大垣日大高等学校 葛西侑也、時本亮選手
第61回 大垣日大高等学校 葛西侑也、時本亮選手2011年02月25日
目指すは優勝のみ!大垣日大・葛西×時本バッテリー対談
2年連続で秋季東海大会を制し、今年もセンバツへ挑む大垣日大。センバツでは初出場の07年に準優勝、昨年もベスト4と好成績を挙げており、今大会で狙うは優勝のみだ。そのカギになるのが、1年秋からコンビを組んできたエース・葛西侑也と捕手・時本亮。ともに早くから幾多の試合を経験し、「有望選手」としてメディアにも取り上げられてきたが、今日はその2人が、膝を突き合わせてお互いの野球を語る。
2人が揃えば全国制覇できる
【葛西侑也選手】
――お互いに入学前から面識はあった?
葛西選手(以下「葛」) 面識は無かったんですが、阪口(慶三)先生から『JAPAN(=日本代表)のキャッチャーが来るぞ』とは聞かされていましたね。
時本選手(以下「時」) JAPANではファーストだったんですが、所属チーム(若狭高浜ボーイズ)ではキャッチャーをやっていました。僕も、三重県の良いピッチャーが入学するとは聞いていました。
――時本は中学時代、ボーイズリーグの日本代表に選出され、世界大会では15打数11安打と打棒が爆発。葛西は入学後にそんな時本を見て、こう感じたという。
「葛」 『これがJAPANか』と驚きました。入学後の春の県大会にもトキ(=時本)は出ていたんですが、同学年の中でも能力が抜けている部分がありました。
【時本亮選手】
「時」 僕も侑也のボールを受けて『これが三重県屈指のピッチャーか』と頼もしく感じました。侑也は中学時代、軟式でプレーしていたんですけど、高校で硬式に変わってもすぐに対応していました。ボールにノビがあり、これは強豪相手にも通用するな、と思いました。
「葛」 阪口先生からは、2人が揃えば全国制覇できるぞとよく言われましたね。
――阪口監督が描いた青写真どおり、2人は順調に成長し、全国優勝まで手が届くところへきた。
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■参考 昨シーズンの大垣日大の観戦レポート
第63回秋季東海地区大会 決勝 静清戦 (2010年11月01日)
第92回岐阜県大会 準決勝 県岐阜商戦 (2010年7月25日)
第57回春季東海地区大会 準決勝 宇治山田商戦 (2010年05月22日)
その他の観戦レポートはこちらから 大垣日大
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印象に残っているシーン
【葛西侑也選手と阪口慶三監督】
――さて、これまで印象に残っているシーンとして2人が挙げたのが、09年秋季東海大会決勝の中京大中京戦、1点リードで迎えた終盤のピンチの場面だ。三塁走者の動きからスクイズを察知し、とっさにウエストして失点を回避した。
「時」 左投手なのに、侑也は(セットポジションの際に背を向ける)サードランナーも見えていたみたいで。お互いの息が合いました。
「葛」 あれは凄かったよね。俺はトキの動きを見て、(動くのが)少し早いなと思って。そこで(ボールを外さなければいけないと)分かりました。思ったことが一緒で、心が通じ合った、みたいな感じです。
――当時1年生だった二人の落ち着きと洞察力に、評価が急上昇。これだけ葛西の評判が立つと、相手もマークし始めたという。
「時」 侑也はコントロールが良くてまとまっているから、相手ベンチが『振っていけよ』と言っているのは聞こえます。狙いを絞られたり、いいスイングをされると、入り方(配球)には注意します。
――今まで戦ってきた中で、ここは凄いなと思わされるチームについては、
「葛」 昨年のセンバツで、0対10で敗れた興南です(2010年4月2日)。どこに投げても打たれる感じでした。レベルが違いましたね。(前年秋の明治神宮大会で戦い、9失点を喫した)東海大相模より上でした(2009年11月19日)。引きつけてスイングしてくるし、各打者の手首の力がすごかった。
「時」 今回は、昨年の興南戦ほどの大量失点はしないと思うので、あとは打線がどこまで打てるかです。
信頼関係の強いバッテリー
【練習風景(手前が時本選手)】
――これほど信頼関係の強いバッテリー。お互いについてビックリしたり、意外に思ったことを聞いてみた。
「葛」 寮は2人部屋なんですが、トキと同じ部屋なんですよ。トキはすごく大きなイビキを放つんです。それに、寝言を言ったりもする。何か話しているので、俺に話し掛けているのかなと下をのぞくと、トキは寝ている(笑)。
――野球の面では、
「葛」 打者や状況によっては、全球スライダーとか、全球カーブとか、うまくリードにリズムをつけてくれたとき『オッ』と思います。ストレートと変化球を組み合わせるのが普通なのですが、ときにはそんなリードもしてくれる。そういうリードも自分は好きなので、大歓迎です。
―― 一方の時本は、葛西が意外と「切れ者」なのに驚いたという。
「時」 最初は何となくバカっぽいのかなぁ~と(笑)。いや、野球やっているヤツって、そんなに頭良くないじゃないですか。でも意外に頭が良くて、勉強の成績も上のほうで・・・。
「葛」 普通は逆(キャッチャーの方が頭脳明晰)じゃない(笑)? まぁ頭良いって言っても、数学と英語は全然ダメなので、他の教科で点数を稼ぐのが僕の戦法です。
――お互いについて成長したと思うところについては、
「葛」 トキのセカンドへの送球を見ると、やっぱり肩が強くなったと思います。以前は、(イニング間の捕手の二塁送球の際)マウンドでしゃがめば済んだのですが、送球が良くなって、今はよけないと当たっちゃいそうで。あとは、落ち着きが出てきました。
「時」 経験が大きいよね。バタバタしなくなりました。侑也の成長したところは球種がカーブとスライダーだけだったのが、昨年の秋以降、シュートやチェンジアップも身につけてくれました。走り込みで、スピードも常時130キロ以上出るようになったと思います。
――試合と同様、葛西と時本の息はぴったり。優勝を狙う同校で、最もカギを握るバッテリー。寮も同部屋で、寝食をともにしてきた2人が、全国の「葛西を打ち崩すぞ!」とばかりに向かってくる強豪を相手に、どういう戦いをして結果を出すのか、楽しみだ。
(文・インタビュー:尾関 雄一朗)