【U-18ベースボールワールドカップ】日本5戦全勝!走攻守すべてにおいて力を発揮した1stラウンドを振り返る
26日に開幕した第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ。グループAに登場した侍ジャパンU-18代表は5勝0敗の首位で1stラウンド通過を決めた。ここで一次ラウンドについて振り返りつつ、スーパーラウンドで対戦するBグループのカナダ、韓国、キューバのチームについても紹介をしていきたい。
それぞれの選手が適材適所で力を発揮
勝俣 翔貴選手(東海大菅生)
メキシコ戦を終えて、西谷 浩一監督は
「チームとしてのまとまりがでてきました。この試合も勝つことで勢いをつけ、結束を固められました」
と語るように、大会を通して安定感ある戦いを見せてきたが、選手の状態がさらに高まってきていると手応えを感じている。
一次ラウンド5試合の中で10得点以上は4回、コールド勝ちが3回。投手陣はもっと素晴らしい働きを見せており、失点は39イニングでわずか1失点だが、自責点なしの防御率0.00!さらに投手陣を盛り立てるように失策数も2と抜群の安定感を示しており、今回の代表チームは投手陣、そして野手の攻撃、守備の成績が出場国の中でずば抜けている。
このチームの強みは選手それぞれに役割が設けられていて、力を発揮できていることだ。スラッガー・清宮幸太郎(早稲田実業)や、ブラジル戦で走者一掃の適時三塁打、チェコ戦で本塁打を放ち、打率7割の勝俣翔貴(東海大菅生)、メキシコ戦で3打点を記録した平沢大河(仙台育英)のようなポイントゲッターとして活躍を見せている選手もいれば、オコエ瑠偉(関東一)、舩曳海(天理)のように走攻守すべてで活躍する選手もいる。また、津田翔希(浦和学院)のように複数ポジションを守れる選手など様々なタイプがいて、それぞれがしっかりと仕事ができている。
守備のミスからの失点は致命的なミスにつながりやすいが、防ぎたくても起こってしまうもの。特に接戦になればなるほどプレッシャーがかかっているので起こりやすい。だが今年の代表選手は違った。その象徴的な場面が第2戦のアメリカ戦。5回表、一死満塁のピンチで二塁の津田が痛烈な打球をさばき遊撃の平沢に転送し、平沢が一塁に送球して鮮やかな併殺を完成させた。守備でリズムを作り、それが5回裏の3点につながった。今年のチームは、これは処理するのが難しいと思う打球を難なくアウトにしている。投手陣が力を発揮できているのは、打たせればアウトにしてくれるという安心感があるからだ。
防御率0.00を誇る投手陣だが、防御率と同等に誇るべき数字は奪三振率。なんと13.15(39回を投げて57奪三振)と三振が奪える投手が多い。理由としては、135キロ~140キロ前後のキレのあるボールを両サイドにしっかりと投げ分けができる上に、スライダー、フォーク、チェンジアップなどの決め球をしっかりと持っていて、国際大会で活躍する条件を、野手起用の勝俣を除くと全員がしっかりと備えていることにある。
組み合わせと応援メッセージは下記リンクから!
・2015年 第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
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お互いがカバーしあう、即席チームとは思えない一体感が最大の魅力
杉崎 成輝(東海大相模)
スーパーラウンドへ向けても、やはり投手の出来がカギを握るといっても過言ではない。その投手陣の持ち味を引き出すためには捕手陣のリードが不可欠だ。アメリカを破る陰のMVPとなった郡司裕也(仙台育英)のような、打者の弱点を徹底的についたり、打者の反応を見て瞬時に組み立てができる頭脳があり、スーパーラウンドでもリード面でますます活躍が期待されるだろう。
ベンチ入り人数が20人と少ない人数で戦う今大会は、ケガをしない、疲れを溜めないことが大事だが、オーストラリア戦で死球を受けた豊田寛が負傷で欠場。さらに清宮幸太郎も膝の違和感を訴え、チェコ戦で途中交代し周囲を心配をさせた。だが豊田の穴を埋めたのは勝俣。チェコ戦では先制となる3ラン本塁打を放ち、チームに勢いを乗せると、清宮が欠場の間、捕手登録の伊藤寛士(中京大中京)が一塁の攻守でしぶとい活躍を見せるなど、しっかりとカバーができている。
また内野手登録の杉崎成輝がレフトでスタメン出場したメキシコ戦では左飛を無難にさばくと、打撃でも4打数4安打と早速結果を残したことは、首脳陣にとってはありがたいことだろう。思えば代表練習が始まったのは22日という即席のチームだが、そうとは思えないぐらいの一体感でチームワーク良く戦えているのが今回の代表チームの最大の魅力といえる。スーパーラウンド以降も「結束」というワードがかなり重要になってくる。
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今年のカナダ、韓国、キューバはどんなチーム?
ジョシュ・ネイラー(カナダ)
良い形で一次ラウンドを終えた侍ジャパンU-18代表。ではスーパーラウンドで戦う3カ国はどんなチームで、どういった戦いをしていければ良いのだろうか。
まず3日に対戦するカナダは、マーリンズからドラフト1位指名を受けたジョシュ・ネイラーを中心とした破壊力ある打線がウリ。ネイラーは185センチ103キロと同じ18歳とは思えない体格、風貌をした選手。スイングの速さ、打球の力強さがあるが、変化球にもくらいついていけるしぶとさがあり警戒しなければならない打者で、チャンスの場面では迎えたくない選手だ。だが、投手力、守備力はやや劣るところがあり、侍ジャパンU-18代表の一つのウリである機動力を仕掛けることが重要となってくるだろう。
そして4日に対戦する韓国は、投打ともにレベルが高く、特に投手陣のレベルは出場国の中でもトップクラス。カナダ戦で先発した崔 忠然は真っ向から振り下ろすフォームから140キロ中盤の速球を計測する本格派。さらにクローザー的な起用をされる李 渶河も145キロ前後の速球を投げる投手で、速いボールを投げる才能は日本を凌駕している。また、やや荒れ気味だが、135キロ前後の速球とキレのあるスライダーで勝負する左腕・朴 世津もおり、タイプは様々。
打線では1番を打つ崔 元準が、変化球をしっかりと逆方向に打ち返せる完成度の高さを持った左打者だ。今年はつなぎながらも長打を打てる選手が多く、苦戦することが考えられる。やはり試合展開とすれば、アメリカ戦のような1点を争う攻防が予想される。
5日に対戦するキューバは3番ロベルトに注意。イタリア戦で2本塁打を放ったが、力みがない構えから強烈な打球を飛ばす選手で、今年のキューバ打線の打者の中で、最も穴が少ない。勝負強さもある選手で彼の前に走者を溜めないことが重要だ。今年のキューバは初球から積極的に打っていくことは少なく、2ストライク目から際どいコースを投げると打ち取られる姿を目にしてきたが、少しでも高めに入ると逃さず打ってくる怖さがあり、2ストライクまでどう追い込んでいき、その後どう抑えるかが問われそうだ。
キューバ投手陣は突出した球速、変化球を投げるわけではないが、外が広い国際大会のゾーンをしっかりと読み切って、そこに攻めこんでいく傾向がある。だが走者がいる時の警戒が甘く、機動力を仕掛けていきながらキューバのリズムを崩す戦法が有利になりそうだ。
こうしてみると、代表チームの強みである投手力、守備力、機動力がしっかりと発揮されれば、優位に試合運びができるだろう。特にポイントとなるのは韓国戦になりそうだが、まずカナダ戦に勝利し、そして日韓戦を制すれば、決勝進出に大きく前進することになる。
初のワールドカップ制覇を目指す侍ジャパンU-18代表。より結束を深め、一次ラウンド以上の戦いぶりを見せることに期待したい。
(文=河嶋 宗一)
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