試合レポート

尽誠学園vs済美

2013.05.05

尽誠学園vs済美 | 高校野球ドットコム 

左右エース故障により今大会エースナンバーの尽誠学園・中山清治(2年)

尽誠学園「けがの功名」で12年ぶり四国決勝へ

「実は・・・・。エースが2人ともけがをしてこの大会では投げられません」

5月2日、大会抽選会会場で尽誠学園・岡嶋徳幸監督の発した一言は、唐突かつ衝撃的なものだった。

春季香川県大会では右サイドから内角をえぐる130キロ台ストレートを武器にロングリリーバーとして台頭した武田浩輝(3年・大阪ブレーブスボーイズ出身)は右肩痛により今大会奪取した「1」を返上しメンバー外に。
最速139キロまで最速を伸ばした四国屈指のサウスポー・土肥星也(3年・大東畷ボーイズ出身)も、両足甲の疲労骨折でメンバー外。

「公式戦初先発の中山清治(2年・全羽曳野ボーイズ出身)と1年生で乗り切るしかありません」と語る監督の表情は、昨秋、香川県大会準決勝からの連敗で取り逃がした場所にようやく到達しながら、戦力が整わない焦燥感に満ちていた。

ただ、当然ながら2人がメンバーから外れれば他の選手にチャンスが生じることになる。生光学園(徳島県2位)を3対2で下した1回戦に続き、センバツ準優勝・済美(愛媛県1位)との準決勝でも、まず試合を作ったのは指揮官が懸念していた投手陣だった。


尽誠学園vs済美 | 高校野球ドットコム 

4回3分の2を1失点好リリーフの新納豊(1年・全羽曳野ボーイズ出身)

「(8回まで無失点、8回3分の1を9安打・自責点2)の前日より調子はよくなかったが、『僕は我慢するしかない』と思って投げた」と自らテーマに「粘り」を課した先発・中山は、毎回ランナーを背負いながらも4回3分の1を失点1(自責点0)。

2人に代わり追加と登録された生駒ボーイズクラブ出身の1年生右腕・新納豊も、丁寧に低目を突くピッチングで残りを1失点。「2人が何とか踏ん張ってくれた」と岡嶋監督も合格点を与える彼らの奮闘。そして「投手陣に応えたかったし、つなぐ意識で打つことができた」(赤堀聖主将)打線は、安樂智大(2年)を含む済美3投手を攻略し9安打6得点。

これぞ正に「けがの功名」である。

かくして春秋連続で決勝戦に進出した2001年以来、四国大会レベルでの決勝戦進出を果たした尽誠学園。勇伏の時を越え、名門復活へのホップを完了させた彼らは「まずは自分たちの野球をして、そして香川県40校の代表として勝ちを収める」(赤堀主将)責任感を胸に、2007年夏以来遠ざかる甲子園へのステップ「15年ぶりの春四国王者」を獲りにいく。

(文=寺下友徳)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.30

【春季栃木県大会】夏への布石が着々と成果を挙げた! 文星芸大附が堅い守備で完封勝利!ドラフト候補・堀江は最速146キロをマーク

2024.04.30

大阪大などに卒業生を輩出する進学校・三国丘  文武両道を地で行く公立校は打倒・強豪私学へ「何かしてやりたい」

2024.04.30

【北海道】昨秋優勝の旭川実と春季連覇中の旭川明成が初戦で激突!<春季全道大会支部予選組み合わせ>

2024.04.30

【岩手】宮古、高田、久慈、久慈東が県大会出場へ<春季地区予選>

2024.04.30

【春季愛知県大会】享栄がまとまりの良さを見せて、豊川に完封勝利で決勝進出

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.28

【岡山】関西が創志学園に0封勝ちして4強入り<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける