木監督も指示を出していた。

見事な逆転勝ちで2年ぶりの決勝進出となった仙台育英。「全員で戦えるのが今年のチームの持ち味」と西巻主将。目標の明治神宮大会出場へあと一つ。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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