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清宮フィーバーで沸いた今年の関東を制したのは浦和学院!【関東大会総括】

2017.05.25

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清宮フィーバーで沸いた今年の関東大会

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清宮幸太郎(早稲田実業)

 今年の春季関東大会は例年にない大きな盛り上がりを見せた。このフィーバーを呼んだのは怪物・清宮幸太郎早稲田実業)だろう。清宮の姿を見ようと初戦が行われた[stadium]ひたちなか市民球場[/stadium]では、深夜から人が並び、朝6時半の時点で内野席がほぼ埋まり、満員の中で、試合が行われた。清宮は期待通りの活躍を見せる。

 5回裏に、本人は「入っちゃったって感じでした。珍しいホームランでした」と振り返ったように、ライトポール際へ入った本塁打は弾丸ライナーとなった。9回裏、二死一、二塁の場面で打席が回り、相手のバッテリーミスで二、三塁になった後、同点適時打。
「試合前日のミーティングで、自分まで回したら絶対打つからって言ってたんで、ここで凡退したら見せる顔がないので、そういう気持ちで打席に立ちました」
打たなければ試合終了という場面で同点打を打つ勝負強さ、精神力の強さは尋常ではない。改めて清宮の凄さを示した大会となった。続く作新学院戦でも高校通算95号本塁打を打ち、ファンを沸かせた清宮だった。

 清宮フィーバーで沸いた今年の春季関東大会。優勝したのは2年ぶり出場の浦和学院が6度目の優勝を決めた。改めて今大会について総括をしていきたい。

[page_break:優勝の浦和学院、準優勝の東海大相模の課題]

優勝の浦和学院、準優勝の東海大相模の課題

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優勝を決めた浦和学院ナイン

 浦和学院は4試合36イニングで、わずか6失点と抜群の安定感を披露。特に中心投手となった2年生投手が素晴らしい活躍を見せた。

 まず左腕の佐野涼弥が11.1回を投げて、無失点。さらに投球回を大きく上回る17奪三振。右腕の近野佑樹が11.2回を投げ、自責点0、187センチ右腕の渡邉勇太郎が、13回を投げ、3失点と好投。3人は140キロを超える速球を投げるわけではないが、制球力が高いこと、速球と変化球の投げ分けができて、フィールディング能力も高く、投手としての基礎力が非常に高い投手が多かった。

 この3人が順調にスケールアップを遂げていければ、全国トップクラスの投手陣へ育つ可能性を秘めている。ただ打線はまだパンチ力不足なところがあり、夏へ向けて、投打を整備して、4年ぶりの甲子園を狙いたい。

 東海大相模は投打ともに成果を残した大会となった。特に投手陣。左肩を高々を掲げながら、真っ向から振り下ろす140キロ右腕・秋田稜吾、最速142キロを計測し、下半身主導のフォームから、速球、多彩な変化球を器用に投げ分ける姿は、2000年選抜優勝投手・筑川力希也を彷彿とさせる斎藤礼二、1年生ながらベンチ入りした左腕・野口裕斗、右サイドから伸びのある速球で勝負する大和田聖人、左サイドから常時140キロ台の速球を投げ込む安里海の5人と、個性的な顔ぶれだ。

 まだ細かな制球力、投球術で課題を残す部分はあるが、この層の厚さは大きな強みとなりそうだ。打線では、関東大会で打率5割を記録した4番森下翔太は、強肩強打の大型外野手。決勝戦後、「僅差の試合展開で勝負強い打撃ができる選手になっていきたい」と意気込んだ森下の飛躍が楽しみだ。打線は検体から多くのコールド勝ちを収めているように、打線の破壊力は脅威で、粘り強さもある。あとはレベルが高い好投手にどう対応していくのか、注目していきたい。

[page_break:作新学院は心のスタミナ、日大三は守備面の課題を乗り越えられるか]

作新学院は心のスタミナ、日大三は守備面の課題を乗り越えられるか

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金成麗生(日大三)

 ベスト4に残った作新学院日大三。作新学院は明秀日立学園にコールド勝ちを収めたり、早稲田実業を破るなど、強さを示した。準決勝では東海大相模に敗れたが、エース・大関秀太郎が、選抜からスピードアップして、常時135キロ前後まで速くなり、8回途中まで無失点に抑える好投を見せるなど、成長した姿を見せた。3試合で、自慢の機動力、攻撃力の高さは健在。課題は終盤の戦い方。小針崇宏監督は、東海大相模戦を終えて、「まだ終盤戦になった時にそれを勝ち抜くメンタル、スタミナという面が足らないことが分かりました。夏を見据えた時、それが見えたのは収穫でした」とコメント。速攻劇に定評のある作新学院だが、終盤まで守り抜く粘り強さを身に付けた時、7年連続の夏の甲子園出場が続くだろう。

 日大三は守備の乱れからの失点が目立った。破壊力抜群の打線はこの夏でも猛威を奮うことになりそうだが、強豪校と対戦すると、なかなか点を取ることができないだけに、一つでもチームの隙をなくしていきたい。収穫なのは、八木達也柿澤海大の控え投手の力投と、大型スラッガー金成麗生の投手としての成長だろう。特に金成は193センチの長身から振り下ろす140キロ後半のストレートは威力抜群。独特の角度から投げ込むストレートは簡単にミートすることができない凄みがある。まだ投手経験が少ない投手だが、その分、伸びしろはあり、2013年夏以来となる甲子園出場は金成の成長にかかっているといえるだろう。

 次回は大会で光る活躍を見せた選手達について紹介をしていきます。

▼春季大会の情報はこちらから
2017年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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