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- 2010年夏の大会 第92回全国高校野球選手権大会
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履正社(大阪)vs天理(奈良)


平良寛太(履正社)
だが、実は、4点取った履正社は、適時打でもぎ取ったのはたったの1点しかない。天理も1点。安打数で履正社が上回ったのは確かだが、両者の間にあった力の差はそう大きいものではなかった。それでも、履正社の完勝といえる試合だった。
両者を分けたものは何か。 簡単に言えば、履正社は試合に勝つ術を知っていたということだ。試合の勝ちパターンをいくつも持っていた。一方、天理は一つしかなかった。打って勝つ方法しかなかったのだ。ましてや、県大会で大車輪の活躍を見せたエースの沼田が胸に打球を受けて本調子から程遠い様子では、勝ち方を模索するのが苦しい。
履正社は天理・沼田を研究していた。「変化球は外に行くことが多い」と、それを狙い打った。3点目のホームを踏んだ主将の江原は言う。
「変化球を狙いに行きました。甘いところに来るのは変化球で外が多かったですから。みんながそれぞれ意識してバッターボークスに立っていたと思います」
履正社の打者は、ただ、沼田と対戦していたわけではなかったのだ。「全員で攻撃するのが僕たちの野球なので」と江原は胸を張る。
適時打で点を取った以外の得点シーンにしても、2点目は海部が外の高めを外野フライにした。3点目も同じく犠飛で、4点目は偽装盗塁だ。1、3塁から一塁走者が挟まれ、三塁走者が突っ込む見事な走塁だった。
天理にもチャンスがなかったわけではない。6回には1死・2、3塁。7回には1死・三塁の好機を作っていた。しかも、その時、履正社は前進守備だった。いわば、内野ゴロさえ打てば、1点と言う状況だったのである。
しかし、6回には内野が、7回には、坂倉が三振に倒れた。
天理・森川監督は「あそこで1点でも取って終盤を迎えるのとではだいぶ違った。ゴロを打てばいいというのは選手も分かっていたでしょうけど、点が取れない焦りがあったのかもしれません」と、唇をかんだ。
点が取れる最善の方法を実行したのが履正社で、それができなかったのが天理だったのだ。
とはいえ、なぜ、両者にそこまでの差があったのだろう。
そこはやはり、奈良と大阪の違いと言わざるを得ない。
奈良大会には、沼田をそこまで研究してくるチームはなかった。「打倒天理」、「対沼田」を掲げるチームはあっても、具体的に、どのように沼田を打つかを実践してきたチームはなかった。正面から天理とぶつかり無残に散ったチームばかりだったのだ。天理が県大会、一度もリードを許したことがなかったのが、何よりのいい証拠だ。
一方で、履正社は府大会8試合を戦った。格下もいたのだが、多くの試合を経験する中で、必要なプレーと不必要なプレーの取捨選択ができていた。どうやって得点を取るのか、どこで点を防ぐのかの、パターンをいくつも持っていて、常に冷静だった。180校も超える学校がある中で、そこで勝ち抜いていくための戦い方を知っていたのだ。要するに、大阪で揉まれていたのだ。
予選大会中に、競争力がどれだけあったか、それが大きな差だった。
奈良と大阪の高校野球のレベルを比較することはできない。だから、今回の結果だけで奈良のレベルが低くて、大阪が高いとは言い切れない。ただ……、競争力には大きな違いがあった。
大阪で揉まれた履正社―――。
やはり、試合巧者だった。
(文=氏原 英明)
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|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 天理 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | ||||||
| 履正社 | 1 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | X | 4 |
天理:沼田 西口―亀沢 履正社:飯塚 平良―坂本

















