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甲子園出場監督と元プロ監督がタッグ!?21年度の指導者たちの異動・新任情報

2021.04.26

 4月は年度が変わり、高校野球的にいえば、指導者の新任、異動が話題となる。

 今回は話題となった異動情報、新任情報をご紹介したい。

名指導者が教育委員会へ

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静岡・栗林俊輔前監督

 教員として各県の教育委員会に赴任することは、いわば栄転だが、名指導者が指導から離れることに惜しむ声が多い。今年はそのケースが2人いた。

 まず紹介するのは名門の静岡の監督を長く務めていた栗林俊輔氏だ。
 2008年に監督に就任した栗林氏は多大な実績を残した。

センバツ3回
選手権4回
の甲子園出場に貢献。

堀内 謙伍選手(東北楽天)
鈴木 将平選手(埼玉西武)
池谷 蒼大投手(横浜DeNA)
の3名のプロ野球選手を輩出。

 また、筑波大を経てヤマハに入社した村木 文哉など社会人、大学で活躍する人材を次々と育てた。

 栗林監督の在任時に取材をさせていただいたが、投手の管理には気を配っていた。メディカルチェックは細かく行い、トレーナー・理学療法士と相談を行い、選手のデビュー時期なども決めていた。また投球フォームも本人の感性を生かしながら、故障的なリスクを減らすアプローチを行い、多くの好投手を育成している。

 そして新たに静岡高の監督に就任したのが、池田 新之介氏だ。
 今年の3月まで強豪・島田商の監督を務めており、4月1日から就任すると、中部地区では1位となり、県大会優勝に期待がかかる。

 続いて紹介するのは西尾東の寺澤康明監督だ。
 日体大出身の寺澤監督は長年、西尾東を強豪公立校に育てた。

 近年では2018年夏の東愛知大会準優勝、2018年秋季愛知県大会4位と輝かしい実績を残している。西尾東つながりでは、学校長と部長を兼任した馬場茂氏の異動も発表された。

 馬場氏は大府高校時代、巨人で活躍した槙原 寛己投手とバッテリーを組んで、甲子園に出場。
 大府高校の監督として4度の甲子園出場している愛知を代表する名指導者で、教え子には赤星憲広氏(元阪神)がいる。

 昨年まで寺澤氏・馬場氏とのタッグは愛知の高校野球界では盛り上がったが、2人とも異動となった。

 馬場氏は大府の校長に就任。これまで甲子園に導いている馬場氏の異動により大府の復活が大いに期待できるだろう。


香川の進学校から福岡の名門校へ

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大手前高松の山下前監督

 また香川の進学校として実績を残す大手前高松の山下前監督は福岡第一の監督に就任した。進学校でもある大手前高松で、2019年秋、四国大会出場。2020年香川県独自大会ベスト4と香川上位チームに育て上げた。山下氏は近年、大手前高松のアドバイザーという立場で携わるようになり、外から野球を見る機会が増えた中で飛び込んだオファーだった。山下氏は「人生1回しかないので、もう1回、現場で生徒と一緒に汗を流したいという思いが強かったので、今回やらせていただくことになりました」と就任のきっかけを語った。

 就任前に福岡第一の練習を見て、選手たちの個々のレベルの高さを高く評価。この夏へ向けてこう意気込みを語った。
「今いる選手としっかりと向き合い、生徒と一緒に笑えるように、1日1日を大事にしていきたいと思います」
 激戦区・福岡でどんなチームを育て上げるか楽しみだ。

元プロと甲子園出場監督がタッグ!?その他の異動情報

 東京都では面白い組み合わせが起こった。日本ハムで投手として活躍した田中幹雄監督が率いる郁文館に、前年まで日体大荏原を率いていた相原氏が助監督に就任した。相原氏は都立雪谷時代、2003年夏に甲子園出場。田中監督は実績豊富の相原氏に大きな期待を寄せている。
 「相原さんは甲子園に監督して経験をしています。私は甲子園を経験できていませんが、代わりに独立(信濃グランセローズ)を含めて色んな所で経験を積んできました。なので、お互いにここまで経験してきたことを活かして指導できればと思います」

 春季都大会では初戦敗退を喫したが、ポテンシャルが高い選手は多いだけに元プロ監督と甲子園出場監督のタッグにより、チームとしてどんな進化が起こるか、期待がかかる。

 他の異動情報、また定年退職された先生方もご紹介したい。

 進学校の刈谷を2009年に愛知大会準優勝に導くなど着実に強化を行った岡田泰次監督が三好へ。
 また、都立昭和都立杉並を強化した田北和曉監督は都立小山台へ赴任。都立の名将・福島監督とのタッグが注目される。

 2001年、21世紀枠出場の宜野座を率い、センバツでベスト4に入り「宜野座旋風」を巻き起こした奥濱正監督が定年退職。北海道日本ハム不動の中継ぎ左腕・宮西 尚生を見出した市立尼崎の竹本修監督が異動で退任。また2001年から指揮を執り、則本 昂大(東北楽天)を育てた池川準人前監督が4月から大津清陵の教頭となった。

 新天地で飛び込んだ指導者の方々の今後の活躍を期待したい。

(記事:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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