第60回沖縄県高等学校野球春季大会の抽選結果と展望
球春到来!第60回沖縄県高校野球春季大会の抽選会が6日に行われた。
出場は59チームで、優勝校は春の選抜高校野球に出場する沖縄尚学と、夏の沖縄大会第1シードを懸けたチャレンジマッチを行う。
また上位3校が夏のシード権を獲得できる
組み合わせはこちらから(沖縄県高野連HP)
Aブロックのみどころ
▲島袋倫選手(美里工)
まずはシードの美里工。秋の2回戦では真和志にリードを許したものの、4回に逆転。三塁打と二塁打を記録した花城航(新2年)は、11月の1年生中央大会の準決勝では柵越えの本塁打を記録した。
この1年生軍団は続く3回戦でも、前年度準優勝の知念を撃破。エース島袋倫は8回まで僅か1安打で11奪三振の快投。だがこの試合で、島袋倫が指のマメを潰してしまい、続く宜野座戦に投げられず2対8で大敗してしまった。
続く1年生中央大会では見事優勝。豊富な練習量と高い意識に裏付けされる美里工が勝ち上がっていく公算が高い。
ライバルは秋16強の八重山と浦添工か。
八重山には一昨年の1年生中央大会で準優勝し、2年生の夏からエース格としてマウンドに立つ池村英隆(新3年)が、浦添工にも小さな鉄腕・宮城黎(新3年)が健在。宮城黎は秋の初戦で甲子園ベスト16入りを果たした浦添商を相手に、僅か3安打1失点に抑え完投している。
1年生ながら秋に本塁打を放った名護商工・上原佑季や那覇国際・下里尚才(新3年)、具志川商、前原、西原といったところも侮れない。
[page_break:B,Cブロック]Bブロックのみどころ
▲宇良淳選手(沖縄尚学)
秋の覇者・宜野座がシードのこのブロックは混戦模様。
沖縄尚学が誇る左右両輪の比嘉健一朗と宇良淳から得点を重ねた打線が自慢の宜野座。1番の仲間大洋(新3年)はその沖縄尚学戦で三塁打を含む3安打を放てば、4番の渡嘉敷如阿太(新3年)も、準決勝の宮古戦で先制された直後の1回裏に同点となるタイムリー三塁打を記録。東亮監督の絶大なる信頼を得るこの二人を中心に、まとまったチームワークも大きな武器だ。
左腕の嶺井辰之輔(新3年)は3試合で18得点を挙げていた美里工打線に対し、ヒット10本を浴びるも要所を抑え自責点1(失点2)で完投。決勝の沖縄尚学戦でも、3番名嘉昇司と4番柴引佑真に対し、7回までの6打席をノーヒットに抑え優勝に貢献した。右腕・崎浜秀敏を含め、この冬でどれだけ技術・体力を上げてきたか楽しみだ。
その宜野座の前に多くの強豪校が立ちはだかる!
昨年夏の甲子園ベンチ入り5人を残す浦添商に、秋の4試合で24得点を挙げベスト8入りした南風原。同じく8強入りした嘉手納。また商業大会で宮里泰悠(浦添商→専修大)から本塁打を放った亀川盛斗(2年)の中部商が、試合巧者の知念と1回戦でぶつかるなど続々とこのブロックを引いていく。
好左腕・島尻真志(新3年)が牽引する陽明は、秋初戦の宜野座戦では1点差で惜敗。今大会注目の1校で、初戦を突破すれば、中部商と知念の勝者と対戦。どう戦うのか見ものだ。
さらにこちらには注目の選手もいる。美里・比嘉健汰(新2年)は、秋季で2本塁打をマークした。また南部商戦で完封した真和志・譜久村誠悟(新2年)は、1年の夏から主戦として活躍してきた、いわばこの年代の筆頭格。
Cブロックのみどころ
▲平良拳太郎選手(北山)
新人中央大会優勝、秋季県大会ベスト4の沖縄宮古がシード。他校が羨む山里弘一と久貝拓夢(共に新3年)の両豪腕に、1年生時に野球部対抗競技会で100メートルキング(11秒42)を獲得したの1番宮國汰斗(新3年)や、下位で1年生ながら三塁打と二塁打を放ち糸満戦で活躍した池田凛など、選手層の厚さは県でも1、2を争う。
その沖縄宮古に敗れた糸満が同じブロックに入った。勝ち進めば奇しくも秋と同じ3回戦でぶつかりそうな両者の戦いは、一瞬たりとも見逃したくない好ゲームが期待されるだろう。
だが糸満にそうはさせじと、181センチ80キロの体躯を活かしたピッチングをする与那嶺啓(新3年)の普天間が初戦でぶつかる。
その他、古豪の豊見城、好右腕・仲宗根亨(新3年)の北中城、昨夏に沖縄水産を破った平良拳太郎(新3年)と、快速球が武器の新2年生・マックス・ウェル・ジェリー擁する北山や、1年生中央大会で好投を見せ4強入りに貢献した仲宗根陽介らがいる読谷も良い試合を見せそうだ。
[page_break:Dブロック]Dブロックのみどころ
▲上原周太郎選手(興南)
新人中央大会と秋季県大会連続ベスト4入りし、野球部対抗競技会で他校を引き離し1位に輝いたシードの興南がややリードか。
我喜屋優監督の信頼厚い花城凪都(新3年)が主戦。秋2回戦の本部戦で完封し、続く3回戦の具志川商戦でも1失点で完投。打ってはレフトスタンドへアーチをかけた。続く南風原戦でも7回を無失点に抑え、3試合25イニングで僅か1失点と安定感ある成績を残している。最速145キロをマークした有銘昭普(新3年)、技巧派左腕の栄野川盛隆(新3年)ら他の投手が、この冬でさらに力をつけていれば、花城の負担を軽くすることが出来るだろう。
高校野球初打席で初本塁打を記録した上原周太郎(新3年)、準々決勝の南風原戦で3安打1二塁打と活躍した1番仲座光樹(新3年)らの打線を引っ張る主将の宮城洸と、切れ目の無い打線を作り出す。
その興南を追うのが八重山商工、宜野湾、具志川、コザ、首里、那覇、那覇西だろうか。
宜野湾は秋に沖縄工戦で完封した豊嶋祐基(新3年)に中心に、北部農林戦では打線が爆発し二桁得点を記録。
その宜野湾と対戦する八重山商工にも名護を完封した大底翔(新3年)がいる。もう一人の加藤玄(新3年)との二本柱で上位進出を伺う。
古豪首里と対戦する那覇西は、前評判の高かった北中城を完璧に抑えた左腕・具志虎河(新3年)に注目が集まる。160センチ程の小柄な体から、フォークを効果的に使い三振の数を増やしていき、相手の戦意を喪失させる。
秋ベスト16の具志川も面白い。3回戦で興南に敗れたとはいえ、7回まで1対2と全く分からない試合展開を見せてくれた。北谷ボーイズ時代から活躍していたコザ・屋我泰志(新3年)は、初戦の南部工戦で1失点完投、続く名護商工戦では完封を記録した。本塁打をマークした比嘉康輔(新3年)や前チームからサードとして活躍する島田一輝(新3年)らが、近年やや低迷の続く同校を押し上げることが出来るか!?
(文=當山 雅通)