試合レポート

東京vs桜丘

2020.07.29

桜丘の猛追振り切った東京!監督期待の先発・吉武遥樹がゲームを作る!

東京vs桜丘 | 高校野球ドットコム
東京先発・吉武遥樹

 

 29日の[stadium]大田スタジアム[/stadium]で行われた東京桜丘の一戦は、初回に東京1番・西田晃寿のヒットからチャンスを作って1点を先取すると、直後の守備で先発・吉武遥樹桜丘3番・吉村陽己に二塁打を許しながらも無失点に抑えて試合のペースを握った。

 先発した吉武は松下浩志監督が成長してきた投手の1人として挙げている注目右腕。左腕を壁にしながら重心移動して、下ろしていた右腕を引き上げながらトップの位置まで持ってくる。そこから身体の回転に腕を巻き付かせるように右腕を振り抜いていく。縦の変化球も織り交ぜながら桜丘打線を封じていき、反撃の隙を与えない。

 その後、東京打線は5回に相手のミスで9番・森弘翔が出場すると、1番・西田と2番・藤田望が連続ヒットでチャンスを広げて中軸に回す。ここで3番・白井拓郎がレフトへの二塁打を放って2人が生還するなど、5回に一挙4得点と試合の主導権を握った。

 5点のリードをもらったマウンドの吉武は6回まで桜丘のスコアボードに0を並べる好投を見せ続けてきたが、7回から桜丘の猛追が襲い掛かった。4番・菖蒲谷一馬のヒットと5番・秋澤優至の送りバントで得点圏にランナーを背負うと、代打・岡野耕太にタイムリーを許し1点を返される。

 さらに9番・高橋良輔にもタイムリーを許して3点差とされると、8回から東京は継投で背番号16の星川昂輝がマウンドへ。しかしその星川の制球が定まらず、桜丘4番・菖蒲谷にタイムリーを許すなど、1つアウトを取ったところで、東京はサウスポーの村田直輝をマウンドに上げる。


 一塁側のプレートを使って、スリークォーター気味の高さから腕を振り抜いていく。横に曲がるスライダー系の変化球も持っており、ストライクゾーンの横幅を目一杯使って打者と勝負する。その村田が桜丘6番・大和田紘生に犠牲フライを許して、5対4とされるも後続を断ち切り、何とか火消しに成功した。

 8回終わって1点差と桜丘に勢いがあったが、最終回に東京が再び牙をむく。先頭の1番・西田のライトへの三塁打など一死満塁とすると、5番・加畑佑真の打球を相手守備がエラー。さらに7番・石井俊輔のタイムリーなどで一挙4点と試合を決めた東京が9対4で桜丘を下した。

 試合後、5打数3安打と打線を牽引した東京1番・西田は、「5対0とリードから苦しい展開でしたが、笑顔と冷静にいることを忘れずに戦いました」と振り返る。非常にコンパクトな構えからシャープなスイングを見せる西田。9回の三塁打の時は「とにかくどんな形でも出塁しよう」と心がけて打席に入り、変化球を見事に捉えて見せた。

 常にバッティング練習では肩の開きを抑えるために、逆方向を意識して取り組んでいるとのこと。その成果が出た一打だったのではないだろうか。

 そして敗れた桜丘伊藤祐路主将は、「前回も後半から追い上げて勝つことができましたので、今回もベンチから盛り上げていきました。ですが、低めのボールを見極められませんでした」と振り返る。チャンスで1本出せなかったことも敗因に挙げたが、これで高校野球には一区切りがついた。高校野球3年間を振り返ると、こんなコメントを残した。

 「練習ができずに悔しかったですが、最後の大会ができて楽しかったです。今回の一件で1人では何もできないことに気が付きましたし、チームスポーツの良さを認識できました。高校野球は最高に楽しかったです」

 悔しさをにじませつつ、高校野球への感謝の気持ちを言葉に残したのだった。

(記事=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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