新生・享栄も投手王国!?1年生も大型選手揃いで今年も甲子園を狙える予感
今年の愛知大会は東邦、愛工大名電、中京大中京、享栄の私学4強がベスト8以内に残る1年となった。
特に復活した姿を示したのは、26年ぶりの夏の甲子園出場へあと1歩と迫った享栄だろう。140キロ後半の速球を投げる投手が3名という超大型投手陣、打線も好打者揃いと全国トップクラスの戦力を誇った。
そんな享栄の新チームについて迫っていきたい。
140キロ超えの投手が今年も揃う!
大型右腕・安藤 瑠騎飛(享栄)
大藤監督は今年の投手陣についてこう語る。
「昨年はこの時期で3人(肥田 優心、竹山 日向、菊田)も140キロ後半の速球を投げられる投手がいたため、どうしても彼らよりもポテンシャルが劣るのは仕方ありません。ただ、現在の時点でいえば、全国レベルの投手陣だといえます」
まず藤本 逸希は夏の大会でも登板した左の本格派。130キロ後半の直球、切れのある変化球を投げて勝負する。大藤監督は夏の大会を経験できたのが非常に大きいと語る。投球練習を見た時、力強い腕の振りで威力ある速球を投げていた。
大型右腕の安藤 瑠騎飛は140キロ前半の速球に角度があり、来年のドラフト候補として注目していいほどのポテンシャルがある。大藤監督は「ボールにキレがあるタイプなので、竹山タイプに育つ可能性がありますね」と期待を込める。
また1年生左腕・東松 快征は入学した時に138キロをマーク。140キロ超えも十分期待できる速球派左腕で、来年にはドラフト候補に挙がる可能性が高い。
磯部 祐吉は右サイドから最速135キロを誇り、大藤監督は球速以上に球威を感じるタイプだと評する。この日の投球練習でも、コントロール良く投げることができていた。ベンチ入りはこの4人で、それぞれタイプが異なる投手がいるのはかなり強い。
また、ベンチ外の投手がキャッチボールしていたのだが、そういった投手も130キロ中盤の速球を投げ込むらしく、体格も良い投手ばかり。明らかに投手陣のレベルが底上げされている。大藤監督は投手担当コーチの存在が大きいと語る。
「非常に勉強熱心でトレーニング、技術的なことまで、しっかりと指導していて、順調にスケールアップができています」
享栄投手陣のトレーニングを見ると、ウエイトトレーニングだけではなく、体幹トレーニングのメニューも豊富。また6月の取材に訪れた時はアップで、龍谷大平安のアップのように手押し車などで身体の機能性を高めるトレーニングを行っていた。トレーニング環境の充実で、多くの投手陣の底上げができている。
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主将の吉田 遥哉(享栄)
一方、野手については去年のように中距離打者揃いで、大量点を取るチームではなく、守備を信条に勝ち切るチームカラーだ。1年生には多くの強豪校から評価されてきた大型打者・田口 敦登や高田 洸希など平均身長170センチ後半の大型選手揃いだが、現状では、守り重視の構成だ。
その中で前チームから試合に出ていた主将・吉田 遥哉が中心だ。
「足のケガもありますが、セカンドで4番で攻守ともに中心になってくれると思います。言葉で指示を出すという事より、背中でみんなを引っ張るキャプテンですね」と大藤監督はキャプテンシーの高さを評価する。
今年のチームについては、大藤監督は組織力で戦えるチームだからこそ、勝ち進める能力があると評価する。
「前チームは個の力が強くて、素晴らしい選手が集まってました。
新チームはそこまで個人で能力のあるチームではありませんが、組織で戦っていくといいますか、非常にまじめで、やる気にあふれていて、終盤で戦うという意味では去年以上にいいものがあると思います」
そんな新生・享栄ナインが1つにまとまったのが、9月前半に行われた至学館との練習試合だ。小刻みに点を追加し、5対0で完封勝利を収めた。この試合について吉田は「自分たちが出せる力を出せました。さらに1つにまとまったかなと思います」と手応えを感じている。
そんな享栄の初戦の相手は知立東。準々決勝では中京大中京、愛工大名電のブロックの勝者、準決勝では東邦が入ったブロックと東海大会を勝ち抜くまで私学4強と戦う可能性が出てきた。
大藤監督は「激戦区に入ったのですが、チームで戦えばチャンスはあると思います」と持ち味を発揮することをこだわった。そして吉田に意気込みを語っていただきました。
「先のことを考えたら、いいブロックに入ったと思いますし、自分たちは自分たちの良さを出して、戦っていきたいです」
享栄が愛知私学4強という立場を堅持するためには重要な秋のシーズン。躍進を期待したい。
(取材:河嶋 宗一)