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栄養学セミナー開催!特別コラム(1) 『ポジション別の参考栄養素がある!?』

2015.03.03

 3月1日、東京都内にて高校野球ドットコム プレゼンツ 夏の大会のためにベストパフォーマンスを出せる栄養学セミナーを開催しました。今回の講師は、高校野球ドットコムのコラム「セルフコンディショニングのススメ」でお馴染みの西村 典子トレーナー(東海大学硬式野球部専属トレーナー)。

今回は特別に、講演の模様をレポートしていきたいと思います!すぐにでも実践したくなる栄養学のお話が満載の内容です。

アスリートにとって必要な食習慣

東海大学硬式野球部トレーナー・西村 典子さん

 西村トレーナーは、アスレッティックトレーナーとして主にコンディショニングに関して指導することが多い。しかしその傍ら、各地で栄養学の講演をし、野球選手に対して食の重要性を伝えたり、自身が指導するチームでも栄養面のチェックを行ったりしている。

 まず最初に、西村トレーナーが参加者に対して、食事に関するセルフチェックを行った。そして、その結果をフィードバックし、アスリートとして守りたい4つの食習慣の説明をした。

・欠食をしない
・好き嫌いをしない
・基本的な食事の形を揃える
・トレーニングスケジュールに合わせて食事時間と内容を考える

 上記4つを守った上で、野球に限らず競技力を向上させる3つの要素として「技術練習」、「栄養」、「休養」が大事になってくるということを講義に入る前に説いていた。

 野球選手にとって食べることには、2つの目的がある。

・野球が上手になるために食べる

・ケガに強くなるために食べる

 この2つの目的を達成するために主に摂ってほしい栄養素として、「糖質」、「脂質」、「タンパク質」の三大栄養素を挙げ、これがエネルギー源、筋肉や骨、血液などといった体をつくる要素になることを説明する。
高校球児が1日に取りたい食品には、

・身体をつくるもの(肉、魚、豆、卵、乳製品)
・エネルギー源(ごはん、パン、芋、餅、油脂類)
・身体の調整役(野菜、きのこ、海藻、果物類)

 これを踏まえて、1日4500キロカロリーを摂取することが理想。ただ、ご飯をたくさん食べるだけでは不十分だ。体を作りたいと思って、肉だけを食べるだけではなく、健康を保つために、野菜や果物も摂る必要があるのだ。

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[page_break:なぜ3食摂らなければならないのか?]

なぜ3食摂らなければならないのか?

 1日3食摂ることの重要性はかなり広まっている。では朝、昼、晩の食事にはどんな役割があるのだろうか。

朝=脳への栄養補給(睡眠中、脳が栄養補給されていないので、エネルギーを補給するため)
昼=栄養エネルギーの補給(1日の活動のエネルギー源)
晩=組織への栄養補給(筋肉、骨などを体を作る栄養素を補給)

講義を聞く参加者の方々

 西村トレーナー曰く、この各食事の役割について、世間ではあまり浸透していないようだ。今回の講義中に、とくに細かく説明をしていたのが、朝食の重要性について。西村トレーナーは、長年トレーナーをしている中で、朝食を摂らないアスリートが年々多くなってきていることを感じている。データを挙げると、朝食を食べないアスリートは、10人に1人と驚きの結果。理由として挙げられるのが「前日のオーバートレーニング」「就寝時間の遅さ」「食欲不振」など。

 起きたばかりの身体は、

・体温・血糖値が下がった状態
・就寝時の発汗で水分不足
・エネルギー源の少ない状態

 そんな状態で体を動かせば、ケガにつながることも理解できるはず。だが、日頃の生活習慣が、朝食を食べない原因につながってしまっている。実際に西村トレーナーが指導をしている練習中に、顔色が悪い選手に声をかけてみると「朝食を食べていない」という返答が、ほとんどということだ。

 朝ご飯の基本として、

・主食(ごはん、パン、麺、もち、シリアル)
・主菜(卵、肉、肉加工品、魚、豆)
・汁物(水分補給)
・副菜(野菜のおかず)
・果物・乳製品(朝の果物は金!)

 この5つを中心に摂る必要性を説明した。

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[page_break:ポジション別の参考栄養素がある!]

ポジション別の参考栄養素がある!

参加者の質問に答える西村 典子トレーナー

 西村トレーナーは、ポジション別に参考栄養素があると説明した。バランス良く食べる、ということは理解できるが、ポジション別に必要な栄養素があるのは、あまり知られていない概念だろう。
ただ、これを多く摂取すれば良いということではなく、あくまでバランス良く食事を摂っていることが大前提である。それを理解した上で、投手はこの栄養素、捕手はこの栄養素を摂取する、といったことが必要だ。

 各ポジションごとに必要とされる栄養素とオススメの食材は以下の通りだ。

投手:スタミナが求められるポジションなので、ビタミンEの摂取。オススメの食材はかぼちゃ。
捕手:判断力が求められるので、DHAを多く含む魚。特にオススメの食材はブリ。
一塁手:体の柔軟性が求められるので、クエン酸。オススメの食材はみかん。
二塁手:軽快さが求められるので、ビタミンB群。オススメの食材はサバ。
三塁手:ホットゾーンと呼ばれるこのポジションは体の強さが求められるので、亜鉛が良い。オススメの食材はカキ。
遊撃手:瞬時に動ける判断力が求められるので、タンパク質。オススメの食材は卵。
左翼手:地味と思われがちだが、ポジショニング、打球判断など総合力が求められるポジションなので、必要な栄養素は乳酸菌。ヨーグルトの乳製品がオススメ。
中堅手:打球をしっかりと追うには視力が必要。そうなるとベータカロチンを多く摂取できるニンジンがオススメ。
右翼手:強肩が求められるポジションでコラーゲンが必要。食材としては手羽先がオススメ。

 また控え選手の場合もあり、三塁コーチは判断力が求められるので、ビタミンCを含む食品を薦めていた。このポジションに該当すると思った球児は、いつもの食事に加えて、オススメ食材も一緒に摂った方が良いのかもしれない。

「食事の大切さ」、「3食を摂る重要性」、さらには「ポジション別に栄養を摂る必要性」を説明してくれた西村トレーナー。後半では、体を大きくするためにはどんな食生活をすればよいか、試合前の食事の摂り方、知っておきたい熱中症の予防策についても語っていただいております。お楽しみに!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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