興南の教えを胸に。ポーカーフェイスを貫く宮城大弥の熟練したマウンド捌き
2019年 第29回 WBSC U-18ワールドカップ4日目。侍ジャパンU-18代表はチャイニーズタイペイに1対3で敗れ、対戦成績が3勝1敗となった。敗れはしたものの、この試合、4.2回を投げて、自責点1の力投を見せた最速149キロ左腕・宮城大弥(興南)に今回は迫りたい。
宮城大弥(興南)
試合中は常に無表情。雨が降り、投げにくい環境の中でも、コントロールが効いた常時130キロ後半の速球と、落差が鋭いスライダーをコントロール良く投げ分ける宮城。3失点を喫したが、自責点1と一定以上の成果は残した。
それでも試合後のコメントは後ろ向きだった。
「調子は良くなかったです。ストレートはいつもの走りではなく、(投げていて)苦しかったです。自分は調子の波が大きいので、国内合宿と比べるとあまり良いピッチングではなかったです」
宮城は、好調時は1イニングに145キロ以上を4~5球は投げる。しかし、この試合は、平均球速は明らかに遅く、最速は2回裏に記録した142キロだった。ちなみに、前日のアメリカ戦の最速も138キロ。ストレートが走らないとなれば、変化球の精度が大事になるが、スライダー、チェンジアップも思うようなボールが投げられない。
球場のマウンドに順応できていないことも一つの要因だった。
「マウンドが低くて投げにくくて、土がべったり付く感じでやりにくさはありました」
それでも宮城は、感情を表には出さない。前日のアメリカ戦でも、最後を締めくくっても、宮城はガッツポーズすることなく、ホームベースに向かった。それは、興南の教えがある。
「興南高校は感情を出さずにプレーをするのが教えなので、その教えは世界大会でも大事にしたいと思っています」
そこが宮城の強さなのだ。思うようなピッチングができなくても、淡々と仕事をこなす。
宮城は、世界一へ向けて秘めたる思いを語ってくれた。
「未だ成し遂げていない世界一を僕たちが達成したい。そんな思いでこの大会にきました」
中学時代に選出されたU15で達成できなかった世界一を目指し、宮城大弥は韓国の舞台でも淡々と大仕事をやり遂げる。
(記事=河嶋 宗一)