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巨人21年ドラフト上位指名3投手が期待以上のパフォーマンス。ルーキーイヤーから飛躍なるか

2022.03.09

 21年シーズン、3位に終わった巨人。シーズンの勝敗成績は、61勝62敗と負け越しに終わり、首位のヤクルトとは、大きくゲーム差をつけられる形となった。

 2年ぶりのリーグ優勝を狙う巨人。21年のドラフト1位〜3位まで指名された投手は期待以上の投球を見せている。そんな3投手の能力、現状のパフォーマンス、将来性を考えていきたい。

予想以上の快投を見せるドラ1・大勢

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翁田大勢

 ドラフト1位の158キロ右腕・大勢投手(西脇工出身・本名 翁田大勢)が右サイド気味から投げる、伸び上がるような150キロ前後の直球には威力が感じられ、支配下に入っている投手と比較しても、負けてはいない。

 関西国際大時代の大勢は1球1球の間合いのとり方、投球の構成を見ると、アバウトに感じられ、時間がかかる印象を受けた。現在の投球を見ると、持ち味である剛速球をよりレベルアップし、しっかりと力で押し切って打ち取ろうとする割り切りが感じられた。

 また、サイド特有の135キロ前後のスライダーは、より切れ味が増して空振りを取れるようになっていた。

 ドラフト前までの評価では、1軍の登板は10試合前後。1年目は2軍で先発ならば、60イニング〜80イニング、中継ぎならば、30試合登板前後。球の威力はあり、馬力はある投手だが、期待はかけすぎず、3年かけて答えを出したい投手と思っていたが、オープン戦の好投で、首脳陣は中継ぎがベストポジションと考え、中継ぎの起用となりそう。ここまで入団前の予想を上回るパフォーマンスを見せている大勢は、開幕しても周囲を上回る快投を見せることができるか。巨人にとって大きな前進になるはずだ。

[page_break:速球派左腕・山田の持ち味を発揮するのはこれから]

速球派左腕・山田の持ち味を発揮するのはこれから

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山田龍聖

 ドラフト2位、山田 龍聖投手(高岡商出身)は高卒3年目となる昨年に、大きく成長した。JR東日本時代の都市対抗予選から都市対抗での投球は巨人首脳陣好みの耐久力の高い投球を見せた。

 都市対抗2次予選では5試合を投げ、27.2投球回で27奪三振。ドラフト日となった10月11日のセガサミー戦では9.1回を投げ、翌日の明治安田生命戦では3イニングを投げている。驚きの投手起用だが、プロ入り前にこういう起用を経験できたのは大きい。巨人は後半戦になれば、フル回転で投手を起用する。先発した都市対抗のHonda熊本戦(大津町)では、7.2回を投げ、10奪三振の快投だった。

 150キロ前後の直球には空振り三振が奪える球質の良さがあり、縦に鋭く落ちるチェンジアップなど変化球の各種技術が上がった。高卒3年目の社会人左腕としては完成度が高く、耐久力が高い投手なので、1年目から出番はあるのではないか。山田については春先からアピールしたい。

 練習試合で好投を続け、1軍昇格。ただ3月8日のソフトバンクとのオープン戦では負け投手になった。

 1軍でも抑えられる術、制球力を身につけるには、まだ時間がかかりそうだが、2年目以降で本領を発揮するタイプではないか。既存の左投手を刺激させるにはこの上ない投手だといえる。

[page_break:最も活躍する可能性が高い赤星]

最も活躍する可能性が高い赤星

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赤星優志

 3位の赤星 優志投手(日大鶴ヶ丘出身)も期待が高い。日本大時代の昨秋の東都リーグで2試合連続完封勝利を挙げるなど、勝負のシーズンで結果を残した。軽やかに投げているように見えるが、常時145キロ前後の速球を両サイドに集め、カットボールなど変化球各種の精度も高く、制球力が抜群に高い。昨秋は40.2回を投げ、10四死球。赤星の投球練習を見た時、「スピードボールを投げたい」「良い球を投げたい」という力みを感じない。狙い通りにキャッチャーミットへ投げ込まれた時は感動を覚えた。

 メンタル面が強く、再現性が高い投球フォーム、好不調がない投球スタイルと、巨人の首脳陣好みのスタイルを持った投手だといえる。実際に紅白戦からしっかりと持ち味をアピールし続け、3月6日の日本ハムとのオープン戦では3回1失点の好投を見せ、内容面の高さを評価されている。

 今年の巨人新人では一番成績を残す可能性を持った投手ではないだろうか。

 ここまでについて、最も活躍している赤星は、大学時代に残した実績や投球の完成度からしても期待通りのパフォーマンスを残しているだろう。剛速球を投げ込む大勢は細かいことは気にせず、力で押して持ち味を発揮し、速球派リリーバーとして存在感を示したい。山田はじっくりと積み上げていけば、スタミナはある投手なので、いずれ出番は訪れるはず。

 シーズンに入っても成果のあるドラフトだったといえる1年にしたい。

(文=河嶋宗一

[page_break:指名一覧]

読売ジャイアンツ
過去指名者一覧

  • 1位
    隅田 知一郎
    西日本工業大
      

      

    • 外れ1位
      関西国際大
      投手

      右スリークォーターから最速157キロのストレートを投げる速球派投手

      2位
      JR東日本
      投手

      高校時代はU-18代表を経験した153キロ左腕。スライダー、チェンジアップでも三振を奪えるようになった。

      3位
      日本大
      投手

      4年春、東都二部で最優秀防御率、4年秋、東都一部初戦で完封。コントロールの良さ、メンタルの強さが大学生離れしている。打たせて取るタイプと自覚しながらも要所では150キロ近い速球を投げ込む。

      世代屈指のテクニシャン。タイミングが取りにくい高速フォームに加え、これは打てないと思わせるチェンジアップのコンビネーションが素晴らしい。

      5位
      法政大
      外野手

      高校時代は甲子園で特大本塁打。法政大進学後は3年生になってからエンジンがかかってきた。わずか2シーズンでリーグ通算4本塁打。

      • 制球力抜群で、140キロ前後の速球とカットボールで技術力が高い大型左腕。

        • 140キロ前半の速球、スライダー、カーブを投げ分ける完成度の高い本格派右腕。

        • 育成1位
          北海学園大
          外野手

            

          育成2位
          高田竜星
          石川ミリオンスターズ
          投手

            

          育成3位
          東海大
          捕手

            

          育成4位
          上田西
          外野手

          北信越屈指の大型外野手。昨年の秋の北信越大会では打率.412、長打率.824をマーク。さらに強肩で次々と補殺を記録する。

          育成5位
          投手

          入学時から注目された大型左腕。195センチの恵まれた体格を活かした角度ある速球と制球させた変化球が武器。素材は一級品。

          育成6位
          桐蔭横浜大
          投手

          佐渡高校時代から注目されるも指名漏れ。じわじわと伸びて、最終学年に素質が開花した148キロ右腕。

          育成7位
          投手

          センバツ準V右腕。夏は最速が146キロまでアップした。189センチの長身から角度ある速球は魅力で、大型右腕として完成度も高い。

          育成8位
          富田 龍
          四国学院大
          投手

          140キロを超える速球左腕

          育成9位
          投手

          最速146キロの速球を投げ込む右の本格派右腕。

          育成10位
          捕手

          夏の甲子園ではスローイングタイム1.83をマーク。さらにキャッチングの良さも高く評価されている。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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