Column

高いレベルで新旧の勢力が入り乱れ、群雄割拠状態が続く(福岡県)

2016.09.18

 福岡は福岡市をメインとした南部と北九州市をメインとした北部とに大きく分かれるが、全県にわたって比較的バランスよく強豪校が散らばっている。

北部・南部それぞれを代表するのは?

福岡大大濠

 福岡市には、大濠公園すぐ側の福岡大大濠東福岡が両雄として存在している。東福岡はラグビー、サッカー、男子バレーの強豪としても全国制覇を果たすなど有名だ。また、福岡大大濠もバスケットボールやバレーボールでは全国大会に常時顔を出しているスポーツ校でもある。

 福岡市の学校としては、昭和60年代には福岡第一が甲子園で準優勝して一時代を築いた。女子柔道の第一人者・谷 亮子の母校・福岡工大城東(旧福岡工大付)も気を吐いている。また、甲子園出場はまだないが、多くの投手をプロや社会人に送り込んでいる沖学園なども気になる存在だ。

 これに対して北九州市は、かつての八幡大附属が系列代の校名変更した九州国際大付が筆頭格だ。11年春には準優勝を果たしており、14年15年16年と夏連続出場を果たしている。プロ野球の太平洋・西武で捕手として活躍し、西武ではヘッドコーチも経験している楠木 徹監督が14年から、勝つ野球を徹底している。バドミントン部も強豪で潮田 玲子などを輩出している。

 さらには旧九州工真颯館、九州共立大八幡西から校名変更した自由ケ丘といったところが追いかけている。北九州勢は、かつては公立勢が引っ張っていたのも特徴と言えよう。戦後すぐの、丁度、中等学校から高校に学制が変わる時期に連続優勝している小倉は文武両道の名門校として地元でも人気が高い。78年春を最後に甲子園からは遠ざかっているものの15年は夏の福岡大会でベスト4、秋季県大会では久しぶりに決勝進出。準優勝で九州大会にも進出して気を吐いた。

 小倉が低迷していた間に、小倉東94年96年と春に出場を果たしている。小倉工小倉商もかつては甲子園出場を果たしている。また、伝統校の東筑は春2回、夏5回の実績がある。戸畑05年春に出場するなど、春夏4回ずつの出場実績がある。いずれも、旧制中学の流れを汲む伝統校でもある。戸畑商から校名変更した北九州市立も健闘している。

 新庄 剛志の母校である八女市の西日本短大附は、92年夏に突然全国制覇して、存在を示した。その後も、04年夏10年夏に出場を果たしている。地元ではユニホームの表記通り「西短」で親しまれている。

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まだまだある、福岡の強豪校

九産大九州ナイン

 久留米商柳川といった西地区も強豪揃いである。久留米商は市立校で第1回大会にも出場している伝統校だ。62年夏には伊藤 久敏投手で準優勝。83年夏にもベスト4に進出している。柳川は、かつて柳川商時代から春夏8回ずつ甲子園出場を果たしている。甲子園通算では13勝16敗で、ベスト8にも3回進出刺している。

 九州産業大の系列校の2校も、それぞれ健闘している。九産大九州は、64年に創立し、15年春を含めて、春1回夏2回の出場実績がある。また、九産大九産は筑紫野市にあるが、日本電波工から南福岡工などの校名変更を経て、67年に九産大の付属校となった。当初は九州産業としていたが、現在は九産大九産で定着している。77年夏に甲子園出場を果たしている。15年秋季県大会では優勝を果たし九州大会に進出。初戦は突破したものの、準々決勝では鹿児島実に敗れてセンバツを逃した。

 筑陽学園03年夏に甲子園初出場を果たしている。かつては筑陽女子から大宰府との統合で共学の現校名となった。巨人の長野 久義の出身校だが、長野のいた日大の東都連盟の強豪校など、関東有力校で活躍する選手も多い。

 福岡県の学校は比較的頻繁に校名変更がある。前述以外にも、71年に甲子園に出た筑紫工が現在は筑紫台、門司工は豊国学園となっている。また、産業とのかかわりも見逃せない。かつては炭坑の街からの甲子園出場もあって、その後東海大相模の監督となる原 貢監督で全国制覇までしてしまったのが三池工。福岡田川も甲子園に駒を進めたことがある。また、今は廃校になってしまった飯塚商も一時代を築いた。現在は飯塚08年12年夏に甲子園出場している。嶋田学園の工業系私学として設立されたが、現在は普通科を併設しスポーツコースなども設置。楽天の辛島 航投手で初出場を果たしている。

 人気のあるのはやはり公立の名門校で、前記の小倉東筑は古くからの地元のオヤジが応援している。また、修猷館や福岡福岡などは学校そのものが県下で一、二を争う人気校でもある。とくに修猷館の場合、全国的にも有名なくらいの名門校という評価である。野球部もやはり人気は高い。質実剛健で硬派という印象もまた、九州男児のイメージにあっているともいえよう。もっとも、甲子園出場ということになると、東大や九大の合格者を増やすこと以上に困難ではあるが、上位に食い込むこともある。

 東海大五東筑紫学園といった、甲子園出場実績のある学校も、もちろん目が離せない存在ではある。

(文:手束 仁


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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