Interview

読売ジャイアンツ 西村健太朗選手

2010.09.30

独占インタビュー 第59回 読売ジャイアンツ 西村健太朗 選手2010年09月30日


【高校野球情報.com】独占インタビュー第47回 読売ジャイアンツ 西村健太朗選手

今回の独占インタビューは読売ジャイアンツの西村選手です。
広島広陵時代は1年秋からエースを努め、春夏合わせて4連続甲子園出場、3年春には全国制覇をはたした西村選手に、オフシーズンの練習のポイントについてお話を伺ってきました。



広陵時代の練習と「自主性」

【高校野球情報.com】独占インタビュー第59回 読売ジャイアンツ 西村健太朗選手

鷲崎:インタビューアー(以下「鷲」) プロ1年目から1軍で登板されたことを考えると、広島広陵高校時代の練習の中身が濃かったんでしょうね。どんな練習をされていたのでしょうか?

西村選手(以下「西」) 僕らのときは、練習時間はそんなに長くなかったですね。平日の全体練習は学校が終わる夕方から夜の7時とか、7時半までの3、4時間くらい。他の高校の話を聞いたら、自分たちは意外と少ないなって思いました。

「鷲」 広島広陵高校ならではという練習はあったんでしょうか?

「西」 変わったことはなかったですよ。基本を繰り返して練習していたと思います。あとは自主的に練習するということですかね。寮生活でしたので、全体練習が終わって食事を摂ったら個別に練習をしていました。ただ、それも強制ではなかったですし、寮の点呼があったんで9時から9時半くらいまでという短い時間でした。朝の練習も6時から1時間くらい。練習試合がある土日以外は、ほとんどそんな感じでした。ダラダラやるのではなく、短時間集中でした。

「鷲」 全体練習が終わった後で、自分が何をやるか。

「西」 そうですね。中井(哲之)監督からは技術的なことを言われることはほとんどありませんでした。自主性に任されていましたね。僕は投げることと走ることを主にやっていました。3年生のときは、ほぼ何も言われませんでしたね。

「鷲」 1年生の秋からエース。信頼が厚かったんでしょうね。

「西」 2年生の夏が終わってからは、全体練習以外のピッチャーの練習を任されて僕がメニューを決めていたんですよ。中井監督から「自分で決めろ」と言われて。自分でメニューを作っていたのは僕が最初だと思います。

「鷲」 実際に練習メニューを自分で考えるとなったら、大変だったんじゃないですか?

「西」 初めのうちは、それまで行っていた練習の中からやっていましたけど、そのうち自分で考えたりするようになりましたね。スタミナのことを考えたら長い距離を走って、体のキレを出したいときは短い距離を走ったり、日によってテーマを考えて。ただ、プロみたいに毎日、朝からできるわけではないので、限られた時間の中でいかに効率良くできるかということを考えていましたね。野手がバッティングをしている間に走るとか。

「鷲」 野球関連の本や雑誌を参考にしたりということもあったんでしょうか?

「西」 特に読んだりはしませんでしたね。経験則から考えていました。

「鷲」 ひと言で自主性と言ってしまいますけど、高校生が自分をコントロールするのは簡単ではないようにも思います。

「西」 そうですね。ただ、ダラダラと長い時間やっていたわけではなかったので。長時間だったらまた考え方も変わったと思いますけど。全体の練習をやって、それ以外の限られた時間の中だったので、しっかり取り組めたのかなとは思います。

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オフシーズンのトレーニングのポイント

【高校野球情報.com】独占インタビュー第59回 読売ジャイアンツ 西村健太朗選手選手

「鷲」 広島広陵高校を選んだ理由は?

「西」 中学はシニアでやっていたんですけど、そのときの先輩がいたことと、やっぱり甲子園に行きたかったので。僕が入学する前のセンバツもそうでしたし、そのころは広島広陵がよく甲子園に行っていましたから。1番甲子園に近いと思ったので。

「鷲」 実際、4回も甲子園に出場されたわけですからね。他の高校とは何が違ったんでしょうか。

「西」 同じ高校生なんで技術や体力はそんなに変わらないと思うんです。ですから気持ちの部分ですかね。特に3年のときは絶対に優勝したいと思って日頃から練習していたんで。その意識が強かったですね。2年の春と夏にも甲子園を経験していたんですけど、ちょっとずつ上がっていたんで。(春は2回戦敗退、夏ベスト8)優勝したいと思って。

「鷲」 春は報徳学園に、夏は明徳義塾に敗れたわけですが、どちらも優勝しているんですよね。

「西」 はい。その経験もありますよね。ずっと投げさせてもらっていたんで。

「鷲」 相手はどこが自分たちより勝っていると感じましたか?

「西」 楽しんでやっているなと思いました。僕は打たれ出した時点で余裕がなくなって、精一杯でしたから。向こうは3年生ばかりで、より経験値が高かったんだと思います。その差があったのかもしれません。

「鷲」 逆に3年生のときに、その2つの敗戦が生きたわけですね。

「西」 そうですね。さっきもお話したように、絶対、優勝してやろうという気持ちが強くなりましたから。

「鷲」 ちょうど新チームになってから練習メニューを自分で考えるようになっているわけですが、かなり自分を追い込んだんですか?

「西」 冬場は追い込みましたね。でも、何をやったかはそんなに覚えていないんですよね。とにかく走り込んだり、投げ込んだりですよね。広島広陵のグラウンドは山の上にあったので、午前中のうちは凍結して使えなくなるんですよ。昼くらいになると暖かくなって使えるかな、という感じ。それもあって午前中とかは走りっぱなしでしたね。冬はやっぱりきつかったです。

いろいろな経験をしていることもあるかもしれませんけど、自信を持って投げられていましたね。それなりにコントロールも良かったですし。このコースに投げていれば打たれないと思って投げられていました。

「鷲」 コントロールをつけるためにはどんなことをやっていましたか?

「西」 ひたすら投げていましたね。冬場は特に球数を投げていました。1日300球くらい投げていましたよ。それを2日連続で投げることもありました。

「鷲」 スピード、コントロール、球のキレ。高校時代にピッチャーとしてこだわっていたのはどれでしたか?

「西」 自分たちの代の新チームになってからはとりあえず速いボールが投げたかったですね。徐々にスピードが上がってきていたので。140km/hちょっと出ていました。最近の高校生はみんな出しますけどね。ただ、思ったように球速は上がらなくて、結局はコントロールを重視するように切り替えましたね。

「鷲」 それが優勝するセンバツの前ですか?

「西」 いえ、センバツの期間中ですね。そのときに同期の平岡政樹(徳島商)が速い球を出したから、僕もと思って欲が出たんですけど、全然球速が出ないし、打たれてしまう。力むばかりで、スピードじゃないなって思って。

「鷲」 球速を上げようとしていたときは、どんな練習をしたんですか?

「西」 下半身の強化もそうですけど、体幹の強化。腹筋、背筋を鍛えましたね。上半身だけでは速いボールは投げられないんで。

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球児へのメッセージ

【高校野球情報.com】独占インタビュー第59回 読売ジャイアンツ 西村健太朗選手選手
 

「鷲」 寮生活はいかがでしたか?

「西」 特にこれということはなかったですよ。毎日、練習をして疲れているんで。寮生活が大変とかは感じませんでしたね。PL学園の付き人制のようなこともうちはなかったですし、上下関係がきつかったということもありませんでした。

「鷲」 それでも高校生のときから親元を離れて生活するわけですから、人間として成長できたのでは?

「西」 時間厳守とか、規則を守るとか。高校のときから、そういう規則正しい生活ができたのは良かったのかなと思いますね。自分のことは自分で全部やらないといけませんから。

「鷲」 野球の面で1番成長したのはどこでしょうか?

「西」 精神面ですかね。やっぱりいろいろな経験ができたことが大きいですね。甲子園にも4回も行けましたし。

それから繰り返しになりますが、練習は自主性を重んじていたので考えながらやらないといけなかった。おかげで考える力がついたと思います。高校に入るまでは言われたことをやるだけで自分で考えたりすることはほとんどなかったですからね。わからないときは先輩や同期でもいいので聞けばいいんですよ。

「鷲」 考える習慣をつけることが大事なんでしょうね。

「西」 やっぱりやらされるのではなく、自分でやった方が伸びると思います。与えられたメニューでも、自分で目的を持ってやる。そうしたことは意識してやっていましたね。

「鷲」 最後に今の中高生にアドバイスをお願いします。

「西」 まず野球を楽しんで欲しいですね。もちろんキツイこともあると思いますけど、自分でやると決めているわけですし、楽しんでやるのが1番いいと思います。それから3年生はちょうど夏の大会が終わったところですが、進路に関しても親とか、誰かからこうした方がいいと言われて変えるより、自分で決めた方が悔いは残らないと思います。僕も不安はありましたけど、プロに行くと決めてからは悩みませんでしたよ。

「鷲」 ありがとうございました。

(文・インタビュー:鷲崎 文彦)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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