2019年 石川昂弥や黒川史陽など地方大会でキラリと光ったドラフト候補の野手たち
高校生投手が注目されることが多い今年のチームだが、野手もレベルが高い。今回は逸材野手たちについても紹介をしていきたい。
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◆2019年 佐々木朗希や赤坂諒などキラリと光ったドラフト候補15名の投手たち
石川昂弥や黒川史陽の活躍を振り返る
石川昂弥(東邦) ※写真:共同通信
まず今年の野手の筆頭で最も評判が高かった石川昂弥(東邦)は2試合で5打数1安打。本塁打1本のみに終わった。石川は選抜から夏までの3か月間。打撃の状態は一進一退が続き、調子が上がらずに終わった大会だった。高校通算51本塁打の打撃、強肩を生かした三塁守備、勘の良さが光る盗塁技術を考えれば、U-18代表に選ばれる可能性もあり、まだ見逃せない。
5季連続の甲子園出場を決めた黒川史陽、東妻純平、西川晋太郎の智辯和歌山トリオは凄みが増しており、黒川は2試合連続本塁打、東妻は3回戦の粉河戦でも本塁打を放つなど連日の快打、西川は攻守のすごみが増しており、甲子園でも活躍を見せてくれそうだ。
3試合連続本塁打を含み大阪大会で4本塁打を放った井上広大(履正社)。187センチ94キロという高校生離れした体格を生かす技術、対応力が備わった。打撃が目立っているが、選抜でもライトから三塁まで好返球を見せてアウトにしたように、抜群の強肩。打つだけではないところを甲子園でもみせてほしい。
あまり評判に挙がっていないが、U-18代表の一次候補に選ばれた上田希由翔(愛産大三河)は、研修合宿でも好投手相手に左中間へ長打を放つなど、実は打撃の完成度は、参加野手の中でも、ピカイチな選手だった。上田はそれほど捻りを入れず、手元まで呼び込んで縦振りのスイング軌道でボールを捉えるスラッガー型のスイング。速球、変化球の対応力も高く、穴が少ない。今大会は20打数10安打2本塁打10打点と結果を残している。一塁を兼任しながら投手としても活躍。
惜しくも決勝戦で敗退したが、京都国際の上野響平の守備については今年のショートでもナンバーワンともいっていいものがある。抜群の出足から生み出される好守備。グラウンドの特性を掴んで、どの位置で守れば良いのか、どういう動き方をすればいいのかを決めており、身体能力ではなく、高い意識によって成り立たせている。また打撃面で課題はあるが、高く評価する球団も多いだろう。
プロのスカウトから評価が高かった大型遊撃手・紅林弘太郎(駿河総合)は静岡大会で26打数7安打に終わった。強打強肩は光るものはある。ただそれを生かす技術はまだ足らない。その課題をどのステージで解消していくのか、注目をしていきたい。
またU-18代表候補の韮澤雄也(花咲徳栄)は打撃では力強さが増し、守備では安定した足運びと抜群のスローイングは超高校級。選手権ではどんなパフォーマンスを発揮するだろうか。
惜しくも準優勝に終わった川野涼多(九州学院)は、守備範囲の広さやバットコントロールの良い打撃も光るものはある。九州屈指のショートストップとして前評判通りのパフォーマンスを発揮してくれた。
高校生ナンバーワンキャッチャーとして呼び声が高い有馬諒(近江)は夏にかけて攻守の精度がレベルアップしている。捕手としてはフレーミング、スローイング、ピンチ時の落ち着いた所作、リード。打撃も20打数8安打と結果を残した。選手権でもどんなパフォーマンスを発揮してくれるのか、注目だ。
菊田 拡和(常総学院)は高校通算58本塁打まで数字を伸ばしたが、惜しくも準々決勝で敗退。悔しい夏に終わった。高い対応力、高校生離れしたパワーは別格。
また野村健太(山梨学院)も二季連続で甲子園に乗り込む。選抜では2本塁打を放ったが、右打ち技術も光る。山梨大会では本塁打はなかったが、甲子園では野村らしい豪打を見せていきたい。
文=河嶋 宗一
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