試合レポート

八尾翠翔vs大体大浪商

2011.05.06

八尾翠翔vs大体大浪商 | 高校野球ドットコム

井上優太(5番レフト)・・・

死闘を制した八尾翠翔 勝てなかった浪商

 3時間8分、死闘だった。

先発した八尾翠翔のエース梅川力丸(3年)を8回からリリーフした宮本拓弥(3年)。9回表、自らの一打で同点に追いついて延長戦に持ち込んだ。
毎回にように得点圏に走者を背負う宮本の姿は、苦しさがにじみ出ていた。ただ、その度に耐える。バックの守備もピンチの時はまったく崩れなかった。

13回表、八尾翠翔は二塁打を放った中田拓郎(3年)を置いて5番丸田英之(2年)。大体大浪商4番手・寺本宜瑛(3年)の初球を打ち返すと、打球は一塁手前で大きく跳ね、中田が一気に生還。ついに勝ち越しに成功した。

その裏の守り。2死を取ってから、宮本は勝利を意識したのか死球を与えてしまう。しかし浪商2番谷本直弥(3年)が放った強烈なライナーが、ファースト丸田の正面を突いて、延長13回の死闘は決した。

喜びを爆発させる元気もなく、安堵の表情を見せた宮本。球場の外に出てくると、精根尽きたようにグタっと座り込んだ。
「ホント良かったぁ」という言葉を発し、キャッチャーの中田と抱き合った宮本の目は真っ赤だった。

 大体大浪商は昨夏大阪大会準優勝。実はこの大会の4回戦で対戦し、3対4で敗れている。
その時からのエースだった北畑勇季(3年)がこの日は8回から登板し、逃げ切りを計った相手。それに対して土壇場の執念で追いついて見せた八尾翠翔。そして13回の長い死闘をものにした。宮本の後も出てくる選手がみんなグッタリした様子だったが、目は充実したものだった。
連休で勝ち続けた公立校、着実に逞しくなって次も私立校に挑む。


八尾翠翔vs大体大浪商 | 高校野球ドットコム

深海翼主将(PL学園)

 一方で勝ちきれなかった大体大浪商。勝敗のポイントになったのは8回のスクイズ失敗。ここで流れが途切れてしまった。
9回以降の再三に渡るサヨナラのチャンス。特に1死3塁の場面だった11回は『ここで決まるか?』という雰囲気であったが、レフトライナーとサードゴロで逸してしまった。

〝どうやって点を取りに行くかを考える〝
采配をし、サインを出すのは基本的に監督である。
ただ戦う選手それぞれが自分で考えたうえで何かを仕掛けてみることも大事な要素。この日の浪商は裏の利点があった。だからちょっとした動き、ちょっとした揺さぶりで相手にプレッシャーをかけることもできたはずだ。

試合後の球場外。浪商の選手も座り込んでいた。でも視線は地面。呆然とするとともに、何かを考え込んでいるようにも見えた。
『勝てなかった、悔しい』ではなく、『なぜ勝てなかったのか、勝つためにはどうすれば良かったのか』を残りの2カ月で求めてほしい。

(文=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農が"強気の勝負"で勝機を引き寄せ4強入り

2024.05.30

須磨翔風のドラフト候補右腕・槙野遥斗 プロ注打者を無安打に抑えた変化球は秀逸、課題は直球の威力不足<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.30

【鹿児島】鹿児島実がコールド、鹿屋農がタイブレークを制して4強進出<NHK旗>

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.25

【熊本】九州学院、熊本工が決勝へ<NHK旗>

2024.05.25

【関東】白鷗大足利が初、逆転サヨナラの常総学院は15年ぶり決勝<春季地区大会>

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.25

【岩手】盛岡大附がサヨナラ、花巻東がコールドで決勝進出、東北大会出場へ<春季大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得