試合レポート

北大津vs和歌山東

2014.10.20

激しく動きまくったゲーム!

北大津vs和歌山東 | 高校野球ドットコム

勝った北大津の草野はホッとした表情

 9回に2点を勝ち越した北大津。その裏、ダブルプレーで最後の打者を打ち取ったエース・草野晃平(2年)は、『さすがに疲れた』という表情で挨拶の列に向かった。貝塚茂夫監督も、「疲れる試合でしたね」が第一声。ナインも、勝てたことが何よりという面持ちだった。

 試合時間は2時間23分。

 8得点の北大津は、15安打で4四死球4失策をもらい、残塁が12。
 6得点に終わった和歌山東は、14安打で8四死球1失策をもらい、残塁が15。

 この数字とイニングスコアを見ると、いかに序盤から激しく動き、試合の中で落ちつく部分がほとんどなかった展開だったかということがわかるだろう。

 ただ北大津サイドから見れば、勝ち越した後に二度追いつかれながら、逆転されなかったというのが勝ちに繋がる要因の一つだったように思える。特にポイントだったのが、貝塚監督が早めに切ったカードだ。

 一つ目のカードは、継投。先発に1年生右腕の竹村航を立て、エースの草野を後ろに残した。「最初から左投手の草野にどこで代えようかなというのを考えていた」と話す貝塚監督。プランからは少し早かったそうだが、1点差に詰め寄られた直後の4回表からエースを投入した。

 二つ目のカードは前半の5回までで規定の3回を使い切ってしまったタイム。試合が振り出しに戻った6回以降、貝塚監督は伝令を送ることはできないし、内野陣だけで集まることもできない状況になった。「選手たちには5回が終わった時に、(タイムを」3回使っちゃったからゴメンと言った」と苦笑いしながら明かした指揮官。

 

 
 
 


北大津vs和歌山東 | 高校野球ドットコム

勝負の分かれ目となったバント失敗

 そんな中で生きたのが春の近畿大会でもベンチ入りしていた草野の経験だ。肩痛から復活して間もないというエースはコントロールに苦しみながらも、何とか耐えた。

 7回に和歌山東の代打・門田武蔵(2年)にタイムリーを浴び、この試合で二度目となる同点に追いつかれた草野。さらに勝ち越されるピンチだったが、相手の上位打線を抑えて踏ん張った。そして次の8回、勝負の分かれ目が訪れる。

 このイニングも連打を浴びて一死一、二塁とピンチを背負う。攻める和歌山東の米原寿秀監督は、途中出場の7番中澤駿文(1年)に二死覚悟の送りバントを指示する。マウンドの草野は、「バントをされたくないと思って腕を振った」という意図で中澤に対した。

 1球目、2球目ともバントがファウルになる。3球目と4球目は米原監督のサインが変わることも想定して、草野と竹馬孝哉(2年)のバッテリーは少し外し気味の配球でボールにして様子を見た。そして5球目、中澤のバントがキャッチャー竹馬への小フライとなる。狙い通りにバントをさせなかった草野の勝ち。この攻防が大きなポイントになった。

 この後、四球で満塁となるものの、前の打席で打たれた門田をセンターフライに打ち取った草野。9回表の攻撃では、「塁に出ることだけを考えていた」と先頭打者で三塁打を放ち、8番山口孔明(2年)の犠牲フライで決勝点となるホームをヘッドスライディングで踏んだ。

 「お前たちには今日はツキがあるぞ、だからあれだけピンチになっても凌げたと9回の攻撃前に選手に言いました。産みの苦しみだと言ったら(9回に)点が入ってくれてラッキーだと思いました」と、貝塚監督はタイム(伝令)というベンチからのカードが切れない状況を乗り切った選手を讃えていた。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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