夏の神奈川大会展望。続いて後編である。今年は春優勝した東海大相模、準優勝した桐光学園に敗れた横浜は4位扱いになり、例年、ヤグラでいうと2位vs3位、1位vs4位が配置となり、東海大相模と横浜は順調に進めば、準決勝で対戦する可能性がある。ただそう簡単に勝ち抜けないのが、今年の神奈川なのだ。
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横浜、東海大相模 夏へ向けての課題

帰ってきた井上 恵輔(東海大相模)
今年の東海大相模は圧倒的な打撃力、機動力を駆使して、早々と大量点を取るチーム。投手陣は130キロ台を超える左腕・野口 裕斗、138キロサイド・紫藤 大輝、130キロ前半の速球と切れのあるスライダーを投げる冨重 英二郎、夏でもベンチ入りを狙う1年生左腕・石田 隼都は最速138キロを誇り、夏では140キロ超えに期待がかかる。
打線では強打の捕手・井上 恵輔、二刀流・遠藤 成、山村 崇嘉、西川 僚祐の2年生スラッガーと破壊力は全国トップクラス。ベンチ入り争いは激しく、春活躍した選手がそのまま出るのか、それとも新たな選手が浮上するのか。最強の20人を形成し、夏に臨むことを期待したい。
同ブロックで対抗馬となりそうなのが慶應義塾だろう。慶應義塾の攻撃力は県内屈指で、横浜のエース・及川 雅貴も恐れるほど。
打線の中心はスラッガー・廣瀬 隆太、2年生スラッガー・本間颯太朗。夏にかけてどこまで打線を仕上げるか。投手陣では秋に活躍した右の好投手・田口 義将 (慶應義塾)が鍵となる。ただ東海大相模と同じく、強打で圧倒し、試合を優位に持っていく展開が理想となるのではないだろうか。例年、夏に仕上げる慶應義塾だけに怖い存在となるのは間違いない。
藤沢翔陵は足柄と百合ヶ丘の勝者と対戦。藤沢翔陵は昨秋はベスト32、今春はベスト16と1つずつ力をつけてきたチームだ。
また別ブロックの相洋は、県立川崎と藤沢総合の勝者と対戦。1番・北川大和を中心とした打線は強力だ。また同ブロックにはノーシードから浮上する武相にも注目だ。
公立の強豪・戸塚はいきなり瀬谷と橋本の勝者と対戦。実力公立校同士の対決は盛り上がりそうだ。

調子を戻しつつある及川雅貴(横浜)
横浜は寒川と横浜旭陵・相模向陽館の勝者と対戦する。横浜は関東一との親善試合で連勝。さらに香川県の招待試合でも4戦全勝と日増しに状態が上がっている。
平田監督は香川県の招待試合で、「まずは自分たちのチームの完成度を高めていくことが一番大事で、しっかりと準備をしていく」と、1年生を起用しながら、全体の底上げを果たした。
絶対的なエース・及川 雅貴は香川県の招待試合で最速147キロをマークし、球速表示だけではなく、スピンがかかった速球を投げ込んでおり、順調に仕上がっている様子。また2年生左腕の松本 隆之介も最速147キロをマーク。
さらに、140キロ前半の速球と120キロ後半のスプリットを投げ込む木下 幹也、1年生ながら最速140キロを計測した1年生左腕・金井 慎之介、リリーフで支える黒須 大誠とやはり投手陣の力量は神奈川ナンバーワンどころか、全国でもトップクラス。香川の招待試合では失点の多さが気になるが、それも、夏へ向けて良い薬となっただろう。
気になるのは、日程が過密だということ。中1日、中2日、連戦と、短い間隔で回っており、投手陣の運用がポイントとなるだろう。投手陣の負担を減らすためには打線の奮起が重要となる。
打線も内海 貴斗、度会 隆輝を中心に仕上がってきた。春の大会よりも打席の内容は格段に良くなっており、夏でも期待が持てる打線となってきた。横浜としてはあまり疲労度を残さず、勝ち進み、試合のグレードが高くなる準々決勝、準決勝、決勝と迎えたいところだろう。