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プロ入り選手から学ぶ「野球ノート」

2011.01.13

プロ入り選手から学ぶ「野球ノート」 | 高校野球ドットコム

項目が20個以上にもなるコンディショニングシート

 昨年10月、西武から2位指名を受けたアンダースロー投手の牧田和久選手(静清工-平成国際大-日本通運)。日通に入社2年目の秋に、右足靭帯断裂の大怪我に見舞われるも、リハビリに専念し翌秋に復帰。そして、入社4年目となる昨シーズンは、公式戦で13勝1敗と大きな結果を残した。

 

 そんな牧田の野球ノートを今回少しだけ見せてもらおうとお願いすると、「自分はノートという形ではつけていないんですよ」と、カバンから数十枚のプリントと手帳を取り出した。
 実は牧田が毎日記録をつけているのは、チームで配布される複数のシートと、手帳のメモ欄だという。
まず、これまで毎日記入し続けているのが、コンディショニングシート。そこには時間ごとの体重の変化から、精神・身体の変化。朝・昼・夕食の自己評価など、記入する項目の数は20個以上もある。これは義務で提出するものではなく、個人ごと自分の目安としてつけるものだというが、牧田の場合は365日コツコツと記録し続けたというから驚きだ。エースとして、社会人選手としての自己管理が、しっかりと出来ている証拠である。

 また、大会ごとにチームトレーナーから渡されるシートでも、目標から振り返りまで記入して保管しておくのだが、牧田はこれらのシートの重要性をこう語っている。
「自分で考えていることや、今は覚えていることでも、いつかは忘れてしまうもの。例えば、何かしようと思っている瞬間に誰かが『ちょっとこれやっといて』と言われたら、さっきまで何をしようとしてたっけ?って忘れてしまうことありますよね?それは脳の問題で、やっぱり人間ってものは忘れがちらしいんですよね。だから、書いて残すことって大事なんですよ。書くことで残るし、書いている時は覚えてるけど、また後日見直した時に『こういうことがあったんだな』って思い出すことができるじゃないですか」


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ドラフト指名をされた日に購入した手帳

 そんな牧田も大会ごとに書く自分のコメントの内容に変化を感じていた。
「入社して1・2年目は大まかで、表面上な言葉を選んで何となく書いていたのが、3・4年目は書いている中で『あの場面ではこうだったな』という回想をしながら、その場面を具体的に思い出して書けるようになったんですよね」
 これは3年以上取り組んだから、書き方がやっと分かってきたということではない。牧田の野球の取り組みに対する意識の変化が、そう成長させたのである。

 2年目の秋に怪我をしてから、それまで自分のことで精一杯で余裕がなかった状態から、もっと周りが見れるようになっていったという牧田。投げられなくてチームに迷惑をかけていること。それでも待っていてくれるチームメイトへの感謝の気持ち。それに気付けたことで、野球への取り組みも変わっていった。だからこそ、振り返りのコメント1つ書くときも、ただ書いて終わりではなく、何か月後か経って見直した時に思い出せるくらい細かく振り返りが出来るようになっていったのだ。
 ちなみに、牧田がこれらのシートを書く上でこだわっているのが、「精神的な悪い面をネガティブに書かないこと」だという。
 チーム内で配られたシートも、そうやって自分なりに上手く活用して、自分自身をコントロールしていくことも重要なことである。

 最後に、ドラフト指名をされた日から牧田は手帳を購入して、メモ欄に日々の出来事を書き綴るようにした。出来事といっても、ピッチングのこと、肩の状態のことばかりであるが、これも自己管理の1つだと言う。
「プロに行くことが目標ではなく、プロで活躍することが目標ですから」と話す牧田。
 そのためにも、牧田はこれからも日々記録を書き続けていく。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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