157キロ右腕、150キロ左腕、大会無失点の192センチ右腕…第103回甲子園を盛り上げる7人の目玉投手
木村大成、風間球打、深沢鳳介、高須大雅
第103回全国高等学校野球選手権の組み合わせが決まった。今回は大会を代表する7人の目玉投手を紹介したい。
大会展望
【前編】今年の甲子園で全国制覇を狙える10校は?優勝候補筆頭がいない理由と大会予想を徹底展望
【後編】今年の甲子園で全国制覇を狙える10校は?優勝候補筆頭がいない理由と大会予想を徹底展望
木村大成(北海)、風間球打(明桜)、松浦慶斗(大阪桐蔭)
今大会注目投手となるのは風間球打(明桜)だろう。平均球速140キロ後半の速球の圧力は高校生離れしている。さらにスライダー、フォーク、カーブの精度も高く、速球一辺倒の攻めにならないのが強み。代表取材で輿石監督は「彼の持ち味はストレートですけど、変化球も素晴らしいものがありますので、注目を浴びる中のプレッシャーもありますけど、そういう中で力を発揮するタイプの子なので、期待しています」と変化球の精度の高さ、メンタルの強さを発揮している。
初戦で対戦する帯広農は全国レベルの打線を誇る。配球を間違えれば5失点以上してしまうほど怖いチームだ。まず初回にどんな投球を見せるか注目したい。
甲子園出場だけではなく、全国的に見てもナンバーワン左腕として評されているのが木村大成(北海)だ。最速150キロの速球、どの角度から見ても尋常ではない曲がりを見せるスライダーのコンビネーションがはまったときは簡単に打ち崩せないものがある。ただ、南北海道大会は連日の猛暑の影響で、球威が落ちてしまったところがあり、打ち込まれた。北海の平川監督も代表取材で「南北海道大会の疲れをとって、きっちりと投げさせたい。調整はこれからです」と応えるように疲労回復を優先させた。果たして前評判通りの実力を発揮できるか。
そして松浦慶斗(大阪桐蔭)も復活を見せた。センバツでは初戦敗退。春の公式戦では登板せず、トレーニングを重ねてきた。4回戦の城東工科戦のリリーフ、5回戦の近大附戦の先発で好投を見せると、準決勝の関大北陽戦では7イニングを投げ、最速148キロ・140キロ以上が65球、145キロ以上が24球、平均球速142.49キロと圧巻の速球を投げ込んだ。決勝の興国戦では平均球速138キロ・最速143キロにとどまったが、スライダー、チェンジアップ、カーブを器用に投げ分ける投球が光った。
松浦は「丁寧に投げられている時と、そうではない時があるので、甲子園まで修正したい」と課題を口にした。ネット裏から見ると、フルスロットルで投げる時は、明らかに速球を投げるという意思が見えていて、打者からは狙い球を絞りやすい。東海大菅生打線は本当にそれを逃さない打線なので、松浦の真価が試される良い相手だといえる。
寺嶋大希(愛工大名電)、深沢鳳介(専大松戸)、秋山正雲(二松学舎大附)、高須大雅(静岡)
今年の高校生左腕で、実戦力ならば秋山正雲(二松学舎大附)がナンバーワンではないか。春季大会、練習試合でも秋山の投球を見ているが、ここまで実戦的な投球ができるようになった例もない。
気持ちは強いし、直球も強いけれど、それを活かしきれていない印象だった。夏の大会では、暑さを意識して、力配分を考えた投球を実践。常時130キロ後半~140キロ前半の速球は内外角にコントロールされ、高めの釣り球で勝負できる。スライダーも判別がしにくいものになり、チェンジアップも落差がある。1つ1つの投球に意図が感じられる。
打者としても決勝戦の適時打など打者としても活躍。市原監督もエースとして貫禄ある姿を見せる秋山に頼もしさを感じている。
192センチの大型右腕・高須大雅(静岡)は静岡大会で37回を投げて無失点の快投を見せた。140キロ前半の速球、鋭い変化球をコントロール良く投げる投球が光った。この上背の高さで、しっかりとアピールすれば、評価は大きく上がる投手ではないか。
最速147キロ右腕・寺嶋大希(愛工大名電)も今大会を代表する投手だ。余計な反動を使わない合理的な投球フォームから常時140キロ前半の速球、多彩な変化球を操り、打者を打ち取る投球は高校生でもトップクラス。甲子園でもしっかりとアピールすれば、かなり評価される投手ではないだろうか。
超高校級の右サイド・深沢鳳介(専大松戸)も注目だ。春から夏にかけてストレートの球速・球威が大きく向上。140キロ超えも非常に多くなり、回転数の高いストレートと曲がりが鋭いスライダー、シンカーをコンビネーションに、31回を投げ、38奪三振、5失点の好投を見せた。
(文=河嶋 宗一)