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木更津総合、黄金時代の到来 中央学院、壁を破り初の選手権出場

2018.08.05

東西千葉大会は、東は木更津総合、西では中央学院が優勝を決めた。そんな今大会を総括していきたい。

木更津総合を筆頭に群を抜いた強さを見せる第8ブロック

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東千葉を制した木更津総合

 1996年~1998年の市立船橋以来となる3連覇を果たした木更津総合。投打ともに圧巻の強さだった。最速148キロ右腕・根本太一、1年生ながら最速142キロのストレートを誇る篠木健太郎、打者としては打率.476、1本塁打、6打点、投手としては決勝戦で完投した野尻 幸輝、正捕手としてチームをささえた山中 稜真と投打ともに活躍を見せた選手が多かった。

 今年は絶対的なエースはいないが、甲子園を経験している選手も多いので、躍進が期待できそう。これまで培った経験を生かした強打を発揮し、記念大会では上位を狙っていきたい。

 準優勝の成田多古千葉黎明銚子商と同じ第六ブロックのライバルとの試合を制して、決勝まで勝ち進んだ。決勝進出の原動力となった正捕手・田宮 裕涼だ。6試合で、21打数11安打2本塁打12打点の大活躍。捕手として投手陣をリードし、失点を防ぎ、自慢の強肩で二盗を防いだり、一塁けん制で走者を刺したりと、攻守両面でチームをけん引した。投手陣では、キレのあるストレートを投げ込む先発型・仲澤 龍良、146キロ右腕・荒張 直也と、両右腕が投げ合う形で勝ち進んだ。内野手、外野手の守備が非常に鍛えられ、またどの選手も鋭い打球が打てる選手が多く、好投手を攻略して勝ち上がった。例年ならば甲子園に出ていてもおかしくないチームだが、それぐらい木更津総合の壁は厚かった…。また秋以降、決勝戦で139キロをマークした山本翔太も楽しみな存在だ。

 東海大市原望洋志学館がベスト4入り。両校は木更津総合と同じ第8ブロック。さらに拓大紅陵もベスト8と、改めて第8ブロックのレベルの高さを示した大会となった。

 東海大市原望洋は、昨年、金久保優斗(東京ヤクルト)を中心に下級生からレギュラーを経験している選手がほとんど抜けて、一からのスタートだった。ノーシードからスタートし、ベスト4まで勝ち上がった底力は素晴らしいものがあった。志学館は冬から鍛えてきた自慢の強打を発揮。特に先頭打者弾を放った1番・神山雄人の進化が凄まじく、東千葉屈指の強打者へ成長した。また最速146キロを計測した加藤 泰晴も楽しみな逸材だ。

 ベスト8は安房木更津千葉商の公立3校が入り、特に安房は主力の2年生が多く、秋以降の戦いぶりも気になるチームだ。

[page_break:激戦の西千葉。公立4校がベスト8以上]

激戦の西千葉。公立4校がベスト8以上

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西千葉を制した中央学院

 西千葉はAシード・専大松戸が初戦敗退、Bシードの流通経済大柏は3回戦敗退、強豪・日体大柏も初戦敗退と波乱含みの大会となった。そんな中で甲子園出場をつかみ取ったのは中央学院だ。

 エース・大谷拓海は5月の頭部のケガで7月中旬まで試合に出場できない状態。頼みのエースがいない中、代役として右サイドの西村陸が活躍。主将の池田 翔も2本塁打。自慢の強肩と緻密なリードで勝利に導いた。また内外野も鍛えられ、特に無駄のないカットプレーで余計な進塁を防いだ。ポイントとなったのは、準決勝の習志野戦。7回表まで1対5の4点差の状況から7回裏に同点に追いついて、さらにラッキーボーイの1年生・青木 優吾がサヨナラ弾。夏にかけて新戦力が登場し、戦力が厚くなった。大谷も決勝戦で本塁打を放ち、調子は上向き。残念ながら甲子園では初日に済美に敗れてしまったが、中央学院はその底力を十分に見せつけたと言えるだろう。

 準優勝の東京学館浦安は粘り強い試合運びで7年ぶりの決勝進出を決めた。トップバッターの増田龍一は打率.417、6打点を記録。また3番・長尾健輝は打率.400、6打点と勝負強い打撃を見せた。また、投手陣は必死の継投リレー。守備も堅く、無駄な失点をしないチームだった。長尾、右腕・常世田力哉など2年生のレギュラーが残り、秋も躍進に期待がかかる。

 ベスト4に終わった習志野は準決勝まで隙の無い試合運びは見事で、ドラフト候補として注目された古谷拓郎は最速146キロをマークし、春から大きな進化を見せた。サヨナラ負けを経験した根本翔吾、142キロ右腕・飯塚 脩人はどう秋につなげていくのか。

 市立船橋はエース・須藤暖人は昨秋よりも安定感が増し、先発・リリーフとして活躍を見せた。打線も1番・中重 勇紀が起点となり、点を重ね、守備も堅実で、伝統校としてそつのない試合運びを見せた。2年生の湯浅永悟は準決勝の東京学館浦安戦で最速140キロを計測。秋以降の進化が楽しみな右腕である。

 専大松戸を破った千葉商大付は勢いがある打撃が持ち味で、最後まで振ることを意識してプレッシャーを与えていた。西武台千葉は最速148キロ右腕・神野竜速は今年の千葉で最も速い速球投手で、打線も長打力がある選手が揃っているが、まだ大観衆の前で平然とプレーできる精神力の強さが課題。そこを乗り越えていけば、甲子園は狙えるチームは作れるだろう。また、流通経済大柏を破った四街道はここぞというときに畳みかける打撃力は見事で、千葉八千代もしぶとい試合運びが目立った。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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