Column

藤崎台でプレーができて良かった!復興を誓う県民を後押しした熊本球児のハツラツプレー!

2016.07.29

■夏を迎える熊本の高校球児 復興へ向けてスタートを切る

円陣を組む秀岳館

 熊本に大きな被害を与えた、震度7の大地震が発生したのは4月16日のこと。日常生活はままならなくなり、休校になった多くの学校は相次ぐ余震のため再開までに長い時間を要することとなった。その影響は高校野球界にも及び、4月23日に長崎県で行われる予定だった春季九州大会は延期。さらに熊本で毎年、春に実施されているNHK大会、RKK旗争奪選抜大会、沖縄・熊本交流戦、招待試合はすべて中止になった。

 当然、チーム単位で見ても苦境に立たされた野球部は多く、熊本県のなかでももっとも地震の爪痕が深く残った地域のひとつ、益城町に練習場を持つ鎮西高校もグラウンドに長い亀裂が走るなどの被害があった。しかし、それでも鎮西の部員たちは学校が再開するまでの期間を利用し、自主練習のかたわらで水や食料の運搬といったボランティア活動に従事。むしろ地元に活力を与える役割を担っていった。

 そして、5月10日には先送りにされていた九州大会が熊本地震復興大会として開幕。悪天候のためスタンドで行われた開会式では、選手たちによって「がんばろう!! 九州!!」の横断幕が掲げられた。熊本県内でも6月3日に地震後初の公式戦となる宇城地区高校野球美里大会が開かれ、遂に熊本の球児のもとにも野球が戻ってくると、一時は県外開催が考慮されるほどだった今夏の熊本大会もメイン球場となる[stadium]藤崎台球場[/stadium]の修復工事が順調に進み、なんとか開催にこじつけることができた。

 今年の熊本大会は7月10日に開幕。63チーム(68校)によって代表の座が争われたが、大会は今春の選抜ベスト4の秀岳館が優勝した。今大会はまた非常にハツラツとしたものだった。とくに準々決勝の秀岳館vs熊本工の一戦は、延長10回に及ぶ熱戦に。手に汗握る熱戦は、人々を勇気づけた。そして選手たちはメイン球場である[stadium]藤崎台球場[/stadium]でプレーできることに感謝を口にしていた。そしてもう1つ。[stadium]藤崎台球場[/stadium]には九州8県の球児たちが寄せ書きが書かれた横断幕がある。それぞれの各県の球児たちが想いを届けていた。彼らの想いは間違いなく熊本県民の心、そして球場に来ていた野球ファンの心を捉えた。そして8月、熊本県では城北地区高等学校野球夏季大会第25回高校野球熊本市内大会など秋季大会が開催される。もう秋季大会を開催するのかと驚いた高校野球ファンもいるはず。そして、8月7日から開幕する甲子園では、熊本代表となった秀岳館の勝ち上がりにも期待が寄せられる。ぜひ全国の舞台でハツラツとしたプレーを見せてもらいたい。

(文・大平 明


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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