明星vs世田谷学園
逆方向ではなく、強く引っ張れ 思考法を変えた明星打線が集中打でシード権を獲得!
決勝打を打った岡部(明星)
順延が続く東京都大会。この日は久しぶりの快晴。世田谷学園と東京明星の一戦は、序盤から神経戦となった。
1回表、1点を先制した明星だが、5回裏、世田谷学園は9番澤田 海斗が適時打を打ち、同点に追いつく。お互い膠着状態となり。試合の流れをつかんだのは、東京明星だった。8回表、二死から敵失でチャンスを作り、8番中橋の中前安打。9番西村の安打で二死満塁のチャンスを作る。ここで打席に立った1番岡部勝太郎(2年)。岡部は「西村が頑張って投げていたので、なんとしても打ちたい場面でした」と気合を入れて打席に入った岡部はインハイのストレートを叩いて左中間を破る二塁打で2点の勝ち越し。2番寺尾 汐太(1年)にも適時二塁打、さらに3番坂本にも適時打が飛び出し、一挙5点を入れる猛攻。勝負を決定づけた瞬間だった。さらに9回表にも、8番中橋の適時打で1点を追加した。
投げては1年生右腕・西村が好投。石山監督は「スピードはある投手ではないのですが、コントロールが良く、無駄な四球を出さず、試合を崩さない投手」と評するように、球速こそ120キロ~125キロ前後と決して速くないのだが、外への出し入れがいい。本人が自信としているスライダーの切れが良く、低めに丁寧に投げようとする意識がみられた。監督は、継投策も考えていたが、「展開も展開で、継投するのもむずかしった試合でした」と西村は続投。西村は3安打打ったことで、代打に送られることなく、そのまま1失点完投勝利。しっかりと投げ切った。
「終盤、高めに浮いてしまうことがあったのですが、なんとか粘り強く投げ切ることができてよかったです」と笑顔を見せた。
また打線は終盤に集中打で圧倒。13安打を放った強打が目立ったが、新チーム当初は打てるチームではなかったようだ。
「打てなかったのは、ブロック予選まで。選手たちの打撃を見ると腰が引けた打撃になっていたんです。なぜ腰が引けた打撃になっていたのかといえば、右方向へ打つ意識が強すぎたから。だったら、インコースを思い切り引っ張ろう、しっかりと踏み込んで腰をしっかりと回転させてから振りにいこうと決めたんです」
そうすると、都大会までの練習試合では快音を響かせ、二けた得点試合を挙げるなど打線好調で臨んだ今大会は都立紅葉川をコールド勝ちすると、今日も13安打。決勝打を打った岡部は思考法を変えて、勝ち越し打につなげた。
「自分は逆方向へ強い打球を打とうと思ったんですけど、あまりうまくいかなくて…。監督のアドバイスで強い打球を打てるようになりましたね」
強く踏み込んでインコースを強く振れるようになった。それだけではない。ボールの見極めもうまくなった。メンタルによってメカニズムの好循環をもたらす良い例である。
これでシード権を獲得した東京明星。石山監督は試合前から「都大会では2つ勝って関門を突破したもの。1つ勝って負けても、初戦敗退と一緒ということは話をしていました。シードが取れてよかったです」とまず春の都大会のシード権を獲得できたことにほっとしていた。
東京明星は、前チームから活躍を見せていた坂本が故障で、秋まで間に合わなかったが、春に復帰すると、心強いチームとなるだろう。ストレートの切れは素晴らしく、夏の前半戦の練習試合まで、抜群の出来だった石井 南果(2年)も制球面に不安を残すが、ストレートの切れ味は素晴らしく、1年生の頑張りに2年生が応える形となれば、楽しみなチームではないだろうか。
(文=河嶋 宗一)
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