試合レポート

中央学院vs市川

2016.10.22

発展途上でも1安打完封!大谷拓海の将来性に注目!

中央学院vs市川 | 高校野球ドットコム

先発・大谷拓海(中央学院)

  中央学院を関東大会出場に導いた大谷拓海
 まだ投打ともに未完成だが、将来的にプロ入りを目指せるパフォーマンスを見せたといっていい試合内容ではないだろうか。

 雰囲気、手足が長く、なで肩の投手体型。一目で逸材と分かる。1年春からライトとしてスタメン出場していたが、秋からエースとなった。投手・大谷だが、なかなか丁寧なピッチングを見せる投手だ。

 ノーワインドアップからゆったりと始動し、左足をまっすぐ上げていきながら、左腕のグラブを斜めに伸ばしていきながら、開きを抑えていき、大きくテークバックを取って投げ込む姿はまるで才木浩人須磨翔風)に似たところがある。その才木と比べると、まだ体の線が細いことだろうか。180センチ70キロとまだ細く、まだ体からにじみ出るようなパワーはないが、それでも、120キロ後半~130キロ前半の速球は回転が良く、スライダー、チェンジアップ、カーブを低めを丁寧に投げ分けていた。

 山梨市川打線の早打ちもあってリズムよく打たせて取る投球。内野ゴロ、外野フライを打たせてとったことに手ごたえをつかんでいったのか、だんだん低めに決まり、またバックの守備も盛り立てていった。

 一方、山梨市川の先発・内藤秀太も好投を見せていた。166センチ69キロとがっしり体型の右腕で、体の使い方がうまく、テークバックをゆったりと取って、体の中心で鋭く腕が振れる投球フォーム。球速も130キロ~135キロのストレートに加え、120キロ前半のスライダー、カーブが低めに集まり、対応に苦労していた。

 5回まで0対0。なんと中央学院の1安打しか出ない展開。さらに40分あまりで5回終了とテンポが速い投手戦で試合が進行していった。
 試合の均衡が破れたのは7回裏、中央学院は一死一、二塁から相手野手の暴投を誘うバントで、一気に二者生還して、2点を先制した。そしてこのまま試合が進んでいき、大谷は9回表二死まで無安打投球。結果的に安打を打たれ、無安打投球は途絶えてしまったが、この1安打に抑え、完封勝利を果たした。

 大谷だが、完成度もあり、体つきも、まだまだ華奢だが、それでも高校1年生右腕のパフォーマンスとしては合格点。比較対象として大学になって、145キロ前後の速球を投げるまでに成長した石井聖太中央学院大)と比較しても上で、これから高校3年まで10キロ~15キロ増量するつもりで体づくりをしていけば、別人のような速球投手へ成長する可能性は十二分に持っている。打撃もコンタクトする技術が高く、安定性のある打撃フォームから放たれる打球も速い。これで、また体つきが変わってくればより長打を打てるかもしれない。

 まだ肉体的にも技術的にも発展途上だが、やっていることはすごい大谷拓海。完成した時、とてつもないパフォーマンスを見せるかもしれない。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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