試合レポート

八戸学院光星vs盛岡大附

2018.10.18

八戸学院光星が5年ぶりに優勝を飾る!

八戸学院光星vs盛岡大附 | 高校野球ドットコム
優勝を決めた八戸学院光星

 秋季東北大会決勝は、八戸学院光星が5対3で盛岡大附を破り、5年ぶり5回目の優勝を果たした。

 八戸学院光星は2対2の7回に、相手のエラーに乗じて2点を勝ち越し。9回には三番・武岡龍世主将(2年)がセンターオーバーのタイムリー三塁打で5点目を奪った。武岡主将は初回の先制2ランを放っており、この日3打点の活躍を見せた。

 投げては5回途中からリリーフしたエース・後藤丈海投手(2年)が4安打1失点と力投した。

 仲井宗基監督は、「後藤は夏の甲子園でベンチを外した悔しさを、今日も投球に出してくれた」と讃えた。

 勝負のポイントとなった7回表裏の攻防にいずれも絡んだのがエース・後藤。まず表の攻撃。四球で出塁すると、二塁まで進んだ。一死一、二塁で三番・武岡の2球目。サインではなく、自らの意思で三盗を試みた。タイミングはアウトだったが、相手キャッチャーからの送球が大きく乱れ、生還。仲井監督が「私も驚いた」というまさに味方もビックリの奇襲だった。「(相手の)サードのポジションが三遊間よりだったのと、ピッチャーのテンポもセカンドの選手がサインを出してすぐにパット投げていた。いけるかなと思って。タイミングはアウトでしたが(笑)」と冷静に見ていたことを明かした後藤。三盗は、今まで試みたことがなく、盗塁のサインも出ないそうだ。仲井監督からは、「今の三盗、何?タイミングアウトやん」と言われたと報道陣を笑わせた。それでも、「三塁までいけばバッターが武岡なので、何とかしてくれると思った。点が欲しかった」と自らの投球を楽にしたい思いがあったことを話した。

 2点を勝ち越した後の裏の攻撃では、1点を返され、なお一死満塁のピンチ。ここで盛岡大附は同点狙いのスクイズを仕掛けた。結果はピッチャー・後藤への小フライでダブルプレー。「(一死満塁で)どんな攻撃がくるかわからなかったので、とりあえず低めに集めて打たせてゲッツーをとれればラッキーかなと考えていました。相手のスクイズ失敗で乗り切れて、流れがこっちにきた。嬉しかった」と喜んだ。



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関口清治監督と仲井宗基監督

 次は全国10地区の秋季大会優勝校が集結する明治神宮大会。「神宮でもスコアボードに1つでも多く0を並べたい」と目を向けた後藤。逞しく成長したエースが、夏は立てなかった全国の舞台に立つ。

 さて、試合後、取材時間を終えると、盛岡大附の関口清治監督が、八戸学院光星の仲井監督の基へ訪れた。2人は東北福祉大学の先輩、後輩。先輩の仲井監督が、「ありがとう」と笑って握手をすると、さながら感想戦が始まった。

 焦点は7回裏、盛岡大附が同点を狙ったスクイズの場面だ。
先輩・仲井監督:「スクイズ。(関口監督)らしくないなー」
後輩・関口監督:「4対4にしようかなと思って(笑)」

先輩・仲井監督:「次の打者が(投手の)阿部だったから?」
後輩・関口監督:「そうです(笑)」

先輩・仲井監督:「俺は4対4でもしょうがないかなと思ってた。でも最悪の結果になったな。ゲッツーで。ありがとうございました。また練習試合もお願いします」
後輩・関口監督:「はい」

 両監督の人柄がわかるほのぼのとした光景。両チームは東北大会直前にも練習試合を行っている。それだけに、東北大会での初対戦、しかも来春の希望が広がった決勝での対決を両監督は勝負をしながらも楽しんでいるようだった。

 閉会式前には、両監督とも、ベンチ前でナインを集めてミーティングをした。

 「良いチームになったな。ナイスゲーム。でもまだミスもあったな。ミスがあるということは、もっともっと強くなれるよ。強くなれるように練習しよう。まだこれじゃ全国で勝てない」という話をしたという仲井監督。一方の関口監督は、「神宮大会を目標にやってきたけど、でもこれが今の力だよ。それは素直に受け止めなくてはいけない。でも3月に向けて可能性を残してやれるということは、限られたチームしかないんだよ。負けることは悔しいけど、力がないから負けただけであって、希望はある。その前に閉会式をちゃんと立派にやろう」と話したことを明かした。

 勝った八戸学院光星は11月の明治神宮大会へ向けて。敗れた盛岡大附は希望が見える来春の選抜大会へ向けて。それぞれ、指揮官、主将を中心にどんなチームに成長していくかが、今から楽しみだ。

(文・写真=松倉 雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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