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第87回選抜高校野球大会の選考を振り返る【北海道、東北、関東、東京 編】

2015.01.24

北海道、東北、関東・東京 出場校一覧

選抜大会 (参考)選手権大会
地区 区分 高校名 都道府県 出場回数 過去の戦績 出場回数 過去の戦績
北海道
(1枠)
私立 東海大四 北海道 14年ぶり6回目(夏春連続) 2勝5敗 5 3勝5敗
東北+明治神宮大会枠
(3枠)
私立 仙台育英 宮城 2年ぶり11回目 11勝10敗(準優勝1) 24 25勝24敗(準優勝1)
県立 大曲工 秋田 初出場
私立 八戸学院光星 青森 2年連続8回目(3季連続) 6勝7敗(準優勝1) 7 18勝7敗(準優勝2)
関東/東京
(6枠)
私立 浦和学院 埼玉 2年ぶり10回目 17勝8敗(優勝1) 12 10勝12敗
私立 木更津総合 千葉 44年ぶり2回目 3勝1敗 4 4勝4敗
私立 健大高崎 群馬 3年ぶり2回目(夏春連続) 3勝1敗 2 4勝2敗
私立 常総学院 茨城 2年ぶり8回目 11勝6敗(優勝1準優勝1) 15 25勝14敗(優勝1準優勝1)
私立 東海大菅生 東京 9年ぶり3回目 0勝2敗 2 1勝2敗
私立 二松学舎大附 東京 11年ぶり5回目(夏春連続) 4勝4敗(準優勝1) 1 1勝1敗

北海道地区 枠1・候補校5  
北海道・関東・東京地区小委員会の出席選考委員14名(磯部史雄委員長)

大澤 志意也 (東海大四)

北海道大会組み合わせ表と試合結果はこちらを参照

 磯部委員長はまず、「新チームになって日が浅く、投手陣の整備が遅れ気味だった」と北海道大会全体の感想を話した。

 例年通り1枠のため、優勝校が順当に選出された。

 決勝は緊迫した好ゲームが展開されたが、総合力で上回る東海大四が優勝した。投手力、打撃力とも特に際立った選手はいないが、緩急を生かして粘り強い投球をしたエース・大澤志意也が、初戦を除いて3試合を1人で投げ抜いたのが大きな力となった。今後十分に投げ込みを行って、もう少しスピードをつければ投球の幅が広がると思われると春以降の成長に期待するコメントがあった。攻撃では3番を打つ山本浩平が2本塁打を放ったが、長打力のある打者は少なく、むしろチャンスになると一気にたたみかける集中力が特徴。ただ不安材料は、4試合で8失策の守備。「正確な送球を心がけるなど守備力を鍛えることと、足を使った機動力野球に磨きをかけることが課題」と磯部委員長は話した。

補欠校 北海

東北地区 枠3・候補校13
東北・近畿地区小委員会の出席選考委員13名(杉中豊委員長)

佐藤 世那(仙台育英)

東北大会の組み合わせ表と試合結果はこちらを参照

 杉中委員長はまず、「延長15回引き分け再試合が2試合あり、いずれも花巻東が関わった。結果的に大会日程が2日間延びる異例の大会となった」と感想を話した。

 仙台育英がは、全4試合のうち3試合が二桁得点(2試合がコールド勝ち)と圧倒的な力を見せての優勝だった。エースの佐藤世那は180センチの長身から140キロを超える直球を軸に、スライダーとフォークを交え、防御率1.45(4試合31イニング)と全国レベルの好投手と評価された。攻撃では上位から下位までムラがなく、チーム打率3割5分7厘。3番平沢大河、4番郡司裕也、5番佐々木良介のクリーンアップは、打力と長打力が凄まじいものがあった。チャンスを迎えた時の集中力、たたみかける攻撃は圧巻。投攻守に高いレベルを示した同校が1位校として選出された。
 2番目は準優勝の大曲工。1戦ごとに力をつけ、粘り強い戦いぶりと、思い切りが良い力強いスイングが持ち味で今大会を大いに盛り上げた。準々決勝では優勝候補の一角である花巻東と二回対戦。最初の試合は延長15回引き分けた。

9回以降は再三のサヨナラ負けのピンチを凌ぎ、先発の武田龍成は粘りのピッチングで完投した。再試合では打線が大爆発し、12安打のうち本塁打3を含む10本の長打を放った。チームの中心は背番号7のエースで4番・武田。前後を打つ3番・中野星夜、5番・中邑一生は優勝した仙台育英に匹敵するクリーンアップだとの評価があがった。

 仙台育英の明治神宮大会優勝によって増えた3枠目は、ベスト4の2校で争い、優勝校に敗れた八戸学院光星が選出された。大きなポイントとなったのが、昨夏の甲子園からエースとして活躍した右腕の中川優と左腕・呉屋開斗の存在と安定感。中川はピンチにも動ぜず、130キロ台後半の直球と多彩な変化球を交え、制球力で勝負する投手。呉屋はキレのある直球とスライダーが持ち味。攻撃では4番・澤田俊一、5番・中崎寿希也が中心。ただ、下位打線の強化は課題との言葉も付け加えられた。

補欠1位 鶴岡東 
補欠2位 花巻東 

<コラムに登場した学校の野球部訪問を紹介!>

第147回 仙台育英学園高等学校(宮城)


第8回 光星学院 強打の秘密/田村・北條を生み出した練習法(1)


第9回 光星学院 強打の秘密/田村・北條を生み出した練習法(2)


第10回 光星学院 強打の秘密/田村・北條を生み出した練習法(3)

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[page_break:関東・東京地区の選考状況]

関東・東京地区 枠6・候補校20
北海道・関東・東京地区小委員会の出席選考委員14名(磯部史雄委員長)

津田翔希(浦和学院)

関東大会の組み合わせ表と試合結果はこちらを参照

東京大会の組み合わせ表と試合結果はこちらを参照

 例年通り、基本枠の関東4と東京1を最初に選出した。

 関東1校目は浦和学院江口奨理小倉匡祐の両左腕投手が安定した力を発揮し、関東大会を制した。江口は1回戦の桐光学園戦準々決勝の東海大甲府戦を完封。また小倉は、決勝で木更津総合を3安打に封じた。ソツのない攻めと、ショートの津田翔希主将を中心に安定した守備を十分に発揮したと文句ない評価を得た。
 2番目は木更津総合。左の早川隆久、右の鈴木健矢と両投手がそれぞれ持ち味を発揮した。早川は140キロのスピードと変化球の絶妙なコントロールがあり、三振を多く取れる投手。鈴木は右横手投げからの直球に力があり、スライダーとのコンビネーションも光った。攻撃よりも守備のチームであり、センターラインを中心とした堅い守りで投手を支えた。
 3番目は常総学院樫村雄大鈴木昭汰の継投策でベスト4まで勝ち上がった。攻撃では足が速い1、2番が出塁して得点に結びつけるケースが多く、全員が初球から積極的に打ちにいくのが印象に残った。さらに足を絡めた機動力野球がチームの特徴でもある。

 4番目は健大高崎。技巧派左腕の川井智也が本調子でなかったが、その分を打撃が援護した。準々決勝の松戸国際戦で15安打、準決勝では浦和学院に敗れはしたが、17安打を放ち持ち味の機動力も健在だった。

 東京は優勝した東海大菅生が1校目として選出。磯部委員長は「エースで3番打者でもある勝俣翔貴の活躍で東京大会を制したといっても過言ではない」と絶賛。180センチ78キロの恵まれた体から繰り出す直球は140キロ台のスピードと、縦のスライダー、フォークを絡めて力で打者をねじ伏せ、6試合中5試合で完投した。ただ守りの堅さは高く評価されたものの、課題として下位打線が少し弱いと春へ向けての期待感も付け加えられた。

 関東5番目と東京2番目で争うラスト1枠。まず関東5番目には優勝校に敗れた東海大甲府が土俵に残った。東京は文句なしで準優勝の二松学舎大附が比較の対象となった。

 材料は投攻守。磯部委員長は「迫力ある攻撃が魅力の東海大甲府二松学舎大附の総合力を推す意見で分かれた」と議論が白熱したことを物語った。その中で最終的に決め手となったのが、二松学舎大附の左腕・大江竜聖の落ちついたマウンドさばきと、140キロの直球にスライダー、カーブ。フォークを交えた投球術。3回戦の早大学院戦では延長15回を投げ抜くなど、6試合をすべて完投した。

※ラスト1枠の選考を読み解く

 昨年の二松学舎大附は、同じ東京準優勝ながらディフェンス面での安定感がポイントになって出場できなかっただけに、今年はこの投手力の安定をしっかりと印象付けたことが二松学舎大附の念願達成に繋がったと感じられる。

関東補欠1位 東海大甲府
補欠2位 平塚学園

東京補欠1位 関東一
補欠2位 法政大高

<コラムに登場した学校の野球部訪問を紹介!>

第151回 高崎健康福祉大学高崎高等学校【前編】


第159回 高崎健康福祉大学高崎高等学校【後編】


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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