Column

炭酸パワーを活用しよう

2015.11.16

 公式戦も残すところ明治神宮大会のみとなりました。ほとんどの高校では春のシーズンに向けた練習を行っていることと思います。またオフシーズンになるとシーズン中にはなかなか取り組めない体力強化に取り組むところも多いでしょう。練習の負荷(量や時間、強度など)と疲労回復とのバランスを常に念頭に置きつつ、よりパフォーマンスアップにつながるようにしていきたいものですね。さて今回は練習後の疲労回復にうまく活用したい「炭酸」についてお話をしたいと思います。

炭酸ジュースは砂糖の過剰摂取につながる

炭酸飲料は食事に影響しないレベルにとどめる

「炭酸は飲まないように」と指導されたことのある選手は少なくないでしょう。炭酸飲料に含まれるジュースには砂糖が多く入っているため、飲みすぎると糖質を大量に摂取することで食欲が抑えられたり、腹部の膨満感から食事量が減ってしまったりといったことが懸念されます。食事量が減ってしまうと体づくりのための栄養素が不足し、体内のミネラルバランスが崩れて足がつりやすくなったり、試合の後半にバテやすくなったりという傾向がみられます。

 また炭酸飲料を飲む習慣がついてしまうと急性糖尿病(ペットボトル症候群)になるリスクも高まります。こういったことを考えると砂糖を含む炭酸飲料はごほうび程度にとどめておくのが望ましいと言えます。

炭酸水を飲むタイミングと量

 一方で最近では糖分を含まない炭酸水もコンビニやスーパーなどで見かけるようになりました。大量に飲みすぎると腹部の膨満感を引き起こすことはジュース類と同じですが、食事前などにコップ一杯程度の炭酸水をとると、炭酸ガスが胃を刺激して食欲増進につながるといわれています。食事の量やバランスを考えてしっかり食べることはアスリートとしては必要不可欠なことですよね。ちょっと食欲がないかも…というような時に、うまく活用してみるのも一つの方法です。

 また糖質を含まない炭酸水は飲むタイミングや量などを調整することで、血行促進や疲労回復に効果があると言われています。炭酸ガスが充填された炭酸水は小腸から吸収され、血液中の二酸化炭素濃度が上がります。通常の二酸化炭素濃度よりも高くなると、体は血液中の酸素が不足していると判断し、血管を広げて血液量を増やすようになります。

 運動後には体内に疲労物質が蓄積しますが、血流がよい状態であれば疲労物質の代謝・分解といった作用もより早く行われるため、疲労回復効果が期待できるということになります。炭酸ジュースについても同じような効果は期待できますが、砂糖をどうしても多く取りすぎてしまうことが問題となるわけです。

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[page_break:炭酸ガス入りの入浴剤を活用 / 炭酸パワーを活用しよう]

炭酸ガス入りの入浴剤を活用

炭酸ガスを入浴にも利用しよう

 炭酸から得られる疲労回復などをはじめとするさまざまな恩恵は、飲むだけではなく、お風呂に入ることでも得られます。疲労回復を促すために、入浴は湯船につかってしっかりと体を温めることが基本ですが、これに炭酸ガスを含む入浴剤などを入れるとさらに効果的です。炭酸ガス入りのお湯につかると、皮膚から二酸化炭素が浸透し、血管を広げて血流量を増やすことが知られています(炭酸ガスは体内を循環し、肺を経由して体外に排出されます)。

 何も入っていない通常のお湯でも血液循環はよくなりますが、炭酸ガスが体内に浸透することで、炭酸を飲んだときと同様の反応が起き、血管拡張と血流量アップにつながります。また何も入っていないお湯では長時間入浴すると湯冷めをしたり、熱いお湯に長くつかっていられないといったことが考えられますが、炭酸ガス入りのお湯は温度以上に温かさを感じやすいので、ぬるめのお湯でも長くつかることができ、保温効果も高く湯冷めしにくいというメリットもあります。

 炭酸は意外とコンディショニングに役立つ優れもの。セルフコンディショニングの一つとして上手に取り入れて、疲労回復やケガ予防につとめましょう。

【炭酸パワーを活用しよう】
・糖質を多く含む炭酸入りジュースはごほうび程度に
・コップ一杯程度の炭酸水は胃を刺激し食欲を増進させる
・炭酸が血中内に入ると血管が拡張し、血流アップにつながる
・血行が促進されると疲労物質の代謝・分解サイクルが早くなり疲労回復につながる
・入浴時に炭酸ガス入りの入浴剤を使用することでも同様の効果が期待できる
・セルフコンディショニングの一つとして手軽に利用しやすい

(文=西村 典子

次回コラム公開は11月30日を予定しております。


注目記事
・【11月特集】オフシーズンに取り組むランメニュー

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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