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履正社ヒストリー!山田哲人がいた2010年をきっかけに甲子園常連チームへ駆け上がる

2016.08.08

 6年ぶりの夏の甲子園出場を決めた履正社。6年前はあの山田 哲人関連記事)がいた世代である。当時の履正社は、今ほど絶対的な存在ではなかった。当時は、2008年大阪桐蔭が甲子園優勝。そして2009年に甲子園出場しているPL学園と激しいバトルを演じるという構図だった。だが、2010年を機に大阪府の勢力図は変わってきた。2010年に甲子園に出場した履正社は、2011年2014年に選抜出場。すっかりと全国大会の常連となり、大阪桐蔭のライバルは履正社というレベルまでになったのだ。さて、今回はその2010年をプレイバックしてみよう。

2010年の出場を機に甲子園常連チームに

上:山田哲人、下:寺島成輝 (履正社)

 この時、どんなチームだったかというと攻守ともにバランスが取れたチームだった。まず野手だが、山田のほかに、江原 祥太(関西大)という主将がいた。江原は授業態度も良く、練習も真面目にこなし、学校の先生からも評価が高い選手だった。プレーヤーとしても、バットコントロールの良い打撃、ソツのない守備を見せる。率いる岡田監督の評価も高い選手であった。そういう選手が主将だからこそ、自然とチームはまとまる。

 そして野手は2年生に逸材が集まり、左の好打者・海部 大斗明治大)、右のスラッガー・石井 元明治大-Honda鈴鹿)、好捕手・坂本 誠志郎明治大-阪神タイガース)。投手陣には140キロ台の速球を投げる平良 寛太(立正大–バイタルネット)、飯塚 孝史(大阪ガス)と人材が揃っていた。

 このチームは、春季近畿大会準優勝(試合レポート)を果たし、夏前には優勝候補として期待された。大会に入ってからも安定した戦いぶりを見せる履正社は4回戦で吉川 大幾(現・読売ジャイアンツ)など多くのプロ注目選手を揃えるPL学園と対戦。延長10回に及ぶ熱戦を制し、5回戦に進出した履正社はその後も勝ち進み、ついに決勝戦。大体大浪商を3対0で下し、1997年以来となる夏の甲子園出場を決めたのであった。

 甲子園ではいきなり天理と対戦(試合レポート)。当時の天理には中村 奨吾(現・千葉ロッテマリーンズ)など大型選手を揃える好チームだったが、4対1で破る。勝てばベスト8が決まる3回戦では、歳内 宏明(現・阪神)擁する聖光学院と対戦(試合レポート)。0対2の2点ビハインドで迎えた6回表に、山田が同点2ラン。しかし8回裏に3点を勝ち越され、ベスト8進出はならなかった。しかしこの大会で履正社は強くなった。

 2011年の選抜では海部、飯塚など、夏を経験した2年生が中心となって選抜ベスト4、2014年には選抜準優勝と全国でもその名を知られるようになった。これまでの履正社を見ていくと、主将を中心に人間的にしっかりとした選手が多い。今年でいえば、主将・四川 雄翔は巧打者だが、高校生とは思えないぐらい、大人びた選手で、また四川に限らず、野球に対する取り組みであったり、立ち居振る舞いがしっかりとした選手が多い。そういうカラーに憧れて、多くの好選手が集まってきている。

 そして履正社大阪桐蔭に並ぶ大阪の二大勢力と印象付けたのが、2015年夏。この2校がいきなり初戦で対決が実現したのだ。その対決を見ようと[stadium]舞洲スタジアム[/stadium]は、収容人数を大きく上回り、チケットが売り切れという事態になった。

 履正社は敗れ、秋の大会近畿大会出場ならず、苦しい時間を送ってきたが、その分、投打ともに隙にないチームへ成長した。この6年間で、自分たちの能力を公式戦で発揮できるようになってきている。特に今年のチームは、その能力がどの世代と比べても優れている。初戦の高川学園戦では一味違う野球を見せることができるか注目だ。


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(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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