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一次予選を戦う、フィリピンの野球とは?

2014.08.31

 明日から開幕する第10回BFAアジア選手権。日本は1次ラウンドでフィリピンと対戦する。今年のチームはどんなチームなのか?野球事情を伺ってみた。

第10回BFA選手権に出場するフィリピン。フィリピンといえば、首都・マニラにあるリサール・メモリアル・スタジアムはベーブルースがプレーしたスタジアムで現存する数少ない球場の一つであり、とても歴史が長い国である。

高校時代の高橋さんの投球シーン(横浜桜ヶ丘出身)

 代表監督は高橋将人さん。高橋さんは父が日本人、母がフィリピン人のハーフである。高橋さんから今年のフィリピン野球代表について伺った。

 まず高橋さんの経歴と監督に就任する経緯まで説明したい。
 高橋さんは。神奈川県の横浜市立神奈川桜丘高校出身。高橋さんは2年生まで三塁手を務め、3年生は投手・三塁手を務め、最後の夏は3回戦で横浜隼人に敗退した。
卒業後は神奈川大学に進学。1年間は硬式野球部に所属していたが、2年から軟式野球に転向し、3年夏に全国大会優勝を経験している。

 今年、高橋さんは英語の勉強と2017年のWBCフィリピン代表選手になるためにフィリピン留学を決意。今年の5月にフィリピンナショナルリーグの大会中、フィリピンの野球事情に詳しい板倉さんと出会う機会があった。板倉さんとフィリピンアマチュア野球協会の代表とランチミーティングを行い、高橋さんは自分の夢を語った。

 そしてその3日後、高橋さんは18Uの代表監督のオファーを受け、就任した。大会まで土日祝でセレクションで18人に絞り、練習を行ってきた。選ばれた18名は高校生と大学生が入り混じったチーム。フィリピンは中学がなく、小学校を卒業した後は4年間、高校生活を送り、17歳から大学生になる。そのため18歳以下の選手でも大学生が加入したチームなのだ。

エースとして期待されるフランシスコ選手

 高橋さんは選ばれた18名の中から5名のキーマンを紹介していただいた。
 高橋さんが真っ先に名前を挙げたのが、エイジェイ・フランシスコ(AJ Francisco)選手。彼は1年間アメリカ留学して、年間160試合もこなすなどフィリピンが誇るエリート選手。投手を務め、最速135キロの直球、キレのあるスライダーを武器にする右の実戦派右腕。打撃も良く、投打ともに鍵を握る存在だという。投手陣ではディアラ(Junmar Diarao)も鍵を握る。高校時に全国大会の優勝ピッチャーで、多彩な球種を操る変則左腕だという。

 フランシスコ・アンダヤ(Fransisco Andaya)選手は小柄だが、俊足でシュアな打撃が光る内野手。主に1、2番を打ち、日本人選手のように小技に長けた選手だという。

 注目なのがミゲル・オフィラダ(Miguel Ofilada)選手。彼はチーム最年少の15歳だが、恵まれた体格から長打力をウリにする選手だ。主にサード、ファーストを務め、打線のキーマン。日本から来てフィリピンチームを指導した高橋さんの知り合いもミゲル選手が一番目に留まったという。

投手も兼ねるマルカド選手

 さらにはマックス・マルカド(Max Mercado)選手。マックス選手はタナワン出身で、3年前にリトルリーグのワールドシリーズでアメリカ遠征経験あり。細身だがパンチ力のある打撃と強肩がウリで、投手も兼任する。

 最後にこの大会にかける意気込みについて伺ってみた。
「フィリピン野球の経済事情は結構シビアで、年々支援が少なくなっています。支援をいただくには国際大会の戦績は重要です。一次リーグ突破が目標です!」
一次リーグ突破するためには2位以内に入らなければならない。今後、18Uを目指す選手たちが野球が出来るためにも、第10回BFAアジア選手権は負けられない戦いなのだ。


左からアンダヤ選手、ディアラ選手、フランシスコ選手、マルカド選手、オフィラダ選手

(文=河嶋宗一

一次予選で戦う中国チームとは?
一次予選で戦うスリランカチームとは?

第10回 BFA 18Uアジア選手権

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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