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クオリティピッチング 黒田博樹著 KKベストセラーズ

2013.06.24

読書のすすめ




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黒田博樹の「コントロールをよくする」ではない「よく見せる」極意

どうやったらアウトコース低めにいいボールが投げられるようになるのか。
コントロールがよい投手になれるか。
どんな投手でも、指導者でも頭を悩ませる問題です。
ニューヨーク・ヤンキースでエースとして活躍する黒田博樹投手は、著書「クオリティピッチング」において非常に興味深い見解を示しています。

「(僕は)コントロールがいいように“見せられるようになった”だけで、コントロールは決してよくありません」
メジャーでも「精密機械」と言われるほど、コントロールがいいと言われる黒田投手が「決してコントロールがいいわけではない」と書いているのです。一体どういうことか。
黒田投手は、プロの投手でも狙ったコースにいつも投げられる投手はそうそういない、とした上で、マウンド上で重要なことは、

「いかに失投を失投に見せないか。アウトコース低めいっぱいの球に“見せられる”か」であり「いい投手というのはこれが上手いのだ」と言います。

詳細は本書に譲りますが、なかでも重要なポイントは、
「バッターより常に優位なメンタルでいれる」こと。投手をしたことがある人ならば「ツーストライクノーボール」のカウントでアウトコースに低めに素晴らしいボールが決まって打ち取ることができた、という経験をしたことがあるのではないでしょうか。

バッターからすれば、三振したくないとメンタル的に追い込まれている状況。投手からすれば、最悪ボールでもいい、とメンタル的に優位に立てている。この状況こそが、アウトコース低めの素晴らしいボールを生んでいる――黒田投手はそう分析し、常にそういうメンタル的状況を作っている、というのです。

本書では、投球フォームのポイントツーシーム、スライダー、フォークの握りなど企業秘密ともいえるテクニックを明かしているほか、どういう意図で配球を考えているかということを実際の試合、打者との対戦から詳解しています。

しかも、スマートフォンで該当ページをかざせばそのまま実際の対戦動画、黒田投手の解説が見られるという、画期的なシステムも付いています(専用の無料アプリのダウンロードが必要)。
巻末の「試合に臨むためのメンタルとマウンド上でのメンタル」と併せて、試合前、この動画をチェックして試合に臨むだけでも勝てそう――筆者も現役中に出会いたかった、プレイヤー、指導者必見の一生もののバイブルといえます。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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