第61回沖縄県高校野球春季大会の展望
第86回選抜高校野球大会に出場する明治神宮大会覇者の沖縄尚学と、九州地区高校野球大会準優勝の美里工が不在となる春季県大会の組み合わせが決まった。
県内二強が不在の春となるが、だからこそここで頂点を極め、第134回九州地区高校野球大会の切符と、夏のシード順位を決するチャレンジマッチへの権利を手に入れることが、他のライバル達にとって必須となってくる。では各ブロック毎の展望を見ていこう。
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Aブロックの展望
秋季県大会三位、秋季九州地区大会でも初戦を突破した八重山商工がシード。三位決定戦を含めた全6試合58イニングを、一人で投げ切る驚異的なスタミナを誇る馬場 寿希矢が大黒柱。自責点が僅か5で防御率は0.76。被打率.157という数字も光る。その馬場から2点を奪った沖縄工が再び立ちはだかりそう。好左腕の仲里 健吾も3失点したものの、八重山商工打線から8三振を奪っている。
同じく秋ベスト8で21世紀枠候補にも上がった知念や、16強の陽明、与勝に加え、身体能力の高い選手が揃う沖縄宮古を向こうに回して、8イニング無失点に抑えた屋宜 裕らを、2010年に嘉手納で選抜出場した経験を持つ眞玉橋監督が率いる美来工科や、好投手・浜川 優馬がいる沖縄石川、古豪の那覇も侮れない。
Bブロックの展望
普天間を9奪三振1失点、続く沖縄尚学には9安打を許すも2点と王者を最後まで苦しめた山入端 立郎が健在の真和志がシード。絶対エースの譜久村 誠悟や強打の砂川らを擁した、昨年の準優勝メンバーに追い付けるかどうかは、山入端の左腕にかかっている。
秋に延長11回の末に読谷に敗れた糸満だが、1月に行われた野球部対抗競技会にて全体の1位を獲得した。100m走で1位の神谷 大雅をはじめとしたナインのその脚力は間違いなく沖縄No.1。対戦相手を戦々恐々とさせるに違いない。その糸満や沖縄水産を1点差で破ってベスト16入りした読谷も勝負強さが光る。上位候補の普天間や沖縄宮古も入ったこのブロックに、復活を懸ける興南が加わり最激戦区の様相となった。沖縄尚学に6回2失点とゲームを作った荻堂 重晃はもちろん、2イニング6人に対して無安打に抑えた城間 楽人にも注目が集まる。
Cブロックの展望
二年連続で秋の九州大会へ出場した宜野座がシード。浦添商に流れを渡さなかった伊保 拓海、漢那 憲李、知念 諄也のリレーや、コツコツと繋げる打線など、粘り強さを身上とする。
ライバルとなりそうなのが那覇商、前原、西原の秋ベスト16組。試合巧者の豊見城や昨年優勝の北山、同三位の八重山らがそれに続く。復活を期する一年生大会4強左腕、島袋 洋平の小禄もダークホースだ。
Dブロックの展望
美里工・伊波友和には4安打と抑え込まれたものの、それまでの3試合で39安打を放った強力打線の嘉手納がシード。新人中央大会で周囲の度肝を抜いた知花 由樹・大城 璃功のCO砲を中心としたチーム打率は、準々決勝までの4試合を終えて.341にまで上った。桃原 瑠希・當山 富芳と左右の投手も揃える嘉手納が、バランス的にも一番良いだろう。その嘉手納にストップをかけそうなのが、一回戦屈指の好カードでもある首里対中部商の勝者だ。
首里は昨年の一年生大会8強、今年の一年生大会準優勝と、ここ数年の間では一番期待が持てるチーム構成になってきている。対する中部商は真和志に敗れたとはいえ、延長13回と互角の実力を見せつけている。
新人中央大会準優勝のコザと、秋ベスト8浦添商。優勝候補の二校が早くも二回戦で激突しそう。1点を争うような好ゲームが期待される両者。ここで勝ち残った方が一気に波に乗る可能性を秘めている。
その他にも力のある浦添と具志川、北中城と宜野湾と最後まで分からない実力伯仲の4チームが星を潰し合う。この厳しい戦いを制したナインが、先述した嘉手納・首里・中部商の勝ち上がりとぶつかる三回戦など、Bブロックに劣らない激戦地となりそうだ。
組み合わせ表(沖縄県高野連HP)
応援メッセージはこちらよりご覧ください
(文=當山 雅通)