日大三vs都立杉並
日大三・中村、投打の活躍で大健闘の都立杉並を突き放す
秋、春の都大会を制した日大三は、当然優勝候補の筆頭である。そんな日大三をしても、初戦の入りは難しい。対する都立杉並は、1、2回戦を戦い、この試合が今大会3試合目。それでも春季都大会では1回戦で専大付に4-11で大敗している。しかし、そんな過去の実績など、ほとんど意味を持たないことを感じさせる試合になった。
日大三の先発は、背番号20の2年生、平野将伍。平野は秋、春はベンチ入りしておらず、小倉全由監督が、最後のカードとして抜擢した期待の戦力である。けれども、初戦の先発は荷が重かった。
1回表杉並は、一死後2番・関根忠大の四球の後、3番・相澤力也、4番・三嶋大貴、5番・阿部圭一郎と安打が3人続き、まず1点。日大三は投手を、カーブが武器の林玲介に交代する。林も7番・平井嵩大に右前安打を打たれ、杉並が1回表に2点を入れる。
その裏日大三は春季大会から好調を維持している1番・金子凌が二塁打で出塁したもの、後続の3人が打ち取られ無得点。すると2回表に、都杉並の1番・磯貝愛弥が広い[stadium]ダイワハウススタジアム八王子[/stadium]の左中間スタンドに入る本塁打を放ち、3点差とした。
受け身にまわり苦しむ日大三の流れを変えたのは、この試合は5番・中堅手である中村奎太であった。4回裏一死後、中村が右中間を破る二塁打を放つと、6番・飯村昇太が四球、7番・木代成は左前安打で1点を返す。その後、2人連続四球で押し出し。さらに1番・金子の内野ゴロの間に1点を追加し、同点に追いついた。
日大三は2回途中から左腕の河村唯人、4回からは長身の廣澤優が登板した。廣澤の球威に杉並は押されており、このまま日大三のペースで続くかと思われたが、6回表都立杉並は一死から9番・須合優士が左前安打で出塁すると、二盗に成功。二番・関根の左中間への適時打で1点を勝ち越した。
6回裏、4回途中から登板している都立杉並の2番手・舛屋慧は3四球で一死満塁となり、日大三の5番・中村は右前安打を放って2人が生還し、逆転に成功した。
7回表からは、中村自らマウンドに立ち、都立杉並に得点を与えない。日大三は8回にも金子のこの試合2本目となる二塁打などで2点を追加。7-3で逃げ切った。
日大三は5人の投手を投入。中村の登板までは、想定していなかったはずだ。それだけ、都立杉並の攻守にわたる奮闘は見事であった。初戦を苦しんだ日大三は、4回戦は都立豊多摩と対戦する。
(文=大島 裕史)