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【侍ジャパンU-18代表コラム】杉崎 成輝 7打席連続安打と万能、そして「盟友」と目指す世界一

2015.09.04

 「第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」もいよいよスーパーラウンドへ。1stラウンドを5戦全勝1位通過の侍ジャパンU-18代表は、9月3日(木)その第1戦となるカナダ戦(B組3位)と[stadium]舞洲ベースボールスタジアム[/stadium]で対戦し5対2で快勝。4日(金)の韓国戦に勝利すれば、決勝戦進出が確定する。今回はそんなチームを7打席連続安打と左翼守備でけん引する2番打者・杉崎 成輝東海大相模<神奈川>3年)の打撃技術と秘められた強い決意に迫る。

7打席連続安打に結び付いた「下半身でのタイミング」

杉崎 成輝(東海大相模)

 日本一を獲った東海大相模(神奈川)の3番を張るこの左打者には、連日の試合開始遅れなど全く支障にはならなかった。

 1stラウンド・チェコ戦の第5打席で右中間を破った二塁打に始まり、続くメキシコ戦では4打数4安打。そしてこのスーパーラウンド・カナダ戦でも左翼二塁打に右前打。なんと7打席連続安打である。

 今大会では「8番・二塁手」からスタートした杉崎 成輝だが、メキシコ戦から外野手登録3名のうちの1人、豊田 寛東海大相模3年)の負傷により「2番・左翼手」となっても調子を整え。ここまで18打数10安打4打点。日増しに西谷 浩一監督をはじめ、首脳陣からの評価が高まっている。

 そんな杉崎だが、代表入り直後は木製バットの対応に苦しんでいた。
東海大相模における普段の練習でも木製バットの使用経験はあるが、21打数12安打6打点と打ちまくった甲子園での金属バット感覚が手に残りすぎ、代表合流当初はなかなか打球を飛ばすことができなかった。そんな悩める杉崎に手を差し伸べたのが西谷監督である。

「上半身が突っ込んだフォームになっていて、軸がぶれていると指摘されました」

 では、その助言を受け、杉崎は具体的にどこを意識して修正を施したのだろうか。
「下半身の股関節にしっかりと体重を乗せ、ボールを待つイメージです。ですので、試合でも下半身でタイミングを取ることを意識して打席に入りました」

 これが打撃を劇的に変える。試合前の練習から下半身を意識し、3試合を終え5打数1安打に終わった自分を変えにかかった杉崎。実は試合開始時間が2時間以上も遅れたメキシコ戦でも、彼は「練習ができる時間」とプラスに切り替え、[stadium]舞洲ベースボールスタジアム[/stadium]のブルペンでティー打撃をしてフォームを固めていた。

 いざスーパーラウンド!

【U-18】日本5戦全勝!走攻守すべてにおいて力を発揮した1stラウンドを振り返る

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2015年 第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ

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第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ

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7打席連続安打に結び付いた「下半身でのタイミング」(2)

杉崎 成輝(東海大相模)

 これにより上半身が突っ込まず、しっかりとボールを呼び込み、速球、変化球にも対応ができるようになった。そもそも他の打者に比べて無駄がなく、始動遅めでも立ち遅れることなく打ち返すことができている杉崎のスイング軌道。

 さらに「自分の打球はどう飛んでいくのか、それもイメージしなさい」とアドバイスした指揮官からの金言も頭に刻み、センターからレフト方向を中心に飛ばすイメージで打席に入った結果、下半身でタイミングを取り、軸でしっかりと回転するイメージ通りのスイングから、逆方向に強い打球を生み出せているのだ。

 だからこそ崩されても対応できる。カナダ戦の第1打席は外よりの変化球を流し打って、レフト前へ落とす二塁打。さらに第2打席も低めの変化球を引き付けて打ち返して右前安打これも「今まででしたら体が突っ込んでいて、凡打になっていましたが、第1打席、第2打席の安打も代表入り直後だったら打てていない安打でした」と杉崎本人も認める通り、下半身意識が生んだ「技あり」である。

 相手投手から見れば、これほど嫌な打者はいない。
「僕は長打が打てる打者ではないので、代表入りした時からそう考えていました。7打席連続で出塁を記録できたということなので、そこをプラスにとらえていきたいと思います」

 残り3試合も、背番号「6」は出塁へ並々ならぬ執念を燃やし続ける。

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[page_break: 無念の盟友のため、守り走って、聖地で再び頂点に]

無念の盟友のため、守り走って、聖地で再び頂点に

杉崎 成輝(東海大相模)

 さらに、杉崎の「対応力」は守備でも活かされている。メキシコ戦からは自身初経験となる外野手へ。

「相当な緊張感がある」と本音を語り、練習日となった9月2日(水)の外野手守備練習でも距離感覚に苦心する場面も見られたが、このカナダ戦では「センターのオコエ 瑠偉(関東第一<東京>3年)にポジショニングを指示してもらったりしたことで、まだ怖いですけど、初めて守れるようになったと比べると楽な心境に守ることはできています」と順応性の高さを披露。9回表に飛んだレフトフライも無難に処理した。

 もちろん彼のストロングポイントである「1つ先を狙う走塁」も。勝てば決勝戦進出が決まる韓国戦に向けて、杉崎がポイントとして指摘したのもそこだった。

「他国の試合を見ても、動きがゆっくりしていて付け入る隙はあると感じます。そこで(東海大)相模で培ってきた積極的な走塁を見せていきたいと思います」

 残り3試合は全てグラウンドが広い[stadium]甲子園[/stadium]。この夏に5試合を戦った彼ならば、十分に足で魅せられるフィールドとなるはずだ。

 そんな彼を支えるのは盟友への思いである。甲子園では「3番・ショート・杉崎」「4番・ライト・豊田」で大観衆を湧かせ、共に侍ジャパンU-18代表入りした豊田 寛は、オーストラリア戦で受けた死球により戦線離脱。

「代表入りした時は小笠原 慎之介と、豊田と僕の東海大相模3人で活躍していこうと決心しましたが、ああいう形になってしまって……。一番悔しいのは豊田だと思うので、その分、活躍していきたいと思っています」

 試合に出たくても出られない無念を抱える豊田を想えば、慣れない外野守備など苦にはならない。豊田と2人で外野を守り、打席で躍動し、走ったその先には……。

東海大相模、45年ぶり夏の甲子園全国制覇」以上に大きなタイトル「侍ジャパンU-18・初の世界一」が待っている。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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