【逸材レポート】佐藤一磨(横浜隼人)「急成長!春から最速7キロも速くなった大型左腕」
夏を盛り上げる各地のドラフト候補を紹介。今回は横浜隼人の大型左腕・佐藤一磨投手だ。188センチの長身から投げ込む速球の最速は145キロ。注目を浴び始めた春よりもかなり進化した姿を見せてくれた。
日大藤沢戦の平均球速が春の最速より上回った
佐藤一磨(横浜隼人)
一段階も、二段階もレベルが上がった瞬間だった。
春の立花学園戦での最速は138キロ。アベレージは130キロ~135キロ。それが日大藤沢戦では常時130キロ後半~140キロ前半の速球、最速145キロ。つまり最速が7キロ、アベレージが5キロ~7キロ程度もあがっていたのだ。
さらにこの試合の平均球速139.28キロは春の最速138キロよりも上回っていたのだ。ある程度、体が出来上がりつつ高校3年生でこんな短期間で球速アップした事例はなかなかない。ようやく恵まれた才能を発揮するようになっていたのだ。
前半、日大藤沢打線も140キロ前半の速球を前に飛ばすことができていなかった。ほとんどが詰まった打球の内野ゴロ。本物の速球だった。コントロールも適度にまとまっており、ただの速球派ではない。
変化球は120キロ前半のスライダー、縦スライダー、100キロ台のカーブを投げ、縦スライダーは空振りが奪える。カーブも目先を変えて、緩急をつけており、変化球の精度も上がっていた。
さらに投球フォームも変化が出ていた。春では右手のグラブを軽く上げて、軽く添えるイメージからピュッと投げこむスタイル。夏ではだいぶ力強さが出てきた。ランナーがいなくてもセットポジションから始動する。右足をいったん上げてから、右足を本塁方向へ送り込む時、静止はしないが、ワンテンポ上げたり、下げたりする独特の動作がみられる。そこから右肩のグラブを下げて、テークバックを取って、トップを作ったときに大きく胸を張って縦振りで振り下ろす豪快な投球フォーム。足をあげてからじっくりと溜めを作って、一気に力を放出する技術を佐藤は掴んでいる。
また佐藤はこの身長にしてはフィールディングの動きが軽快で、春ではバントをされた時、二塁封殺したプレーもあり、牽制も巧。クイックも1.2秒前後と悪くなく、走者が出てからも球威が落ちることはない。
ただ急激な出力アップによって、初回はコンスタントに140キロ台を出していたが、5回には130キロ後半に落ちていた。
今後のステージで佐藤に求められるのは、
・先発では常時145キロ前後を6,7回も維持できるスタミナとペース配分
・リリーフでは140キロ後半~150キロ前半
・変化球の精度アップ
になるのではないだろうか。今年、140キロ中盤~145キロを何度も出す左腕は及川雅貴(横浜)、宮城大弥(興南)の2人しかいない。佐藤は及川や宮城にはない「角度の高さ」がある。
尋常ではない急成長を見せ、高校生トップクラスの速球派左腕へ成長した佐藤。敗れはしたが、日大藤沢戦のピッチングは大きく評価を高めるものだった。
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2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会神奈川大会
■開催期間:2019年7月7~7月28日(予定)
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文=河嶋 宗一