伊万里商vs龍谷
原直也(伊万里商)
背番号10がみせた粘投で昨秋のリベンジを果たす
今年の佐賀大会。
唐津商•北方悠誠、伊万里農林•梅崎潤平、佐賀商•田中豊樹の全国レベルと称される投手たちをはじめ、鹿島•本多俊哉、佐賀学園•山口将太、敬徳•大川内来夢と春先の大会とは思えないレベルの高い投手たちが好ゲームを演出している。
その好投手たちによって自ずと今大会は白熱した好ゲームの試合が続く。
背番号10 原直也。伊万里商の2枚看板のひとり。
昨年の秋季大会は準々決勝の龍谷戦に2回から登板。
味方の失策もからみ4失点(自責点2)で負けはしたが、力のあるストレートは「強打の龍谷」に連打を許さなかった。
あの敗戦から約半年。上記の好投手と称されるなかに、この原も名を連ねるピッチングはできるだろうか。
ひと冬超えどんな成長をみせてくれるのか期待して観戦した。
秋、準々決勝で龍谷が伊万里商を7−4で下し、そのまま決勝まで駆け上がり九州大会へと出場した。その秋の準々決勝の再戦となる伊万里商vs龍谷、春は3回戦で対戦することとなった。
伊万里商の先発は原直也。初回1死後、龍谷2番•松尾公洋に右中間を深々と破られスリーベースヒットを許すと、3番緒方賢太郎にはライト前に運ばれ、いきなり失点する。
続く4番古賀万太郎にはエンドランでセンター前に弾き返され一死一、三塁。四球を与え満塁とする。6番を三振で二死とするが、8番砥川晃起には押し出し四球で初回に2点を失う。原の立ち上がり、球が高めに浮いたところを龍谷打線に痛打され、いきなり浴びた先制パンチから自分のリズムを掴めない。
このまま強打の龍谷の一方的なペースになるのかと思われた初回だったが、組み立てを変化球、特にカーブ、縦のスライダーを中心に変えたように見えた2回以降は立ち直り、回を追うごとに自分のテンポを取り戻し強力龍谷打線を封じた。
(龍谷)
結果として6回を投げ2失点。打撃力には定評のある龍谷を抑え、見事昨秋のリベンジを果たした。
この日の原は制球が悪く球数が多かった。しかし昨年秋よりも身体も大きく見え、ボールにも力があった。
好投手が揃う今回の佐賀大会。この好投手と評されるなかに伊万里商•原直也も名を連ねる粘りのピッチングだった。
一方で龍谷は、「強打の龍谷」らしい鮮やかな速攻で先取点を奪った。
初回から龍谷のペースをつかんだかに思われたが、2回以降は原の緩急を使った投球に抑えられ、守備でも失点につながる痛い失策を重ねた。
9回裏、原から変わった伊万里商の背番号1岩永翔太を攻め3点を奪う粘りをみせるが、それまでの失点8は大きく、最後の打者田中裕太が三塁ゴロに倒れ万事休す。
昨秋のリベンジを果たす逆転で伊万里商がベスト8進出を決めた。
(文=藤吉ミチオ)