関商工vs土岐商

東駿也(関商工)
隙を突き、先の塁を狙う姿勢が見事 勢いそのまま関商工
秋の高校野球岐阜大会は18日、雨で順延となった残りの2回戦を行った。土岐市総合公園野球場では、この夏の優勝校(関商工)と前年夏の優勝校(土岐商)が顔を合わせた。試合は直近の甲子園出場の勢いそのままに、関商工が序盤で主導権を握った。
相手の隙を突いて先の塁を狙う姿勢、足攻が鮮やかだった。関商工は初回、先頭の東駿也が遊撃内野安打を放つと、二塁ベースに誰もカバーが入っていないのを見逃さず、そのまま二塁を陥れた。2番堤勇樹の犠打で三進し、3番長田龍也の右翼タイムリーで早速1点を先制した。
2回裏には二死一塁の場面で、亀山秀平の内野安打で二進した一塁走者・金森大貴が、守備隊形が乱れて空いた三塁ベースへ猛進。ボールが三塁へ送られる間に、今度は打者走者が二進を試みると、それを刺そうとした二塁送球が乱れ、三塁に到達したばかりの金森が一気にホームを駆け抜けた。すべてインプレーの中で続いた、一連の足攻。
空いたキャンバスを見逃さない状況判断、送球の間に先の塁を狙う積極性が、得点に直結した。
甲子園に出場した自信と、アグレッシブに押す姿勢が関商工から伝わってきた。同時に、新チームが本格的に始動してまだ1ヶ月あまりだというのに、相手の隙を突ける野球が出来るのは、普段の練習から細部にこだわり、判断力・視野の広さを磨いてきた証拠なのだろうと感じた。

新エース・亀山(関商工)
守っては、今夏背番号10で甲子園のベンチに入っていた新エース・亀山が、長身から角度をつけたピッチングを展開した。三者凡退に抑えたイニングは7回表のみだったが、荒れた印象は無く、力まずにしなやかに腕を振った。スピードはそれほどなくても、肝心な場面ではピシャリとストレートが決まる。また旧チームからレギュラーの遊撃手・大野嵐は、高い守備力でたくさんの打球を確実にさばき切った。
関商工の次戦は大垣商と決まった。夏の県大会決勝戦と同じカードが、直後の秋に再現となった。
敗れた土岐商は、亀井祐海、今井雄太の投手リレーで3失点とこらえたが、打線が3併殺など走者を生かせず、内野ゴロで挙げた1点止まりで終わった。序盤に関商工に足でかき回されたことについて工藤昌義監督は、「足でかき回されたというより、ウチのカバーリングのミス。キャリアの無い選手も多いから…」と、スタメンのうち6人が1年生という若さによる「力不足、練習不足、経験不足」を指摘。指揮官は「強打者がいきなり出現するわけでもないので、チームとして細かいところまできっちり気が回る野球を目指したい」と冬の間の強化を誓った。
主将の伊藤豪啓はメンバーで唯一、昨夏の甲子園を経験している。この日は投手強襲ヒットを放つ一方、2三振を喫したのは不本意だったが、冬に一回り体を大きくできればさらに怖い存在になるはずだ。1番永江竜清は初回に先頭打者安打を放つなど、4打席で3回の出塁を果たした。
(文=尾関 雄一朗)