試合レポート

東邦vs享栄

2011.04.30

東邦vs享栄 | 高校野球ドットコム

ソロホーマーした享栄・長谷川君

東邦が2回にビッグイニングを作り、そのまま逃げ切り

愛知県の高校野球ファンにとっては、3回戦の段階で当たるにはもったいないという気持ちになるカードではあったが、序盤に大きくリードを奪った東邦が藤田君から渡邊君への継投で、序盤のリードを守り切った。
  もっとも、享栄としては9回には2点を返してなおも満塁として、プロのスカウトたちも注目している五番神鳥君を迎えて、長打で同点、一発が出れば逆転という場面を迎えたのだが、結果的には右飛。東邦が逃げ切った形となった。ただ、享栄にしてみれば、最後が神鳥君だったということで、チームとしては打っても打てなくても納得のいく形にはなったようだった。

 
結果としては、2回2死からの大量失点が効いたということになった享栄だったが、彦坂明人監督としては、「去年の秋に中心として投げていた杉本がまだ投げられない中で、いろいろ試してみたいことはやってみて、いい悪いを含めて、その結果は見えたと思います」という内容で、序盤で大量失点しながらも3回以降はしっかり引き締めた投球をした加納君が完投した。結果としては夏のシード権は取れなかったことになったも
のの、3回以降の加納君の投球は収穫はあったということは言えそうだ。

また、攻撃面としても享栄としては、7点差をつけられて意気消沈しそうなところで、長谷川君が放った左翼へのソロで元気を取り戻し、7回には六番佐野君の三塁打と失策で加点し、9回に追い上げるという形になっていった。
ただ、彦坂監督としても、「エンジンのかかりが遅くて、こういう試合になってしまいます。後半は対等で戦えているのですからね」と、3回以降は自分たちのペースで進められたことは評価して前向きにとらえていた。
また、神鳥君がキーマンである以上、その前にどれだけ好機を作っていくのかということも、チームとして勝っていくためには大事なテーマとなっていきそうだ。試合展開としては、改めてそのことを確認することにもなった。


東邦vs享栄 | 高校野球ドットコム

東邦・藤田君

試合の流れとしては、序盤の大量リードをキープして逃げ切った形になった東邦だったのだが、森田泰弘監督としては、「先発投手に関しては2巡目まで、つまり6回まで投げられれば合格点だと思っています。リリーフした左の渡邊に関しては一まわりを抑えられれば合格ですから、こういう展開の中では合格点です」と、継投を前提としていく投手陣の中でこの試合の踏ん張りに対しては評価をしていた。

 
もちろん、県内の高校野球としてはネームのある両校の対決である。
OBや関係者などからの期待も大きく、お互い背負うものも大きいチームである。
一つの結果を出すことが大事な一方で、伝統を担うチームとして、それにふさわしい戦い方を示していく必要があることもまた確かである。そうした中で、東邦は夏のシード権を獲得したということだけではなく、きっちりと勝てる試合をものにしていくことで、その強さを示していることは大いに意味があったともいえそうだ。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

【秋田】秋田修英と秋田工が8強入り、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?