藤原 恭大選手 (大阪桐蔭)
寸評
藤原恭大 間違いなく今年の高校生ナンバーワン野手だ。走攻守で素晴らしい能力を持ちながら、どこか故障を抱えたり、不調に終わったりと自分の力を発揮できていなかった藤原だが、心技体すべて揃った最後の夏は圧巻の成績であった。 北大阪大会 22打数14安打 2本塁打15打点 打率.636 夏の甲子園 26打数12安打 3本塁打11打点 打率.462 そんな藤原の走攻守を徹底的に迫っていきたい。 (打撃) 藤原の進化の部分は下半身の使い方にあるだろう。藤原は昨年のU-18ワールドカップでは打率.333を記録したように、捻りが小さい打撃フォームで、速球、変化球に対応し、右、左に打ち分ける高度な打撃はとても高校2年生とは思えなかった。あれから1年。藤原はさらに隙が無い選手となっている。 スタンスはスクエアスタンス。グリップは肩の位置において背筋を伸ばしてバランスよく構えることができている。投手の足が下りたところから始動を仕掛けていき、投手の足が下りたところから始動を仕掛けていき、右足をしっかりと上げていきながら、タイミングを測る。しっかりと間合いを測ることができており、速球、変化球問わずに対応することができている。 トップの動きを見ると、捕手側方向へ引いていきながら、バックスイングを形成する。捻りが小さく、グリップが体の後ろに入りすぎることはないので、振り遅れも少なく、インコースの振り抜きもできる。藤原は左肘を折りたたみながら、振り出す選手で、インパクトまでロスなく振り抜くことができている。 下半身の動きを見ると、前足はしっかりと踏ん張って、上半身の突っ込みを我慢することができており、うまく割れが作れている。これにより、低めの球を拾えるようになり、下半身の回転も良くなった。これは膝が治ったことが大きいだろう。昨年からの進化は下半身の使い方の進化がとても大きいといえる。 また、軸足、腰を回旋させていきながら、フルスイングをして、振り抜く姿は柳田悠岐を思い出させるメカニズム。藤原のヒットポイントは外角。外角に対してはスイング軌道が2つあり、レベルスイングで振り抜くアベレージ型と柳田悠岐を彷彿とさせる縦振りのスラッガー型で使い分けている。これを瞬時でできる藤原の対応力の高さはおそるべしものがある。 ただ気になったのはインコースへの対応と左投手の対応。浦和学院戦では甘く入ったインコースを振り抜いて本塁打にしたが、インコースに対して、スイングの幅を増やせるようになると理想的。また左投手の速球派に対して遠く感じているのが気になった。プロでは左投手との対戦が増える。そういう相手に対してどう工夫するのか、注目をしていきたい。 (守備・走塁) 今まで肩を痛めたり、ひざを痛めたりすることもあって、思うような力を発揮できていなかった藤原だが、心技体が揃うと、ここまで凄いパフォーマンスを発揮するのかと思うぐらい、素晴らしかった。 まず肩。日本体育大戦のオープン戦で、ものすごいバックホームを見せてから、その肩の強さが気になっていたが、甲子園でも強肩を何度も披露し捕殺を記録。その肩の強さは超高校級。プロの世界でも十分武器となるだろう。守備範囲は広く、前方、後方への打球に対してもロスなく動くことができる。プロでもゴールデングラブが狙える選手になりそうだ。 そして走塁。本人が一番自信があると語るように、タイムも速い。藤原の場合、しっかりと振り切ってから走るのでタイムは遅くなるが、それでも塁間4.00秒を叩きだし、二塁打のタイムは7秒86と驚異的なタイムを計測。内野安打、二塁打の多さで打率、長打率を稼げる選手となるだろう。 盗塁タイムは3.34秒と、これを0.1秒縮めることができれば、プロでも盗塁を狙える選手となるだろう。
更新日時:2018.08.25
将来の可能性
高い集中力を保つ精神力の強さ、そして全力プレーを常に継続ができる体の強さを兼ね備えたことで、高い才能を発揮。まさに心技体が揃ったラストサマーであった。最終学年に合わせてピークに持っていき大舞台の活躍につなげる大阪桐蔭の育成力。そして藤原の努力には改めて敬服の想いである。 オコエ瑠偉以来となる高卒外野手1位の期待がかかるが、将来的には丸佳浩、柳田悠岐、秋山翔吾のような5ツールプレイヤーに育つ可能性は十分にある。彼らはトリプルスリーを常に狙える能力を持った選手であり、次世代の外野手を担う素質を持ったのが藤原恭大なのだ。 それを実現させるには本人の努力はもちろんだが、球団の育成計画にかかっている。 藤原はプロ1年目から一軍に出場できる基礎体力、能力は持っていると思う。近年、高卒1年目から一軍で多く出た選手が、その後、成績を大きく伸ばしておらず、尻すぼみに終わっているケースが見られる。まずは二軍で活躍できる土台を築けるかが大事となる。 理想は山田哲人、鈴木誠也、岡本和真のように高卒4年目に規定打席、20本塁打以上、打率3割が到達できる選手になれれば良いのではないだろうか。 間違いなく、プロの主力外野手になる素質を秘めたプレイヤー。指名した球団はとにかく計画的に藤原恭大を超一流プレイヤーに育て上げてほしい。
更新日時:2018.08.25
短評
観戦レポートより抜粋(2018年8月6日) 4番藤原 恭大(3年)が鋭く捉えた打球はライト前に飛び、これを右翼手が後逸する間に二塁走者に続いて打者走者の藤原も生還して、勝負を決する3点目が入った。 このベース1周は残念ながら藤原が一塁ベースに達したところでストップボタンを押してしまったので計測できなかったが、隣の友人が計測したところによると14.70秒だった。前日の慶應義塾対中越戦でもエラー絡みのベース1周が見られ(中越の広瀬 航大・1年)、このときのタイムは16.06秒。タイム差1.36秒はいかに藤原の足が驚異的かという証拠である。 また、藤原は6回裏に二盗を決め、このときの二盗に要したタイムは3.28秒。 (※打者走者の各塁到達タイム「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」を俊足の基準とする。)
更新日時:2018.08.14
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