コザvs石川
あの屈辱をバネに!ナインを牽引する二人の二年生の活躍!
コザ・安谷屋栄紀
「監督からも『お前たちは強くない』と言われてましたし、僕らもそう思ってます」。
試合後のコザ・吉山盛敦主将の言葉は単なる謙遜ではなかった。そう、全ては新人中央大会の決勝戦にある。それまでの3試合33イニングを戦い失点は僅か1。守れれば勝てるという自信が確信へと変わろうとしたコザナインの前に、美里工が立ちはだかった。自慢の投手陣は崩壊し17失点を喫すれば、打線は島袋倫の前に1本のヒットも記録出来ずノーヒットノーランを食らった。
「あのあと、朝練の中でそれまでやってなかったフリーバッティングなど打撃練習を取り入れ、また個人練習でも素振りをもっとしていこうとみんなで一致して決めました」。
僕らはまだ弱い。新人中央大会準優勝の嬉しさよりも、ノーヒットだった悔しさが込み上げる。だからこそこの秋は守り勝つ野球だけでなく、打ち勝つ姿も披露したい。吉山主将の言葉からその思いが手に取るように伝わった。そのひとつの成果が2回の先制点、そして4回の安谷屋栄紀(あだにや・えいき)と吉山の連続タイムリーであった。
まだまだ強くなる!目指すは19年間閉ざされた重き扉を開くこと!
コザ・吉山盛敦
先制したのはコザだ。
2回、二死から内間敦也が死球で出塁すると、相手のエラーと単打で満塁。ここで3番安谷屋がセンター前へ運び先制した。二塁走者も一気に本塁を狙うがここは沖縄石川の小渡太生志(おど・たいし)がバックホームを決めて2点目は許さなかった。
コザは4回にも1死から二つのエラーと単打で満塁とすると再び安谷屋が、走者一掃となる3点タイムリーを左中間へ放つ。そして「栄紀に続こうと」打席に入った吉山が外角のストレートに反応。これまた左中間を割るタイムリー二塁打となり一挙4点を加えた。
安谷屋と吉山以外の7人のスタメンが1年生というフレッシュなチームを牽引する二人の2年生の連打こそ、繰り返してきた打撃練習の成果が出た瞬間でもあった。この後一死一、三塁とさらに得点のチャンスがあったコザだったが、スクイズ失敗で三本間に挟まれるなど、まだまだ若い場面もあったのも事実だ。
「例えば外されても食らいついて何とかファウルにするとか、ウエストしたキャッチャーを見て三塁走者が戻れるようにするとか。そういう課題も多いけど、僕はまだまだこのチームは強くなると思ってます」と嘉陽宗雄監督は、彼らの伸びしろを信じて止まない。そう、監督と選手に共通するのは”僕らはチャレンジャー”という姿勢だ。
投げては先発の内間敦也が5回に1点を失い、終盤は飛ばし過ぎたツケが回って苦しい内容であったが、それを全て背負った気迫の147球で完投勝利を飾った。
キャッチャーとして一年の内間を引っ張った安谷屋と、4番として1年生を鼓舞した吉山の2年生コンビの攻守に渡る活躍が光り、コザが4年連続となるベスト16へ進出。まだまだ強くなるコザナインが目指すのは、1994年に先輩たちが開いたベスト4という扉をこじ開けること。19年もの長きに渡り、立ちはだかってきた高き壁を越えた先に、九州大会への出場が待っている。
敗れた沖縄石川だが、唯一の得点が一死一、二塁からのセカンドゴロへの内野安打の合間を縫った走塁だったことや、途中出場の池原樹(たつる)が9回にコザの内間からライト線へ長打を放ち、二塁を蹴って三塁へ向かった果敢な姿勢など「気持ちで負けてはいけない!」という場面、場面での、各自の積極性が見てとれたことに今後の成長を感じることが出来た試合でもあった。
(文・写真:當山 雅通)
石川 | TEAM | コザ | ||
---|---|---|---|---|
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
左翼 | 小津波雄大 | 1番 | 中堅 | 仲本悠人 |
二塁 | 喜友名呂郎 | 2番 | 二塁 | 護得久侑莉 |
一塁 | 與那嶺光 | 3番 | 捕手 | 安谷屋栄紀 |
中堅 | 小渡太生志 | 4番 | 右翼 | 吉山盛敦 |
投手 | 浜川優馬 | 5番 | 三塁 | 崎原種人 |
三塁 | 當山芳弥 | 6番 | 遊撃 | 仲宗根理徒 |
捕手 | 新垣拓也 | 7番 | 左翼 | 兼本陸 |
右翼 | 西銘優希 | 8番 | 一塁 | 仲吉重仁 |
遊撃 | 前田勝貴 | 9番 | 投手 | 内間敦也 |