大手前高松vs丸亀城西
興味深かった「布石」と「常道」対決
延長10回表一死満塁、勝ち越しの犠飛を放った成木 康隆(大手前高松)
まるで将棋の名人戦中継を見ているかのような興味深さが、この試合にはあった。
4番・主将・捕手。二塁送球到達タイム2秒を常に切る丸亀城西の絶対的支柱・桑田 一馬(2年・右投左打・173センチ67キロ・丸亀市立飯山中出身)に対し、1回・4回と半ば強引に盗塁を仕掛け強肩の餌食となった大手前高松。ただ、山下 裕監督に言わせればこれは「『足がやっぱりある』と見せるための布石だった」という。
事実、8回・10回には盗塁を2度成功。特に10回表。4番の成木 康隆(2年・一塁手・175センチ75キロ・右投右打・高松市立紫雲中出身)が一死満塁からの右犠飛により勝ち越した直後、3番の松岡 侑汰(2年・遊撃手・右投左打・162センチ56キロ・高松市立玉藻中出身)が成功させた二盗は、続く木村 翔(2年・捕手・右投左打・173センチ65キロ・高松市立太田中出身)の右前適時打と敵失が絡んでの決定的2点に直結している。
それとて、丸亀城西の評価はいささかも下がらない。「徹底してやりきったのは丸亀城西」と山下監督も認めるように、彼らはディフェンスから攻撃につなげていく「常道」を貫いた。
中でも130キロ前後のストレートを内角低めにしっかり投げられる大手前高松エース・門内 快航(2年・右投右打・172センチ67キロ・高松市立桜町中出身)に対し、9回裏二死二塁から3番・小野 幹武(2年・一塁手・左投左打・173センチ75キロ・三豊市立詫間中出身)が中越に放った同点二塁打は、自らのスタイルにこだわらずチームにとって最善の策を尽くす高校野球の原点を全て出した見事の一語である。
この日の勝利の女神は大手前高松に微笑んだ形となったが、両者の力はほぼ横一線。これからも両校には自らのスタイルは維持しながら、お互いのよきところを吸収し、切磋琢磨して香川県高校野球のレベルアップに寄与してほしいと切に願いたい。
(文=寺下 友徳)
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