Interview

創志学園・髙田 萌生投手 『初の甲子園出場に導いた右腕の次なる目標は世代頂点投手へ』 【後編】

2016.07.25

 7月22日・岡山大会準々決勝・岡山理大付戦で自己最速を3キロ上回る154キロをマークするなど、1勝をあげたセンバツから、さらなる進化を続ける創志学園(岡山)の絶対的エース・髙田 萌生(たかた・ほうせい)。センバツ時点で178センチ75キロと投手としては決して大きくない身体からなぜ、あのようなスピードボールが投げられるようになったかを探った前編に続き、後編は最後の夏、そして注目を集めるプロ入りへの想いを追う。

センバツで気づかされた「心のコントロール」

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髙田 萌生投手(創志学園高等学校)

――そのセンバツですが、東海大甲府戦(1失点完投勝利)、高松商戦(5失点完投も敗戦)2試合共に甲子園で拝見させて頂きました。印象的だったのは高松商戦、3回に5点を失った後に吹っ切れたように腕が振れだしたことです。

髙田 確かにそうでした。5点は取られましたが序盤「まだいける、でもこれ以上は失点できない」気持ちで投げていました。調子は2回戦の方が腕も振れていましたし、立ち上がりから今までにないくらいボールのキレもあったんです。

――東海大甲府戦では緊張もあったのですか?

髙田 精神的な緊張はなかったんですが、序盤は身体が硬く、腕も振れていなかったですね。投げているうちに腕が振れるようになってきました。

――高松商打線に対戦した中で感じたことも今に活きていると思います。

髙田 高松商で最も怖かったのは5番の美濃(晃成)くん。実は明徳義塾中時代に高松市立古高松中の美濃くんとは対戦しています。その時はレフト前に打たれた記憶があるんですが……。彼と1番の安西(翼)くんと3番の米麦圭造くんは試合前から警戒しようということでしたし、彼らが勢いづくとチームも乗ってくる。3回(5失点)というのも、高松商が勝ち上がった勢いになってしまったと思います。

 この失点で一番大きかったのは美濃くんに打たれて3点取られた後に6番(植田 理久都<2年>)に食らった2ラン。あそこで流れを止めなくてはいけなかったのに、打たれたところが自分の甘さだと思います。自分の調子がよかったこともあって打たれた動揺もあったんですが、あそこで厳しくつける「心のコントロール」が大事なことを知りました。ですので、夏までの練習試合はピンチになっても1回冷静になって、インコースを厳しく突くこと、点を取られないことを意識してやってきました。5月の練習試合で東洋大姫路(兵庫)、佐賀商(佐賀)を完封できたのも「心のコントロール」ができたのが大きかったと思います。

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主張しあえる」仲間たちともう一度甲子園へ

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髙田 萌生投手(創志学園高等学校)

――センバツ後、春の岡山県大会ではベスト8。髙田 萌生投手は休養に充てる中でチームメイトが岡山大会のシード権を取ってくれました。

髙田 これまでは僕が一昨年の秋からずっとマウンドに立っていたのですが、チームが「2番手・3番手を作らなくてはいけない」という方針の中で登板はなかったんです。ただ、そのような機会があって改めて自分が最後の夏は「負けない投手」になるために夏への準備をしなければいけないと感じることができました。

――その準備の一環として、体重コントロールもあると思います。

髙田 (5月末の時点で)体重73キロ。センバツの時は75~76キロだったんですが、そこから少し減りました。昨年の夏は70キロを超えた状態で入って、決勝を終えた時点で67キロ。最後はボールに力が入らなかったので、ここはしっかりやっていきたいです。

――そんな髙田投手に気を遣い、共に闘ってくれる仲間たちの存在はどうですか?

髙田 僕は入学時から「この代は能力的に優れている選手が多いし、甲子園が狙える」と思いましたし、実際に昨秋は僕の調子が悪くても、しっかり得点を返してくれて助かりました。普段の生活でもいい意味で主張しあえる仲間たち。だからこそ、夏はもう一度甲子園に出て、もっと上まで行きたい想いが強いんです。

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「世代頂点投手」、「甲子園制覇」、そして侍JAPANへ

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髙田 萌生投手(創志学園高等学校)

――その中で自分の想いはどうですか?

髙田 僕は1年夏からマウンドを経験させて頂いていますが、これまでは自分が投げて負けています。最後の夏こそは岡山県の頂点を取りたい想いが強いです。甲子園に出ることが自分の目指している世界、勝つことでそれが現実に近づくと思うので、勝って、全国でも勝って、センバツでは勝ちきれなかったので、自分が投げて甲子園で松坂 大輔さんのように甲子園を沸かせる存在感ある投手になりたいです。

――スピードへのこだわりは?

髙田 そこもあります。一番に目指すのは「勝てる投手」ですが、次に世代で一番のスピードを出したいとは思っています。前編で話した「人差し指」を使うのも「強い、速い」ボールを投げるために、腕を振る、下半身との連動、投げ込みと合わせた技術。自分の力をボールに集めるように自分の身体を通じて考え、やっていく中でスピードも上がってきたので。

――最後にあえて聞きます。「高卒プロ入り」も含めた最後の夏への想いは?

髙田 そこが一番考えている形です。そこを目指すためにも、高校生のいい投手が多いこと世代の中で誰もが「誰が見ても高校生で一番は髙田」と言って頂ける投手になること。チームとしては甲子園優勝を目指してやっていきたいです。

――そして「侍ジャパンU-18」への想いも

髙田 そこも意識してやってきていること。選ばれるようにやっていきたいです。その先にあるだろう2020年・東京五輪も選ばれたい気持ちはあるんですが、そこはやってみないと解らないので、まずは実力をしっかりつけていきたいです。

 7月25日・[stadium]倉敷マスカットスタジアム[/stadium]で成し遂げた「創志学園岡山大会初制覇」。その歓喜の中心にいたのはもちろん髙田 萌生であった。晴れの国から始まる壮大なる夢。夏の聖地で彼は人差し指に、その想いを1球ずつ込めていく。

(文=寺下 友徳

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