Interview

平塚学園高等学校 高田孝一選手「復活の始まりとなるか?」

2016.04.19


高田孝一選手

 

 4月19日の桐蔭学園vs平塚学園の一戦は延長13回に及ぶ激戦となった。今回は敗れたとはいえ、気迫溢れる投球で復活した姿を見せた高田孝一投手の投球に迫っていきたい。

打者の手元でぐっと迫るようなストレートが復活!

高田孝一選手(平塚学園)

 復活した姿を見せたのではないか。
 1年夏から130キロ中盤の速球を連発。何より上半身と下半身のバランスが取れたフォームから投げ込む高田孝一の煌めく才能に魅入られ、丸2年が経とうとしている。高田が最も凄かったのが2年夏の横浜創学館戦。場所は同じ[stadium]平塚球場[/stadium]だったが、背負い投げのようなフォームから投げ込む140キロ前後の速球、落差抜群のフォーク、カーブはどれも一級品。まさに質のあるボールを投げることができる投手で、来年のドラフト候補になるのではと期待を込めた。

 次の東海大相模相手にも8回まで2失点に抑えるピッチングを披露し、投球術は全国レベルであることを示した。
 更なる飛躍を期待されたが、2年秋は不調。横浜隼人打線に打ち込まれて敗戦と悔しい負けを味わってきた。一冬越えてからは、あまり高田の評判は聞かれないまま、4回戦を迎えた。

 4月17日、高田はノーゲームとなった試合で先発登板をしている。しかし結果は芳しいものではなく、2回まで5失点。もし負けていれば、何も復調のきっかけを掴むことなく、夏を迎えることになっていたが、ノーゲーム。
 そしてリベンジするチャンスをもらったこの試合。味方が必死の粘りを見せ、2対2のまま9回裏に登場した高田。登板する前、八木監督に呼ばれ、話を聞く高田。そこで毅然と「ハイ!」と答える姿を見て、気合いが入っていたと感じる。

  マウンドに登った高田は素晴らしい出来だった。以前よりもテークバックが大きくなったフォーム。やや引きが大きいのが気になるところだが、高田の場合、どれだけ思い切り腕が振れて、強いストレートを投げられることが大事で、今回の高田は非常に良かった。ストレートはコンスタントに135キロ~140キロを計測し、最速140キロは6球は計測していて、ほとんどが138キロ、9キロ。手元でぐっと迫るようなストレートで見応えがあった。
同じ135キロ~140キロでも、どう感じるのかというところだが、高田の場合は打ち難いと感じる球質だろう。一応、140キロは出るけれど、ベース手前でぐっと来ない投手は、打たれる傾向が高い。
 10回裏に桐蔭学園の3番・柿崎颯馬はストレートに強い好打者で、昨秋、最速152キロ右腕・藤平尚真(横浜)からタイムリーを打っている選手だが、その柿崎と力の勝負を演じて、135キロのストレートで空振り三振を奪ったのは思わず唸らされた。
 最後はタイブレークの末、適時打を打たれて敗れてしまったが復活した姿を見せてくれた。昨年、高卒プロ入りした投手を何人か見ているが、ストレートの質、アベレージのスピードというのはそれほど変わりない。むしろ手元での勢いは高田より良いと思ったものだ。そこは強く叩くようなリリースができる点だといえる。

 この試合、ストレート中心だったが、たまに投げる鋭角に曲がるスライダー、カーブのキレも悪くなかった。
 今回の投球はさらに高いレベルで続けられるチャンスは出てきたかもしれない。最後の夏は、高田にとっては野球人生をかけた夏になる。
 この試合が復活の始まりと呼べるようになるか。
 昨夏から観ている人の心を熱くするようなピッチングを見せる投手だとは思っていたが、その思いはより強くなった。ぜひ多くの人の心を熱くさせるピッチングを期待したい。

(文=河嶋宗一


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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