試合レポート

千葉英和vs甲府西

2011.10.30

千葉英和vs甲府西 | 高校野球ドットコム

ピンチで盗塁を刺す竹野捕手(甲府西)

完敗の結果を胸に。実りの秋へ

 昼を過ぎた甲府市の[stadium]小瀬球場[/stadium]は、季節に似つかわない気温になっている。 25度は超えているのだろうか?
汗ばむ陽気となりつつあった。関東大会の熱戦も2試合目に入り 地元山梨県の甲府西高校が登場する。

対戦相手は苦しみながら千葉の栄冠を手にした千葉英和。イエローモンスターと思われる、独特のユニフォームは山梨初上陸ではないだろうか?一塁側は応援スタンドも含め黄色く染まった。

エース艫居君を中心に少ないチャンスを確実にものにし粘りもある千葉英和を相手に、甲府西の2人の投手がどう抑えるのか注目した。甲府西は山梨県予選で背番号1だった一年生投手の斉藤君が背番号10に、背番号10だった二年生左腕の小椋君が背番号1を背負うこととなった。

試合前、甲府西の2人の投手をひっぱる竹野捕手に話を聞くことができた。
山梨県大会から1ヶ月、対戦相手が決まってから2週間を特に相手を気にすることなくなにか特別な事をするわけでもなく、やるべき事を確実に練習してきたとのこと。
「学校行事もあり練習時間が沢山は取れなかったが、短時間だが身のある練習をしてきました、また1年生投手斉藤君は上級生でもある自分が引っ張ります」と爽やかに答えてくれた。

また日野原コーチからは、「県予選の帝京第三戦に勝てたことが彼等の自信になり、富士学苑戦で延長14回をものにしたことで、それが彼等の中で確信に変わったと思います。日々の成長も感じられるが、監督さんの指示やアドバイスの意図を良く理解して一生懸命やっています」と話してくれた。


千葉英和vs甲府西 | 高校野球ドットコム

三振を奪い取る艫居投手(千葉英和)

甲府西の先発は背番号10,1年生右腕の斎藤烈。1回2回と千葉英和を無失点に抑える。
対する千葉英和はエース艫居君が先発。130km後半の直球ということだったが序盤は抑えながら入ったのか120km台の直球と変化球で こちらも素晴らし立上りをみせる。

しかし3回。この回から少し球が上ずり制球が乱れ始めた斉藤君を千葉英和が見逃さなかった。1番大越捕手のセンター前ヒットで1点をもぎ取る。なおもランナーが溜まっているが追加点は避けたい所。盗塁を試みた1塁ランナーの大越君を、甲府西竹野捕手が素晴らしい送球でアウトにする。送球のタイミングが若干遅れたが素晴らしいコントロールで1年生投手をもり立てる。その後も後続をたち何とか1点で千葉英和の攻撃を抑える。

その後 4.5回と千葉英和の攻撃を0点で抑える甲府西。投手も斉藤君から背番号1のエース番号に変わった小椋君にスイッチしている。

逆に千葉英和の艫居君は尻上がりに調子をあげ毎回の様に甲府西から三振を奪い取る。なんとかランナーを出したい甲府西の前に右腕が立ちはだかる。 球速も回を追うごとに上がりつつあり130km中盤を記録してくる。

 

6回に4番中村君のホームランで2-0とした千葉英和。ついに七回 その打力が甲府西に襲いかかる。9番荻野君のタイムリーで3-0としたのを皮切りに、2アウト満塁から4番中村君を四球押出で4-0.5番艫居君、6番木村君の連続2点タイムリーで一挙6点 8-0とした。

このままではコールドになってしまう甲府西千葉英和の艫居君をリリーフした小山君に一矢報いたいが0点に抑えられ 8-0。7回コールドで悔しい敗戦となった。

甲府西、斉藤投手。県大会決勝時よりは若干身体つきがシャープになったと感じたのは気のせいだろうか?序盤は無難に抑えていたものの突如制球が乱れ始めた。緊張や調子が悪いことからの乱れであれば良いのだが身体の不調でということであれば心配になる。


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背番号10になった斎藤投手(甲府西)

終始危なげない試合展開を披露した千葉英和。艫居君の制球力に尽きる試合となった。緩急とコースを確実に突いた投球は甲府西から三振の山を築いた。
また1番バッターの大越捕手。昨今珍しい1番捕手だが、彼がなぜ1番を打っているのか?がすぐに分かる程良いセンスをしている。

試合終了後にも甲府西・日野原コーチから話をお伺いすることができた。
敗因に、打てないことと、投手陣が調子が悪いなりにも投げきれなかった事をあげたが、斉藤君については「入学してから半年、軟式出身の投手が、学校と両立して良くここまでやってますよ」と目を細めた。

「今 一年生が凄く少ないのです。5人ぐらいしかいません。今日負けてしまいましたが西高の姿をみて今進路について迷っている中学生が西高を選んでくれることになれば凄く嬉しいですね。西高だけじゃなくて、県内の公立高校で野球を頑張ってみようって中学生が増えてくれれば、西高が関東大会に出場した意味もあるのかなと思います。」

「また新しい新入生を迎えて三学年で切磋琢磨して春以降頑張ります」

「完敗です~~」から始まった会話は、もうすでに夏を見据えた目に変わっていた。
この”悔しい秋”を”実りの秋”に変える事ができるのか。
夏の予選。最終日に全員で笑える様な、結果に__。
今後の甲府西の成長に注目したい。

(文=木内 慎治)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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